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代官山ホシノ 先輩ビルオーナーから助言 ブレーンに恵まれ満室稼働 代官山に商業・事務所ビルを建設

2006.10.09 10:21

 代官山ホシノ(東京都渋谷区)が保有していた土地面積は、95・79㎡。元々住居として使用してきたが、代官山エリアの発展に伴い、ビル開発を決意。地上3階建て、RC造、延床面積153・03㎡の「代官山ホシノビル」を先月竣工させた。
 「当社の所有地は、第2種低層住居専用地域であるため高いビルは建ちませんでしたが、有名な商業施設であるヒルサイドテラスの裏側になることから訪れる人が多く、商業ビルに最適な立地でした」(星野氏)  同氏によると、建築計画の看板を出した途端に5社から問い合わせがあったという。検討の結果、ユナイテッドアローズ(東京都渋谷区・以下UA)が展開する日本国内初出店となる英国のインテリア・雑貨ブランドショップ「キャスキッドソン」が1、2階の店舗と3階事務所を使用する事になった。
 「UAは、東証一部に上場する企業であり、人気のある店舗を展開しています。問い合わせをいただいた後、いくつかの店を見てまわりましたが、店員の教育が行き届いており、契約を決断することにしました。(星野氏)
 さらに同氏は、UAの会社説明会に参加して、今後の戦略面などに納得した上で契約に臨んだ。「上場企業なら大丈夫」と高をくくるのではなく、慎重になったのは理由がある。それは、同氏が所属する渋谷ビル経営者協会会員で、先輩ビルオーナーでもある瑞宝興業の稲垣俊勝社長のアドバイスがあったからだ。
 「稲垣さんは、テナントと契約するときに必ず経営者の自宅を訪問して、人柄などを確認すると話していました。UAは大企業ですから、社長の自宅に伺うわけにはいかず、会社説明会への参加となったのです」(星野氏)稲垣氏からは他にも、「建築時に予備配管用に開口部を多く設けておいた方が良い」「デザインだけでなく、メンテナンスに手がかからない仕様に」などのアドバイスがあったという。他にも本紙連載でもおなじみの飯塚美幸税理士をはじめ、弁護士、会計士などのブレーンにも恵まれたそうだ。また、設計に関しては、山中建築設計事務所(東京都杉並区)の山中將利社長と知り合ったことで、思い通りのビルを建設できたという。
 「当初、依頼していた設計事務所からは、ガラスカーテンウォールによる全面ガラス張りのビルが提案されていました。しかし、ガラス張りのビルは店舗にとって以外に使いにくいなどの話を聞いたこともあり、設計の変更をお願いしていたのですが、中々当社の考えが伝わらないため、山中氏に依頼することになりました」(星野氏)
 重視したのは、地域に自然になじんで20年後に丁度良い雰囲気になるデザイン。山中氏は意図した通りのデザインを提示してくれたという。ただ、外観はコンクリート打ち放しで、劣化が予想されるため、知人の薦めもありビーアールエス(東京都台東区)が展開している浸透性吸水劣化防止コンクリート改質剤「ハイパーロック」を塗布した。これによって雨水の侵入による基材の劣化を予防し、表面が汚れにくくなるという。
 「ハイパーロックは施工コストが安く、実績も多いため塗布することにしたのです」(星野氏)
 デザインだけでなくメンテナンスしやすいビルに、という稲垣氏のアドバイスがここにも活きている。
 竣工とともに満室稼働を実現した星野氏は、「古いビルを取得してリノベーションにも挑戦したい」と、今後の意気込みを話す。様々な人の話を聞く内に、本格的に不動産賃貸業を行っていきたいと考えたそうだ。人任せにせず、自らプロジェクトを推進した星野氏は、自信と貴重な経験というノウハウを得ることができたのではないだろうか。

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