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マッカーサー道路 環状2号線 48階建てオフィスビルなど再開発計画案まとまる!!立体道路制度活用し一帯のビル延床倍増へ
1995.07.15 14:44
戦後間もない昭和21年の都市計画決定以降、今日まで計画が凍結されたまま、再開発と絡めてその成り行きが注目されていた環状2号線、新橋-虎ノ門間の未整備区間について、都がこのほど計画素案を作成した。
この中で都では、立体道路制度を活用した市街地再開発事業を基本線として地下式道路の上に低層ビルを整備するのに加え、新橋、虎ノ門の両地区では超高層、高層の大型ビルの建設も盛り込んでおり、東京都心部のビル市場に影響を与える動きという観点からも注目される。
環状2号線は東京の都市部を環状方向に結ぶ主要な幹線道路で、昭和21年3月に都市計画されたもの。25年に福音100mから40mに変更され、現在、虎ノ門-神田佐久間町については既に供用されている。また平成5年7月には臨海副都心への主要アクセスとして汐留方面への延伸部も計画決定された。
新橋-虎ノ門間はマッカーサー元帥の強い意向で計画されたと言われることから通称「マッカーサー道路」とも呼ばれているが、これまで地元住民の反対などもあり未整備のままの状態となっている。
東京都では平成4年7月に相談コーナーを開設、5年7月に第1回全体説明会を開いたのをはじめ、ブロック別、町会単位での説明会などを重ね、住民の意向を踏まえた上で今回の計画素案の作成に至った。
素案によれば、道路は本線4車線の40mとし、新橋-虎ノ門間のうち、新橋側の第一京浜から虎ノ門側の桜田通りまでを平成5年に誕生した地下トンネル式の道路とし、桜田通りから外堀通りの間については地下道路の形で整備する。
地下に本道が潜る形のトンネル区間については、地上部に片側1車線の副道をつけ、その中央には3階建て規模の低層の商業ビルや広場などを整備する。
また、トンネル区間のほぼ両端にあたる新橋、虎ノ門両地区には周辺地域を含めた大規模な再開発拠点を設ける。虎ノ門地区には地上48階建て、延床13万2000㎡のオフィスビル、18階建ての高層住宅棟2棟、新橋地区にも上階に一部住宅が入る延床5万9000㎡の業務用ビルを建てる。
こうした大規模再開発も含め、一帯のビル延床面積は現在の約12万㎡から約25万3000㎡へとほぼ倍増するという。
東京都建設局再開発部の道家孝行副参事は、「立体道路制度を活用し、大規模な再開発を絡ませることで地元地権者の方々に開発後も地元にとどまってもらえるように配慮した。虎ノ門のビジネス性、新橋の賑わいなど地域の特色も活かした計画立案を心がけた」と語る。
都ではこの素案について5月23、24日に地元住民への説明会を開催。今後も町会単位や、今秋を目途にブロックの別の説明会を順次開催し地元の理解を得たうえで、年度内にも都市計画案をまとめたいとしている。
今後の成り行きが注目される。
・地権者、借家人対象に意向調査実施 計画線内からも早期着工求める声が
東京都では昨年9月から環状2号線の計画線内の地権者および借家人、周辺区域地権者の3者合わせて約1300件を対象に意向調査を行った。
これによれば、立体道路による再開発事業については、3者とも9割前後が「良く知っている・ある程度知っている」という答えで計画の認知度の高さを示した。
開発を幅員40mの計画線の内に限定するか周辺まで拡げるかという点では、計画内の地権者、借家人側は「計画線内だけでよい」が多いのに対し、周辺地権者の側では「周辺を含む方が良い」が多いという対称的な結果がでた。
今後の事業の進め方については、計画線内の地権者、借家人の過半数が「早期着工を重視すべき」というのに対し、周辺区域の地権者では「多少時間をかけてもより良いまち作りを重視すべき」という意見が上回るなど、ここでも対称的な結果が出ている。
再開発ビルについては地権者の中で4~5割が「条件によっては床取得希望」とし、その利用用途では住宅、事務所が目立った。