不動産トピックス

【8/31号・今週の最終面特集】契約書管理のDXおよび効率化

2026.08.31 14:47

AIを活用した契約書管理が普及
進む一元管理と情報共有 リスクマネジメントも視野に利用増加
 改善が進んでいるとはいえ、未だ不動産業界では契約書(原本)の管理業務における課題が多い。貸主である不動産オーナーや不動産事業者、また管理会社などでも問題になっており、電子化や一元管理の需要が急速に高まっている。これら問題を改善・効率化するサービスの登場は、不動産業界でも注目の的となっている。

契約書の管理業務 アウトソーシングも妙案
 設備文書管理や電子文書管理ソリューションを提供する東京レコードマネジメント(東京都品川区、以下TRM)。以前から不動産事業者や管理会社に対して、契約書の管理業務における課題解決等に協力してきた。
 東京電力グループのTRMは、契約書の管理業務における効率的な運用方法やフォロー体制を提案している。管理戸数が数万戸・数千戸の不動産事業者になると、契約書(原本)の管理や電子化作業ですら多大な業務負荷が発生。「必要な時に必要な契約書の原本が見つからない」、「どのように管理すればよいか分からない」、「いつまで原本を保管していればよいか分からない」など、これら課題が積み重なった状態で改善できないままの企業は多い。また膨大な数・量となる契約書の保管場所を費用面(割安な保管料金)だけで選び、自社から遠方の保存庫に保管しているケースもある。後々必要となった際に取り出す手間などがありながら、半ば放置も少なくない。
 TRMではこれら課題に対して、業務内容や予算なども加味した施策を立案している。最初に現状の保管状況をヒアリング。後に解決策の立案と、実行および検証を行い、より効果的な運用管理になるよう継続してフォローアップもする。同時に外部の保存庫選びのポイントも説明する。保存庫の中には、直接足を運んで中の資料を閲覧できる保存庫とそうでない保存庫がある。保存庫選びの重要性や解約後の契約書原本管理についても説明しており、事業者に好まれている。
 東京事業本部 営業部 東京営業グループの杉村義仁氏は「契約書の管理業務で課題を抱えている不動産事業者は多く、業務が属人化しているケースも聞きます。よく聞く事例では、契約書の管理業務を社歴の浅い若手社員の担当としている企業を聞きます。しかし昨今の若手社員は転職するスピードが早く、企業によっては担当者が変わるたびの教育や業務が属人化していると引き継ぎが上手くいかない場合もあります。自社のコア業務以外、特に契約書の管理業務等はアウトソーシングすることが良い場合もあります」と述べた。
 昨今はどの不動産事業者においても人手不足が問題となっており、既存業務の効率化が急務。営業に注力したい企業にとっては、手間のかかる契約書の管理業務を外部へ委託することが、実は費用面から見ても好ましいケースは多い。また文書紛失や誤廃棄(削除)、漏えいなどのリスク対策、災害時における業務の継続性確保も視野に入れて対応しなくてはいけない。貸主である不動産オーナーや不動産事業者の多くで、賃貸借契約書の管理を見直すタイミングが来ている。

三井不動産導入開始で契約書約2000件をデータ化 Sansanの「コントラクトワン」
情報共有の手間削減 大幅に業務が効率化
 Sansan(東京都渋谷区)は、「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとして掲げ、AIを活用して働き方を変革するAXサービスを提供している。代表的なサービスの1つである「Sansan」は、名刺や企業情報、営業履歴を一元管理して情報共有し、売上拡大とコスト削減を同時に実現する営業ツールとして多くの企業が採用している。また、契約AXサービス「Contract One(コントラクトワン)」は、紙や電子といった形式を問わず、あらゆる契約書を一元管理。自社開発のAIとオペレーター補正を組み合わせて正確にデータを抽出し、契約書同士の関係性を自動で紐づけして人もAIも使いやすい契約データベースを構築する。
 Sansanは今月10日、不動産デベロッパー大手の三井不動産(東京都中央区)がこの「Contract One」を導入したことを発表した。
 オフィスビルや商業施設の開発・賃貸などを行う三井不動産は、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」を展開している。シェアオフィスの運営において、営業担当者は顧客からの契約プランや請求条件などに関する問い合わせへの対応や、契約更新の管理、請求業務を担うグループ会社との連携といった業務を担っている。営業担当者はそれらの業務において、必要な情報が記載されている契約書を1件ずつ開いて確認しており、顧客の増加とともに確認の負担が増していた。またグループ会社は契約書フォルダへのアクセス権を持たないため、情報共有に関する手間が双方に生じていた。契約更新についても、各担当者が管理表を作成・確認する業務が発生しており、グループ会社を含めた効率的な管理体制が求められていた。
 三井不動産では「Contract One」の導入により、ワークスタイリング事業の契約書約2000件をデータ化。契約先や契約終了日、自動更新の有無といった多様な条件で検索できるデータベースを構築することで、顧客からの問い合わせ対応や、請求内容と契約内容を照会する際など、各担当者が必要な情報を即座に確認できるようになる。また、グループ会社も同じ情報をデータベースから閲覧できるため、関係者間の情報共有の手間も削減され、日々発生している契約内容の検索・参照が大幅に効率化されるとしている。
 三井不動産のDX本部DX二部兼ビルディング本部ワークスタイル推進部でエンジニアリングリーダーの山本隆之氏は次のように述べる。
 「『ワークスタイリング』は多くのお客様のご契約いただいており、契約条件の確認から更新管理まで、契約書を参照する場面が日常的に発生します。『Contract One』の導入により、拠点やプランなどの条件で契約情報を迅速に確認できるようになり、日々の業務効率が向上することを期待しています。今回の導入を契機として契約業務全体を見直すことで、業務効率化によって生まれた時間をお客様へのより丁寧な対応やサービス品質の向上に充てていきたいと考えております」


現在有効な契約条件を可視化「親子契約条件一覧ビュー」開始
最新の有効な条件をサマリー行に自動表示
 契約業務・管理クラウドサービス「Hubble(ハブル)」を提供するHubble(東京都渋谷区)は今年5月、提供するHubbleおよびHubble miniにおいて、複数の親子契約を紐づけ、現在有効な契約条件を一覧表示する「親子契約条件一覧ビュー機能」を新たにリリースした。
 同社のサービス「Hubble」は、契約業務基盤の構築と定着を支援するクラウドサービス。契約書の審査依頼から作成、検討過程や締結済契約書の管理まで、AIを活用しながら一気通貫で利用できる。コミュニケーションツールや電子契約システム等とのAPI連携も充実。既存ツールとの併用も可能。「カスタム項目AI自動入力」機能を搭載しており、契約書管理に必須の主要9項目に加え、自社独自で管理したい項目も業界・業種を問わず自由に設定できる。改正電子帳簿保存法にも完全対応(JIIMA認証取得)しており、更新期限の自動通知、柔軟な権限設定、紙と電子の契約書を横断して検索できる。セキュアで網羅性の高い契約データベースを構築することも可能だ。継続率は99%。上場企業を中心に多くの企業で長く利用されている。
 新たに加わった「親子契約条件一覧ビュー機能」は、基本契約書(親)とそれに紐づく複数の個別契約や変更覚書(子・孫)を一元化して可視化。各契約情報の管理項目から、最新の有効な条件をサマリー行に自動表示する。これにより、担当者が過去の経緯を1件ずつ遡って読み解くことが解消。現在の取引単価や契約終了日、契約相手方などの重要項目を変遷(履歴)とともに台帳上で迷わず特定できる。
 ちなみに多店舗展開における「テナント賃貸借契約」の場合、過去からの賃料増減額の変遷や物件のオーナーチェンジ(地位承継)に伴う、条件変更を即座に把握できる。テナントの管理業務を支援しつつ、「事業の推進とリスクマネジメントを両立する戦略的なデータ」として活用も可能だ。




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