不動産トピックス

【9/7号・今週の最終面特集】潜入 話題の新施設 札幌で生まれる新たなムーブメント

2026.09.07 09:31

ミドルサイズでSクラスと同等の高スペックビル
地下空間生かしたイベント企画で地域に根ざした施設運営目指す
 札幌市中心部では既存物件の建替え・再開発が各所で進んでいる。将来的には新幹線が延伸開業し、東京からの距離もさらに縮まるだろう。今後の発展性を加味して開発された話題の新物件を紹介していきたい。

中心部の好立地に新築ビル WeWorkは道内初拠点
 5月1日、新築オフィスビル「THE VILLAGE SAPPORO(いちご若草札幌ビル)」が開業した。物件は市営地下鉄「さっぽろ」駅より徒歩2分、「大通」駅より徒歩4分、JR「札幌」駅より徒歩6分の好立地に位置し、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)に直結。建物規模は地上13階地下1階塔屋1階、敷地面積990・20㎡、延床面積1万2300・85㎡となっている。
 オーナーのいちご地所(東京都千代田区)は、現存する不動産に新しい価値を創造する「心築」を中心とした不動産事業を展開。札幌では2020年に、すすきのエリアにおいてライフスタイルホテル「THE KNOT SAPPORO」を手掛けた実績を持つ。今回開業した「THE VILLAGE SAPPORO」は、いちごのオフィスブランド「VILLAGE」シリーズの第5弾として企画されたもの。いちご地所の代表取締役社長・細野康英氏は「『VILLAGE』シリーズは東京・門前仲町での事例を皮切りに展開を進めているミドルサイズのオフィスブランドで、テナントや地域とのコミュニティ形成を重視した商品づくりが大きな特徴です」と話す。
 オフィスビルでありながら、共用部分の内装デザインはホテルライクな高級感のあるしつらえとした。基準階のオフィスは1フロア約200坪で、レイアウトの自由度が高い無柱空間を実現。またSクラスビルと同等のスペックとすることで、競合物件との差別化を図っている。運営を担当しているいちご地所の心築プロデュース室兼心築運用部プリンシパルの田村圭氏は「入居企業のBCP(事業継続計画)に配慮した強固な建物構造に加え非常用発電機の設置など、さまざまな災害対策を採用しております。また環境性能にも特化しており、『CASBEE札幌』では最高水準のAランクを取得したほか、『ZEB Oriented認証』を取得。札幌市の『ゼロカーボン推進ビル』にも認定されています」と語る。
 物件にはフレキシブルオフィス「WeWork」が道内初の拠点を開業。前出の田村氏によれば物件全体でもリーシングは順調に進んでおり、「7割半ばまで成約が進んでおります」とする。開業後にはオープニングパーティやメディア向けのお披露目イベントが開催され、札幌市の秋元克広市長や元プロ野球選手の斎藤佑樹氏らも出席した。いちご地所の細野社長は「『THE VILLAGE SAPPORO』では、『チ・カ・ホ』に直結する地下空間を開放することで容積の割り増しをいただきました。これまで『VILLAGE』シリーズではテナント同士の交流会などを企画してきましたが、当物件では地下空間を活用したイベント企画など、街とつながる取り組みを積極的に展開し、シリーズコンセプトにもあるコミュニティ形成に寄与していきたいと考えています」と述べている。

すすきのでホテル開業「キングムー」の歴史継承
 中部電力グループの総合不動産デベロッパーであるエスコン(東京都港区)は、札幌市中央区南7西4において開発したホテル「ランドーホテル札幌ヘリテージ」を6月26日にグランドオープンした。
 「ランドーホテル札幌ヘリテージ」は、地下鉄南北線「中島公園」駅より徒歩6分、「すすきの」駅より徒歩7分のすすきのエリア南部に位置しており、敷地面積は1463・09㎡。建物規模は地上14階建て、総客室数125室のホテルである。かつてすすきの象徴として広く愛されたダンスクラブ「キングムー」の跡地で開発されたもので、「キングムー」は2023年に惜しまれつつ営業を終了。その後、2023年にエスコンが土地・建物を取得して建替えを推進してきた。このような経緯を持つことから、ホテル名にもあるように内装の一部には当時の内装材を再利用するなど、「キングムー」の記憶を継承する演出がなされている。開発事業本部建築企画部の三浦陸夫氏は「メインエントランスのポーチ部分には往時の雰囲気を感じさせるオブジェを配置し、エレベーターホールには手で触れると文字盤が光る石板を設置しました。『キングムー』の歴史やすすきのの地で築いてきた文化・遊び心を感じていただければと思います」と話す。
 客室は、全125室のうち110室でダブルベッドを2台以上配置。4~5名のグループが滞在可能なゆとりあるサイズが中心で、ユニットバス、キッチン、洗濯機を設置して中長期の滞在に対応する。前出の三浦氏は「6月のオープンから、インバウンドだけでなく国内のお客様にも多くご利用いただいています。すすきのの中心エリアが徒歩圏内にあり、高いアクセス性をご評価いただいているものと考えております」と述べる。
 エスコンは北海道内において、北広島市の「北海道ボールパークFビレッジ」内での不動産開発が広く知られており、札幌市内では今回オープンした「ランドーホテル札幌ヘリテージ」をはじめ中心部での積極的なホテル開発を展開している。これまでの実績やノウハウを生かし、今後は函館や富良野といった道内の主要都市でもホテル開発を行っていく構えだ。


「アーバンネット札幌リンクタワー」10月3日グランドオープン
 NTT都市開発(東京都千代田区)は、本年6月に竣工した「アーバンネット札幌リンクタワー」を10月3日にグランドオープンする。高層部に位置するホテル「ハイアット セントリック 札幌」も同日開業する。
 物件は北海道庁旧本庁舎の南側に位置し、建物規模は地上26階地下2階。延床面積約6万941㎡。オフィス、ホテル、商業店舗、スタートアップ支援施設を備えた複合施設で、スタートアップ支援施設「HooK」は7月15日、商業店舗は3店舗が今月1日に開業している。


<物件概要>
物件名:「THE VILLAGE SAPPORO(いちご若草札幌ビル)」
所在地:北海道札幌市中央区北二条西三丁目1番地2
敷地面積:990.20㎡
延床面積:1万2300.85㎡
建物規模:地上13階地下1階塔屋1階




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