不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.08.13 15:28

 「ホテルストーク」「ホテルリリーフ」「リリーフプレミアム」ブランドのホテルを全国展開しているフェリーチェ(本社・沖縄県那覇市)では、この3月から適切な販売管理を行う手法、いわゆる「レベニューマネジメント」に2社のAIシステムを導入し、経営効率向上の一助としている。

フェリーチェ ホテル運営にAIシステムを採用 人的判断を加え最適な経営手法探る
2社を同時に導入 データ集積で比較
 「AIは最初から完全ではありません。学習させなければ自社の運営にフィットしていきません。それぞれにデータ集積の特長があり、かかる投資も異なるのです」。あえて2社のシステムを同時稼働させることについて同社はこう話す。
 同社が採用したのはメトロエンジン(東京都港区)が運営する「メトロエンジン」と、空(東京都渋谷区)が運営する「マジックプライス」。まず大阪、東京、札幌で始動させている。どちらが優秀か、システムがどのように自社にフィットしていくかを使ってみて判断していくという。
 従来のレベニューマネジメントは、マネージャーの経験や感覚に頼るところが大きく、数値などによる裏付けに基づいた価格決定ができているとは言い難かった。
 一方、AIシステムは、イベント情報や宿泊客の行動など、蓄積されたビッグデータにより客室販売価格を導き出していくもの。これまで時間と手間のかかったリサーチ、情報収集を自動化することにより、早期に適正価格の施策をうて、価格競争に陥ることなく競争優位をつくることができる、というのが大きなメリットだ。
 しかし、「一般に、AIは人件費削減のメリットを謳っていますが、当社はAIですべて補えるとは考えていません。当社の考えるレベニューマネジメントは人を介する部分を外すことはできないと考えています」(同社)。このため同社は、全てをAIに依存することは決してないという。
 たとえば直前販売となれば、競合施設の価格変動やマーケットの急な動きなど、状況に応じて人が判断する必要が必ず出てくる。
 人工知能はエリアの宿泊単価の平均値をとるが、隣の施設が最安値を付けているのに平均値を付けていては競争に勝てない。従って「ベンチマークするホテルの価格変動を常に人の目で管理しなければならないのです」(同社)。

予算管理等メリットほかの施設でも活用へ
 また、「AIは予算管理ができません。月末であと1万円が必要でも、AIが8000円とはじき出してしまったら、予算に届かなくなってしまいます。この場合は1万円で部屋を出し、2000円分のサービスを付けるなど、人の創意工夫やコントロールが必要になります」(同社)。
 時間がかかって面倒な部分、つまり情報収集をAIで行い、必要なタイミングに応じて人間がコントロールを行う、同社はAIと人の手、この2つを両立させていく考えだ。
 同社は現在、沖縄県、福岡県、大阪府、北海道、東京都で計7店舗を運営しているが、今年は8月に大阪・心斎橋、9月は上野、10月赤坂、12月に神田と、東京・大阪を中心に出店していく計画で、2025年までに30店舗体制にまで拡大していく。

アパホテルが六本木5棟を着工
 アパグループ(東京都港区)は7月20日、「(仮称)アパホテル〈六本木ホテル群〉」の計画地で、起工式を行った。
 同ホテル群は、現在運営中の「アパホテル〈六本木一丁目駅前〉」の隣接地に連続して5棟859室を建築するもので、完成すれば既存施設と合わせ6棟1001室となる。 
 アクセスは、東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅より徒歩3分、六本木通りに面した3駅4線が利用可能な「駅前立地」に位置し、ビジネスやレジャーに適した至便な立地となる。  新たに建築するホテルは、それぞれ地上11階から15階建てで、102室から192室。設計はIAO竹田設計、施工は新日本建設、デザイン監修は辻本デザイン事務所が担当し、2020年夏の開業を予定している。
 新ホテルの主な特徴は、全館LED照明採用、ガスヒートポンプエアコンによる電気使用量の削減、高効率ガス給湯器、ガス・コージェネレーションシステムによる排熱の有効利用といった「エコ仕様」。通常より約20%節水可能な卵形浴槽、サーモスタット付定量止水栓、節水シャワーの採用。アパホテルオリジナルベッド「Cloud fit(クラウド フィット)」」導入、ベッドとの相性を科学的に検証し開発したオリジナル3Dメッシュまくら。全客室に50型以上の大型テレビの設置。「明るいホテル」をコンセプトとして、全客室にLEDシーリング照明の設置。客室の照明・エアコンのスイッチ・リモコン・USB充電専用コンセントを全てベッド枕元に集約など。
 六本木エリアでは、全142室の「アパホテル〈六本木一丁目駅前〉」、全125室の「アパホテル〈六本木駅前〉」の2棟・全267室が運営中であるほか、「(仮称)アパホテル〈六本木ホテル群〉」に続き、2021年秋には全669室の「アパホテル〈六本木駅東〉」を加えた6棟・1528室が開業予定であり、六本木エリアのアパホテルは全8棟・1795室となる。

良品計画が中国にオープン
 良品計画(東京都豊島区)は、中国の北京にて「MUJI HOTEL BEIJING」と無印良品北京坊を、6月30日に開業させた。
 同ホテルは天安門広場を目前に望む北京中心街の一角。いくつもの世界遺産が点に位置する。客室は全42室、フロア構成は1~4階、レストラン・カフェ・BOOK LOUNGE・ビジネスセンター・ユーティリティルームなどを併設する。
 客室は、珪藻土や麻、綿、石といった、人が古くからつきあってきた自然素材を取り入れ、天然の機能と風合いをいかした空間にしている。広さの異なる6つの部屋タイプから選ぶことが可能だ。また客室の備品の一部は地下一階の無印良品店舗で購入することができる。
 同ホテルは「アンチゴージャス、アンチチープ」をコンセプトに、適切な価格で良く眠れ、旅先において体と心を整える空間と、宿泊客と土地をつなげるサービスを用意。無印良品の店舗と連携することで、タオルの手触り、コンセントやスイッチの配置、レストランのメニューや空間などを通して、無印良品の思想を体感できるホテルを目指している。
 同社では今年1月18日に中国・深セン市に「MUJI HOTEL SHENZHEN」を、6月30日に中国・北京に「MUJI HOTEL BEIJING」をオープン。2019年春には東京・銀座でもオープンを予定している。

ホテル川久リニューアル
 南紀白浜温泉 ホテル川久(和歌山県西牟婁郡)では、主要客室である「カワキュウスイート」の和洋室9室を改装、夫婦から3世代のファミリー、また増加中の訪日外国人へ日本のホテルの快適さを提供する和モダンテイストの「スーペリアジャパニーズスイート」を7月8日にリニューアルオープンした。
 新客室は、同館の主要客室「カワキュウスイート和洋室」9室の中央壁を取り払ったもの。  玄関では靴を脱ぎ、素足で過ごす日本スタイル。約21帖のタタミリビングからはパラマウントウィンドウごしに目のまえに広がる田辺湾と紀伊山脈の絶景を一望できる造りとなっている。また、主寝室のツインベッドには「シモンズ」製を使用した。
 同ホテルは、阪和自動車道南紀田辺ICより19km。客室数は85室。
これまでに2016年7月露天風呂付最高級スイートルーム「プレジデンシャル スパ・スイート」、2フロアで繋がる最高級スイートルーム「プレジデンシャル メゾネット」を設置している。

「ドーミー」ブランド大阪に
 共立メンテナンス(東京都千代田区)は8月1日、「ドーミーインPREMIUMなんばANNEX」をオープンさせた。
 大阪市内では6棟目となる同施設は、「心斎橋」駅、「長堀橋」駅、「日本橋」駅の3駅4路線の利用が可能な立地にあり、地上13階建て。
 客室数は151室、半数以上がクイーンベッドを用いた仕様となっており、ビジネスから子供連れ、インバウンドまで幅広く利用することができる。
 天然温泉は生駒西村温泉 健麗の湯。朝食は同社オリジナルの「どて焼きまん」をはじめとし、大阪ならではのご当地メニューを加えた約60品目の和洋食バイキングを提供する。夜食にはドーミーイン名物のあっさり醤油ラーメン「夜鳴きそば」を無料サービスする。

「家庭の食卓」でインバウンドマッチング
 ZAZA(愛知県みよし市)は、日本の家庭の食卓で交流したい訪日旅行客と、家庭料理を訪日旅行客に振る舞いたい日本人ホストをオンラインで結ぶマッチングプラットフォームサービス「airKitchen」を運営している。
 同サービスは民泊とは異なり、日本人料理ホストが家庭料理体験を訪日旅行者に提供するもの。日本人料理ホストは訪日旅行客を自宅に招いて、日本の家庭料理を一緒に作る。 民泊新法が施行されたことにより、民泊への登録のハードルが一層高まった。民泊は法律の問題を抜きにしても登録へのハードルは高い。特に、他人を家に泊めるという点で家族の同意を得ることが困難な場合が多いという。
 同サービスにはこれまでも、異文化交流をしながら収入を得たいが民泊には登録できないという主婦が多く登録していたが、民泊新法が施行されて以降、登録者が急増しているという。 
 民泊新法が施行され、その厳格な規制を理由にサービス継続を諦める民泊オーナーが増えている。このような背景を受け、民泊とは異なり日本人家庭で旅行者に食事を振る舞うサービスが民泊オーナーの受け皿としてユーザー数を増やしている。同社も民泊新法の追い風を受け、急速な事業拡大へとつながっている。

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