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噂のスクランブル 東京都心で進むハイテク企業空洞化現象 ビル立地へのこだわり低く

1995.07.15 14:49

 東京・笹塚に本社を置くマイクロソフト(成毛真社長)が業務拡大に伴い、この春から夏にかけて部隊の一部を調布市の調布センタービルへ移転させた。調布では同ビルの総賃貸面積3400坪余りを一括で使用する。
 マイクロソフトといてば世界のコンピューターソフト業界を席巻する超優良企業。グループを率いる青年会長、ウイリアム・ゲイツ氏は世界一の資産家でもある。
 そんな同社が東京郊外、それも調布駅から徒歩9分という、決してアクセスやグレードの良いとは言えない場所に3000坪強ものオフィスを構えるのは一見意外な感じがしないでもない。しかしソフトの研究・開発という同社の性格を考えてみれば立地面のハンデはさして業務に支障をきたさず、むしろ、FM(ファシリティマネジメント)の面から見れば合理的なオフィス選定をいうことができよう。
 こうした観点で眺めてみれば、確かにこのところ、いわゆるハイテク関連企業の都心からの脱出が目に付く。
 93年8月に日本ユニシスが赤坂などから江東区の豊洲ONビルへ、94年4月には日本タンデムコンピューターズが千代田区などから品川区の天王洲セントラルタワーへ、翌5月には日本サンマイクロシステムズが千代田区から世田谷ビジネススクエアで、ナムコが大田区から横浜市神奈川区のニューステージ横浜へそれぞれ移転している。
 近年、国内ハイテク企業の相次ぐ海外流出を危機感を持って捉える向きが増えているが、その一方で首都圏のオフィス市場に限ってみても、都心部のハイテク空洞化は確実に進行しているといえる。




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