不動産トピックス
【8/3号・今週の最終面特集】新ビルめぐり TOFROM YAESU編

2026.08.03 10:41
約25年の歳月かけ八重洲エリアの新たなシンボル誕生
タワーのオフィス貸室面積10万平米超、リーシングは好調
高機能オフィスを整備 ウェルビーイングにも配慮
JR「東京」駅前に広がる八重洲エリアでは、大街区での再開発プロジェクトが続々と進行中である。そのなかで、東京建物(東京都中央区)が再開発組合の一員として参画している東京駅前八重洲一丁目東地区の再開発組合は、大規模複合街区「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」の開発を推進。7月に低層棟の「TOFROM YAESU THE FRONT」が竣工した。2月には超高層棟「TOFROM YAESU TOWER」が竣工済みで、こちらは9月に全面開業の予定。オフィス・商業・エンターテインメント・バスターミナルなどの機能が集積し、エリアの新たなシンボルとしての役割が期待される。
超高層棟は地上51階 業務・商業など多彩な構成
「TOFROM YAESU」は東京の玄関口である「東京」駅前に面する街区で推進中の大型プロジェクトで、かつて街区内には東京建物の本社オフィスも所在した。エリアのポテンシャルを最大限に引き出すことを目指し、2000年には「東京駅前地区再生推進懇談会」が設立され、権利者を中心として検討が重ねられてきた。その後も勉強会や協議会の実施を経て、2015年に国家戦略特区法に基づく都市計画決定がなされ、A・Bの2地区のうちB地区が2021年に着工、A地区が2024年に着工し、今回の竣工に至った。名称に使用されている「TOFROM」は英語の「TO」と「FROM」を組み合わせた造語で、日本中、ひいては世界中のヒト・モノ・コトがこの場所に集まり、多様な価値が生み出され、発信されていく場所になってほしいという思いが込められている。
「TOFROM YAESU TOWER」の建物規模は地上51階地下4階で、高さは約250m。敷地面積は約1万600㎡で、延床面積は約22万5000㎡である。オフィスフロアは9階から50階までで、総貸室面積は約10万3491㎡。基準階のフロア面積は約760坪となっており、柱をすべて外周部に配置することで、フレキシブルなオフィスレイアウトに対応する。41階には、多彩な緑に囲まれ心身ともにリフレッシュできる「YAESU SKY LOUNGE」を整備。温泉ミストによる湯治体験が気軽にできる「喫泉室」として利用できるほか、健康的なメニューを提供するカフェテリアなど、利用者の心身の健康をサポートし、生き生きと過ごせる空間を提供する。また、13階の入居企業向けのウェルビーイングフロア「Wab.」では、産地や素材、調理方法などにこだわった料理を提供する食堂、サードプレイスとして利用できるラウンジ空間、コミュニケーションの促進に寄与するイベントスペースなど、ウェルビーイング向上に資するさまざまな取り組みを提供する。
エリア初の段床型劇場 エンタメ・文化発信拠点に
3階から6階は、ぴあ(東京都渋谷区)とコングレ(東京都中央区)が運営する「東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス」となっている。約800名収容可能な「東京」駅前では初となる段床型劇場や、大型の展示会・講演会などが実施可能な平土間ホール、会議や交流イベントの実施が可能な会議室を完備。エリアで不足していたエンターテインメントを通じた文化発信の拠点となるとともに、MICE誘致によるビジネス交流機能の拡充を目指す。また6階および7階は、「日本医科大学八重洲健診ステーション」を整備。がんの早期発見やアルツハイマー病診断をはじめ、先進機器の導入・専門医の登用により精度の高い病変検出・疾病の発見を行い、日本医科大学付属病院との連携による高度医療サービスの提供、外国語対応や災害時の医療連携など、社会のニーズと未来を見据えた医療施設となっている。
低層部は商業フロアとなっており、飲食店舗を中心に約70店舗が出店を予定。1階には屋内広場「檜物町スクエア(ひものちょうスクエア)」を整備し、地域のにぎわい創出に貢献する。檜物町は、かつての八重洲界隈の町名で、ヒノキを使った桶などをつくる職人らが集まって住んでいたことに由来する。広場空間は1階から3階までの吹き抜け空間が特徴で、空間全体で一体感のあるイベントを開催することもできる。広場には、「山王祭」で地域を巡行するお神輿を常設展示しており、地域の歴史や伝統に触れる機会も提供される。
低層部の外観は、外壁に凹凸や隙間を設けて積み上げる箱積みデザインを採用することで、小規模な建物や路面店が連なる八重洲らしい風景を立体的に表現。多くの店舗を路面外へ配置した外向き中心の施設計画となっており、施設のにぎわいを周辺に向けて発信するようなデザインといえる。このほか地下フロアは「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリアとして整備され、国内最大級の高速バスターミナルの一部として機能することになる。
7月に低層棟が竣工 屋上はルーフトップテラス
7月に竣工した「TOFROM YAESU THE FRONT」は、地上10階地下2階建ての複合ビルで、八重洲地下街を介して「東京」駅に直結。建物内はオフィス、商業施設、診療所などで構成される。屋上は入居企業向けのルーフトップテラスとなっており、植栽やベンチなどを配置。「東京」駅を一望するロケーションで、リフレッシュスペースとしての活用が想定される。
「TOFROM YAESU」では「東京」駅前という唯一無二のロケーションを武器に、オフィスフロアのリーシングは順調に推移しており、東京建物によれば「TOFROM YAESU TOWER」のオフィスフロアは8割ほどが内定しているとのこと。国内の大手企業の拠点需要や、外資企業などを中心として引き合いが強いようだ。7月に開催された記者発表会で東京建物の小澤克人社長は「『TOFROM YAESU』が起点となって八重洲から京橋、そして銀座方面へと歩行者の動線をつなぎ、エリアの魅力向上に貢献していきたい」と今後の抱負を述べた。同社も従前からオフィスを構えたこの地に本社事務所を移転させる予定だ。
構想から約25年の歳月をかけ、ついに開業を迎える「東京」駅前の新しいシンボルは、国内外の多様なヒトや企業が集まり、交流やイノベーションが生まれる拠点となることだろう。
【物件概要】
物件名:「TOFROM YAESU TOWER」
所在地:東京都中央区八重洲1-6-1
規模:地上51階地下4階
高さ:約250m
敷地面積:約1万600㎡
延床面積:約22万5000㎡
主要用途:事務所、医療施設、劇場・カンファレンス、バスターミナル、店舗、住宅等
着工:2021年10月 竣工:2026年2月
物件名:「TOFROM YAESU THE FRONT」
所在地:東京都中央区八重洲1-9-1
規模:地上10階地下2階
高さ:約45m
敷地面積:約1280㎡
延床面積:約1万2220㎡
主要用途:事務所、店舗、診療所
着工:2024年2月 竣工:2026年7月



