不動産トピックス

【7/27号・今週の最終面特集】建物の維持保全アイディア集

2026.07.27 10:31

断熱による快適性向上に高いニーズ 質の良い睡眠で作業効率にも寄与
実証実験からもZEHの有効性確認
 全国各地で梅雨明けが発表され、気温が急激に上昇。今年から新たに追加された最高気温40度以上の「酷暑日」を早くも記録する地点もある。一方でゲリラ豪雨に代表される天候の急変も近年は顕著となっており、極端な天候の変化への対応は、建物の快適性維持において非常に重要といえる。建物を長持ちさせ、快適な空間をつくる技術の進化を追った。

リノベ需要は一定数存在 省エネ性能重視の傾向に
 デジタルマーケティング事業を手掛けるNEXER Group(東京都豊島区)は、住宅リノベーションへの関心と検討状況に関する調査を実施。今月23日に調査結果を公表した。この調査は、MUSBUプラットフォーム(札幌市西区)が運営する「住まいの相談窓口『むすぶ』」と共同で行われたもので、事前調査で「現在持ち家に住んでいる」と回答した全国の男女500名を対象に「リノベーションへの関心と検討状況」についてのアンケートを行った。
 「自宅をリノベーション(大規模改修)したいと思ったことがあるか」という質問には、71・8%が「ない」と回答。一方で、「既に実施している」、「検討している」、「検討したことがある」の回答の合計は約3割となり、一定数がリノベーションに関心を持っていることが分かる。また、現在の住まいのリノベーションを検討している、または検討したことがあると回答した人に対して「リノベーションするなら主にどう変えたいか」と聞いたところ、「断熱・気密性能を高めたい」との回答が28・4%で最も多く、キッチン・水回りの更新や間取りの変更が続いた。断熱・気密性能を重視する理由としては、「夏は暑く冬は寒い」といった体感的な不快さや、より快適な住まいにしたいという声が多く聞かれた。住まいの快適性へのニーズに加え、住宅の省エネ性能向上により光熱費への貢献も、リノベーションにおいて重視される傾向にあると同社は分析している。
 断熱性能は快適性に大きく影響することはさまざまな実証からも明らかになってきている。東京建物(東京都中央区)は、YKK AP(東京都千代田区)と慶應義塾大学と共同で、ZEH基準への改修が住む人の快適性に与える影響の検証を目的とした実証実験を実施。これは、東京建物が開発・保有する築20年の大規模賃貸マンション内で環境性能をZEH基準にまで向上させた住戸と、通常の改修住戸を用意。それぞれの住戸に被験者が宿泊し、温湿度やバイタルデータを比較することでZEHが快適性・健康性に与える影響を可視化するために行われたものである。
 実証実験は2025年8月と2016年1月から2月にかけての2度にわたって実施され、室内環境や冷暖房時の消費電力などを測定した結果、ZEH改修住戸の方が通常住戸と比べ電力消費を抑えることができ、室温の変動が少ないことが確認された。開口部のサーモグラフィー画像による温熱環境評価では、ZEH改修住戸は夏季に日射熱が低減され、冬季はガラス面の温度低下の抑制を観測。また冬季にコールドドラフトと呼ばれる、窓付近から冷たい空気が吹き下ろす現象も発生しづらいことが分かった。
 そのほか、実証実験では被験者の睡眠効率や作業課題の成績も測定。ZEH改修住戸では睡眠効率が良く、その結果として作業課題の成績が向上することも示された。このことから、室内の温度差が生じにくいZEH改修住戸の室内環境が、住み心地に関係していることが示唆された。  快適性の向上だけでなく、建物の劣化防止や長寿命化の視点からも、維持保全の取り組みは大きな意味を持つ。特に昨今は気温の急激な上昇に加え、台風や豪雨災害など、極端な気候の変化が建物の劣化進行を早める要因ともなっている。中でも注意を払っておきたいのが建物の漏水被害である。建物の屋上部や外壁などで発生した亀裂から雨水などが浸入すると、構造部の鉄筋を腐食させ建物全体の強度を低下させるほか、貸室内への漏水が発生すれば営業補償など金銭的な負担も発生する恐れがある。
 こうした被害を未然に防ぐための手立てとして、周期的な防水工事は必要不可欠である。一方で前述したように自然災害は近年において想定を上回る被害をもたらすケースも散見され、万が一の被害発生に備えたシナリオも検討しておく必要があるだろう。漏水被害の原因を特定し補修を行う手立てとしては、止水工事が挙げられる。止水材を注入することで水の浸入経路を遮断する止水工事は、漏水被害の緊急対応から補修の役割を担う。もしもの場合の対策として知っておきたいところだ。

ベイプラン ビル・マンションの止水工事を専門に手掛ける
水が漏れ出している箇所からも止水材の注入が可能
 ビルやマンションなどの躯体に大きな影響を与える漏水被害に対し、ベイプラン(千葉県船橋市)では原因を調査して補修を行う止水工事を専門的に手掛けている。
 漏水は屋上や壁面、窓まわりといったさまざまな箇所やクラック(ひび割れ)などの隙間から雨水などの浸入によって引き起こされる。放置すればコンクリート内部の鉄骨を腐食させ、建物の安全性を損ねてしまうだけに、早急な対応が必要だ。ベイプランの代表取締役・木下啓弥氏は「当社は、水の通り道となっている隙間に止水材を注入する独自工法を開発し、信頼性の高い止水工事を得意としています。特徴は、水が浸入する箇所だけでなく、漏れ出している箇所からも止水材の注入が可能な点です。クラックの場合では、最小で0・2mmという非常に小さな隙間でも止水材の注入が可能で、漏水被害を食い止めます」と話す。
 木下氏が「意外と多い」と話すのが、地下室やエレベーターピットで発生する地下からの漏水被害である。地下の場合、漏水の原因特定が困難になりやすく、対処も難しいとされるのだが、同社の止水工事は先述のように浸入した水の出口部分からでも対応が可能となっているため、隙間に止水材を注入することで地下からの水の浸入を食い止めることができるという。木下氏は「漏水を未然に防ぐための防水工事は広く知られていますが、漏水が起きた際の対処としての止水工事は、まだまだ認知度が低いと感じています。万が一のトラブル時に被害を最小限に抑える止水工事を広く知っていただきたいと思います」と述べている。

アイ工務店 新CMで「夏断熱」の重要性をPR 全国47都道府県で営業拠点を展開
 アイ工務店(大阪市北区)では、全国各地における営業拠点の展開を積極的に行い、2025年10月に鳥取県での住宅展示場の開設をもって47都道府県への展開を完了。直近の事業年度において9300棟を超える建築依頼を受け、2025年度の年間引渡は8000棟を達成。取締役の斎藤隆輔氏は「全国で営業拠点を構える上で、現地で雇用を創出し地域密着を掲げているのが当社の特徴です。年間の引渡数8000棟は全国トップクラスの数字で、市場が縮小するなかでも着実な成長を続けています」と述べる。
 同社は住宅の省エネ性能や断熱・気密性能に着目し、高水準な断熱性能を標準装備した住宅シリーズ「N-ees(ニーズ)」を手掛け、快適な住まいづくりに努めている。今月18日からは、タレントの渋谷凪咲さんをイメージキャラクターに起用した新CMの放映も実施している。新CMのテーマは「夏断熱」。断熱というと冬を連想することが多いが、断熱性能が高い住まいは夏の快適な住まいにも大きく貢献することをPRしている。渋谷さんを起用した理由について、斎藤氏は「住宅の性能価値を分かりやすく伝えてくださる方」としている。




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