不動産トピックス

【10/19号・今週の最終面特集】不動産管理に新たな動き 駆けつけ業務のアウトソーシング

2026.10.19 10:51

法人向けの緊急対応サービス「建物クイックレスキュー」
24時間365日受付・10月14日から提供開始
 不動産オーナーだけでなく管理会社にとっても業務負担が大きいトラブル発生時の駆けつけ業務。管理物件へすぐに駆けつけなければ、不満やストレスにつながり、後に退去・解約等にもなりかねない。近年では駆けつけ業務を管理会社に代わって対応する企業が増えている。同業務をアウトソーシングする企業が増えている。

共用部でのトラブル対応 一時対応までが業務範囲
 NTTグループの日本メックス(東京都中央区)は10月14日、法人が保有・管理・運営する建物の共用部で発生した突発的なトラブルに対応するサービス「建物クイックレスキュー」を開始。まずは一都三県の一部エリアから始め、今後は全国主要都市への拡大を目指していく。
 新たに始めた「建物クイックレスキュー」は、建物の共用部で発生した漏水や電気および給排水設備、建具などに関するトラブルへ、24時間365日の受付対応と、現地への駆けつけ、応急措置、報告、修繕工事の提案などを1つの窓口でサポートするサービス。緊急時の駆けつけ対応は、建物のオーナーおよび管理会社でも重要な課題項目。特に入居テナントや就業者からの信頼関係に大きく影響し、迅速に対応できないとマイナスなイメージを持たれやすい。オーナーや管理会社に代わり現場に駆けつけるサービスがあれば、複数の建物を保有管理する不動産会社の業務を大幅に軽減することになる。
 昨今の管理・ビルメンテナンス業界では人手不足が深刻化。日本メックスが実施した調査では、63・6%の建物のオーナーおよび管理会社が「人手不足が原因で、緊急駆けつけができていないことがある」、または「緊急駆けつけにより現場の稼働が逼迫している」と回答(2026年3~9月実施)。こうした人手不足を背景に、緊急対応体制の確保が課題になっている。
 またザイマックス不動産総合研究所(東京都港区、現ザイマックス総研)が2023年7~8月に行った「ビルオーナーの実態調査2023」によると、オフィスや店舗、住宅、倉庫、宿泊施設などを保有するオーナーの約60%が「緊急体制・防災設備の強化」を検討中、または興味があると回答した。ちなみに回答が得られた企業は、東京商工リサーチデータより抽出した計2万2578社のうち、売上が1000万円~30億円(東京都のみ3000万円~30億円)で、賃貸事務所業を「主」または「従」とする企業のうちの873社。多くの企業で駆けつけ対応を求めていることが分かった。

必要に応じて見積り提示 窓口で一貫して対応可能
 これら需要に対し日本メックスは、これまで維持管理契約のある建物に対して、全国59拠点で年間4200件以上もの緊急対応および修繕を行ってきた。既に24時間365日受付およびコールセンター運用といったノウハウも蓄積しており、同サービスはこうしたノウハウや体制を基に「ビルメンテナンス業界における人手不足」の課題を解決するものとして開始した。
 「建物クイックレスキュー」は、維持管理契約が無い建物でも利用でき、契約時に登録した建物で発生したトラブルに対し、事前の取り決めに基づき現地で対応。現地では状況確認と被害拡大防止、安全確保などを目的に、停止・遮断・閉止・開閉・隔離・リセットなどの必要最小限の応急措置を実施。対応後は現地状況や実施した応急措置の内容、現場写真、修繕工事の要否などを同社所定の報告書にまとめて提出。修繕工事が必要な場合には、必要に応じて別途見積りを提示。個別契約の締結後に対応する。これによりオーナーや管理会社は、緊急対応の受付や修繕工事の相談・提案まで、同社窓口で一貫して進めることができる。
 取締役 営業本部副本部長の松澤伸好氏は「維持管理契約が無くても1棟からでも利用できるサービスとなっており、月額料金ではなく駆けつけが手配されて初めて費用が発生する仕組みです。また一次対応までが範囲となり、かつ建物の共用部のみが対象となります。対象建物は賃貸マンション、オフィス、社宅などで、その他の建物についても幅広くご相談を承ります。オーナーやPM会社の業務負担を軽減できる点が最大の特徴です。当社は1972年の設立以来、NTTグループ関連の施設を中心に建物総合管理と建物・設備工事などを展開してきました。その知見やノウハウを生かし、まずは一都三県の一部の地域から徐々にエリアを広げていきます」と語った。

24時間365日対応の「くらしの安心365」
 U-NEXT HOLDINGS(東京都品川区)のグループ会社で、家賃債務保証サービスを提供するUSEN TRUST(東京都品川区)は、昨年5月から開始した住居用家賃保証サービス「レジデンス家賃保証」の契約者向けに、今年7月28日から24時間365日体制での暮らしのサポート「くらしの安心365」を開始した。
 「くらしの安心365」は、「レジデンス家賃保証」の契約者を対象とした暮らしのサポートサービス。居住中のトラブルへの駆けつけ対応から入居者の安否確認まで含めた住居用のサービス。駆けつけ修理サービスの場合は、居室内で発生した水まわりや鍵、ガラス、電気、空調などの急なトラブルに専門スタッフが駆けつけて対応。生活トラブル解決サービスを展開するジャパンベストレスキューシステム(名古屋市中区)と連携して提供する。無料の対応範囲を超える場合は、別途費用が発生する。

好評の駆けつけ修理&入居者見守りサービス
 入居者見守りサービスは、物件のスマートメーターから取得した電気使用量をもとに異変を検知。入居者の安否確認を行うもの。入居者への安否確認については最初にSMS(ショートメッセージサービス)または電話で実施。その後、入居者本人に安否状況を回答してもらい、万一確認ができない場合は緊急連絡先へ報告。さらに緊急連絡先からの安否確認も難しい場合は、管理会社へ直接通知する。できるだけ早くに入居者の安否状況について確認できる仕組みを採用した。室内に別途機器類を設置する必要がないことも特徴のひとつ。この入居者見守りサービスは、中部ミライズコネクト(名古屋市中区)が提供する「テラシテR」を利用する。
 「くらしの安心365」は、賃貸人だけでなく管理会社にとっても駆けつけ業務のアウトソーシングとして好まれている。質の高い管理体制が実現し、入居者の見守りサービスにおいては管理物件での孤独死などを未然に防ぐことにもつながる。各サービスは個別に申し込みも可能。同社は今後も家賃保証サービスの機能拡充に努めながら、利用者の満足度向上を目指して提供していく。


駆けつけでの一時対応 現状難しい管理会社も多い
 万一のトラブル発生時の連絡先として、オーナー自身の連絡先や管理会社の連絡先を記載しているビルは多い。しかし「すぐに駆けつけて対応できるかどうか」までは難しく、連絡があった「翌日の対応」が最も早い管理会社も見かける。最初の連絡から30分程で駆けつける一次対応が可能な管理会社は少なく、また管理会社もそのような一次対応を行いたいが自社の社内状況から、できないケースを聞く。また事業用を対象とした駆けつけサービスであると「共用部のみ」と、「専有部内も対応可能」という事例を見かける。特に飲食や来店型のサービス店舗が中心の商業ビルであると、「専有部内で発生したトラブルも対応可能」なサービスを選択するだろう。ただし駆けつけ対応の回数や対象エリア、また費用が発生する事例についてもサービスで大きく異なるため、事前の確認が必要となる。




週刊不動産経営編集部  YouTube