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噂のスクランブル 借上げ契約解約で銀行が矢面に 海外小口不動産投資破綻で2千人が被害を訴える
1996.05.01 11:31
不良債権問題でとにかく銀行が矢面に立たされているが、海外不動産の借上げ絡みでもある訴訟問題が進行している。
数年前、リース物件で名をはせたA社が倒産したのがことの発端。このA社は「頭金5%で海外不動産のオーナーに」、「老後の私的な年金に」といったうたい文句で、ホテルの共有持分権等の海外不動産を約2千名に販売。販売した物件はA社が一括して借上げ、購入者に定額の賃料を支払う約束をしていた。ところがA社倒産で借上げ契約は解約され、購入者に莫大な負債だけが残ってしまったというものだ。
購入者が問題にしているのは、購入した海外不動産の実際の収益が保証賃料を大きく上回っていたこと。「借上げ契約を結ぶにはそれに見合った収益をあげているものと信じていたのに、結局は小口の海外不動産を時価をはるかに上回る価格で売るための手段で、これは詐欺商法だ」という言い分だ。そしてA社と事業を共同企画した信託銀、長信銀、それに大手商社2社を訴えている。
借上げや賃料保障といえば貸ビル業界こそ、その最たるマーケット。とても他人事と思える話ではない。