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再開発は今 新宿イーストサイドスクエアに集まる地元の期待

2012.06.04 11:20

 大型再開発物件が相次いで竣工を迎えている東京。貸し床面積の増大に伴って本格的な供給過剰時代に突入しつつある現状は2012年問題などとも呼ばれ、目下貸ビル業界最大の課題となっている。こうしたなか、新たな大規模ビルが東新宿に誕生した。
 4月27日に竣工した「新宿イーストサイドスクエア」は地上20階、延床面積17万㎡、敷地面積25万㎡、オフィス基準階面積1800坪、想定就業人数1万人という、都内でも有数の規模をほこる複合ビルだ。ゲームソフト開発大手のスクウェア・エニックスが入居を予定するなど稼働前から話題となっているが、報道などによれば竣工時点での入居率は3割ほどという。これを多いとみるか少ないとみるかは意見の分かれるところだが、地元ビルオーナーの間では期待と不安が入り混じっているようだ。
 近隣のあるビルオーナーは「計画時は現在より経済状況が良かったこともあり、大きな期待感がありました」と話す。しかしその後経済は一変し、貸ビル業界開闢以来ともいわれる状況に陥る。前述のオーナーも「不況が長引くにつれ、地域の貸ビル市場のけん引役になってくれるという期待感から、地域のニーズが吸い取られてしまうという警戒感に変わってきました」と明かす。実際にそのような動きはなく、また近隣は中小ビルがほとんどを占めているため同ビルと競合することも無さそうだ。ビルが竣工した今日では再び期待感が高まっているといい、実際に近隣の中小ビルへの引き合いは確実に増加したという。
 しかし7割が空いているという状況にかわりはない。グランドオープンは9月を予定しており、現在ではこれが同ビルの最大かつ唯一の課題となっている。今では地元の多くが同ビルの入居率向上を願っているといい、再開発がもつ影響力の大きさをあらためて感じさせる。

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