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ビルの長期耐用運営セミナー 20日に日本ビルヂング経営センターが開催 資産価値がより高まる建物の使用・維持を提唱

2002.04.01 17:18

 3月29日に、日本ビルヂング経営センターの主催で第219回「特別研究セミナー」が開催された。
 会場は千代田区の弘済会館で小雨が降る中、約40人の来場者が訪れた。
 今回の特別研究セミナーのテーマは「ロングライフストックの時代~長期耐用型ビルの運営管理手法」で講師は2人招かれていた。
 まず13時から講演を行ったのは、旭リサーチセンター主幹研究員で、また旭化成では住宅事業部門のリレーション事業室室長を務めている川口満氏である。テーマは、「ロングライフ時代の不動産経営」。
 川口氏は、地下の下落が止まらず地価形成に構造的な変化が生じ、不動産の地価として収益還元法が主流になっていることを指摘。
 また都市再開発プロジェクトと2003年問題やJ-REIT(日本版不動産投資信託)など不動産業界の潮流についても説明を加えた。
 その上で、これからの不動産経営についての考察を加えた。
 同氏はまず、建設リサイクル法の施工について触れた。建設リサイクル法とは建設資材を分別解体した上で再資源化することを建設業者に義務づけた法律である。
 このような前提を受けてビルの建替えは資源の無駄であり環境破壊であるという意識を持つ必要性を指摘したが、日本は諸外国と比べて圧倒的に建築物の新築と建て替えが多いのが現実だという。
 以上のような前提を述べたうえで、長期耐用型の建物と運営管理手法が問われると述べた。
 最後に同氏は、不動産経営の原点に戻ることの大切さを述べた。土地ではなく収益を産む建物こそが価値の源泉であり、その建物の資産価値を高める経営こそが不動産経営の王道であること。そして、長期安定で高収入を得られることが不動産経営の理想であるので始めから高収入を得ようとする発想より賃料を相場以上に維持するために、市場、テナントニーズの変化に対応することが重要であることを指摘して講演は終わった。
 次の講演に立ったのはオフィスビル総合研究所の代表取締役で三幸エステートの常務取締役も務める本田広昭氏で、テーマは「ビル・不動産ロングライフ・ストック時代の新たな動向と今後の展望」。
 本田氏は、右肩上がりの土地神話を背景としたスクラップ&ビルドを続けて来た時代が終焉し、主役は土地から建物へ後退したことを指摘した。  そして経済のグローバル化は「建物主役の時代」における新しい建物評価軸の導入を捉していること、成長経済が終わった後の「成熟経済」と現在人類が直面している地球環境問題の風潮は長寿命かつ、省エネルギー型の社会基盤の再構築を求めていること説いた。
 その上で、世代を超えて受け継がれる優良な社会資本としての建物をいかにつくり、使い、そして持続・維持させるかについて議論を深めた。

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