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新たな問題 終わり見えぬニセ1級建築士問題 新潟・東京でも発覚し合計6人に

2012.08.20 12:09

 ニセ1級建築士の発覚が相次ぐなか、その広がりはいよいよ全国規模となる様相を帯びてきた。
 国土交通省は今月8日、東京都江戸川区の2級建築士・鈴木均氏が1級建築士になりすまして業務を行っていたと発表した。昨年12月、墨田区に提出された許可申請書に1級建築士として記載されていた氏名が行政のデータベースに登録されておらず、また建築士事務所登録を照会したがこれも見当たらず発覚に至った。鈴木氏は1級建築士の免許証を偽造しただけでなく、2級建築士事務所の登録更新も期限内に行っておらず、平成21年以降は2級建築士としての業務も行えない状態だった。同省では東京都及び関係特定行政庁に対し、当該建築物を含め、鈴木氏が関与した建築物の特定及び実態把握並びにそれらの安全性の確認を要請した。
 また9日には、住友林業ホームテックの元男性社員が1級建築士の免許証を偽造して業務をしていた疑いがあるとして、同社新潟営業所が家宅捜索を受けている。報道などによると、男性は1級建築士と偽り平成22年12月から新潟営業所に勤務。設計には関わっていないが1級建築士の資格が必要な重要事項説明に関与していた。同社が今年4月、新潟営業所を1級建築士事務所として登録しようとして偽造が発覚。男性は5月に解雇されている。国土交通省と新潟県によると男性は偽造を否定しているが、提出された免許証は旧型で、番号も別の建築士のものだったという。
 これまでに判明したニセ1級建築士は東京、新潟のほか神奈川、大阪、三重の各都府県で、合計6人。今後は免許制度の見直しなど問題の根本的な解決が必要と思われるが、ニセ1級建築士はまだ発覚しそうな気配も漂う。建築業界のみならず、不動産業界にも大きく影を落としそうな問題だ。

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