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社会資本整備分科会 建物の安全確保を図る建築行政のあり方 建築士の資格付与要件などを見直し

2006.09.04 16:49

 8月31日に開催された社会資本整備審議会建築分科会において、「建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について」報告を取りまとめ、社会資本整備審議会答申として大臣に提出された。
 答申によると、建築士制度の現状と課題として①能力の不十分な構造設計担当の建築士やチェック能力のない元請け建築士が存在している②重層的な設計業務の実施体制が常態化し、能力の不十分な建築士が市場で沙汰されない③工事監理が適切に機能していない④十分な報酬が得られない建築士が存在しているとあり、住宅の売主等の瑕疵担保責任の現状と課題として、新築住宅の売主等が十分な資力を有さず瑕疵担保責任が十分に履行されない場合、住宅の所有者が極めて不安定な状態に置かれるとしている。
 また、建築行政における現状の課題は、①構造審査等を的確に実施するための建築主事や確認検査員の能力が不十分である②的確に建築行政を執行するための体制整備が急務である③建築物に関する情報の管理体制・提供体制が不十分であると指摘した。
 建築士制度、建築行政の執行体制等の見直しに向けた基本的な考え方としては、「建築士の資質、能力の向上及び高度な専門能力を有する建築士の育成、活用」や「工事監理業務の適正化と実効性の確保」、「業務実態を踏まえた業務報酬のあり方」などを挙げている。
 建築物の安全性確保のために講ずべき施策としては、建築士の資格付与要件の見直しを行い、構造設計などは、仮に特定構造建築士などの資格を設けて、高度な専門技術を有する設計士でなければ実施できないような方策を提案している。
 また、新築住宅の売主などの瑕疵担保責任履行のための資力確保措置として、保険や供託、信託などについての具体的な制度設計について検討を行った上で、住宅の売主などに対し瑕疵担保責任履行の実効を確保するための資力確保措置の義務化を行うことで消費者の保護を図る。

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