不動産トピックス
【7/6号・今週の最終面特集】潜入!話題の新施設

2026.07.06 10:43
関東最大級の大型店を池袋に出店 駅直結のロケーション生かし地域活性化目指す
「体験」重視した売場構成 1階には美容専門のエリアも
東京都心ではオフィスを構える企業、インバウンドを含む観光客など、あらゆる面からエリア間競争が激化している。新たな街の価値を創出する話題の新施設を紹介しながら、直近のトレンドを考える。
西武池袋本店は縮小 高級路線にシフト
ヨドバシホールディングス(東京都新宿区)は先月30日、「池袋」駅東口に新複合商業施設「Yodobashi-Ikebukuro(ヨドバシ池袋)」をオープンした。同施設は大型家電量販店の「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」と複合商業ゾーン「LINKS IKEBUKURO(リンクス池袋)」で構成される。
ヨドバシホールディングスは2023年、流通大手のセブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区)がそごう・西武(東京都豊島区)を米・投資ファンドへ売却するにあたり、ビジネスパートナーとして選定を受けたことで「池袋」駅直結の西武池袋本店が入る駅ビルの不動産(一部)を取得。その後、建物名称を「ヨドバシHD池袋ビル」に変更し、本格的なリニューアルを開始した。入居テナントとなった西武池袋本店は売場面積の縮小に伴って商品カテゴリーをラグジュアリーブランド、化粧品、食品の3分野に集約し、本年中のグランドリニューアルオープンを予定している。
「ヨドバシカメラ マルチメディア池袋」は地下1階から地上5階までの6フロアに展開し、総売場面積は3万3000㎡。関東最大級となる売場面積を生かし、生活家電からカメラ、テレビ、パソコン、スマートフォンなど、充実の品ぞろえを実現する。売場では体験や体感を重視し、最新の商品や話題のアイテムを手に取って試せるレイアウトづくりを徹底。専門知識を持つスタッフが親身に商品選びをサポートする。なかでも注目されるのが1階の体験型リテールストア「Yodobloom beauty(ヨドブルーム ビューティー)」で、美容家電やコスメ、スキンケア、ヘアケアなどのアイテムを比較・体験・購入ができ、このほかプロによるメイクのレッスンや肌・頭皮の健康状態の測定なども行うことができる。
6階から12階は商業ゾーン「LINKS IKEBUKURO」となっており、6階および7階はアウトドア&スポーツ専門店、試打室併設のゴルフショップ。9階は美容室やペットショップなどの多彩な店舗が出店するほか、9階から12階にかけての4フロアには生活雑貨を扱う「ロフト」が大型店を出店。文具や家庭用品など、日々の暮らしに役立つアイテムを販売している。また8階は「LINKS DINING」と「淀橋横丁」の2つのゾーンが連結した飲食フロアとなっている。天ぷら、寿司、とんかつといった日本料理から、中国料理、洋食、フレンチなど、合計27の店舗が順次オープンすることになる。
先月30日に行われた開業セレモニーには、ヨドバシカメラの創業者で現会長の藤沢昭和氏、そごう・西武の劉勁社長、西武池袋本店の寺岡泰博店長らが出席。藤沢氏は「品ぞろえは『ヨドバシカメラ マルチメディア梅田』を上回り、豊富な商品知識や接客のクオリティには自信を持っています。池袋は若い層のお客様が多いエリアですので、通信関連の商品の品ぞろえを特に充実させています。今回の出店が池袋の地域活性化につながればと考えています」と述べた。ヨドバシ池袋と西武池袋本店は8フロアで相互に行き来が可能となっており、基本的には壁で区切られているものの、ヨドバシカメラの藤沢和則社長は「共存共栄を目指していきたい」と抱負を語る。ヨドバシカメラの出店の経緯もさることながら、池袋はライバルである大手家電量販チェーン・ビックカメラ(東京都豊島区)の本拠地であり、今年3月に開業した駅西口の超高層複合ビル「IT tower TOKYO」には新コンセプトの店舗も出店。また大手家電量販チェーンの一角・ヤマダデンキ(群馬県高崎市)も、2009年に「三越池袋店」跡地で大型店「LABI池袋本店」を開業している。今回の「ヨドバシ池袋」の開業で、「池袋」駅周辺における家電量販店の競争はますます激化するとみられる。この動きが街にどのような変化をもたらすのか、注視する必要がありそうだ。
TAKANAWA GATEWAY CITY 文化創造・発信拠点の屋上で菜園を整備
JR「高輪ゲートウェイ」駅前に広がる大規模複合街区「TAKANAWA GATEWAY CITY」のなかで、文化創造・発信拠点として整備された「MoN Takanawa:The Museum of Narratives(モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブ)」では、屋上スペースを活用した菜園プロジェクト「MoNファーム」が今月よりスタートする。プロジェクトには、グローバルな「拡張生態系」の展開・構築を支援するSynecO(東京都港区)、植物と人との関係を探求する千葉県大多喜町の「mitosaya薬草園蒸留所」、地域でホップを育てる活動を展開しているコミュニティ「TAKANAWA HOP WAY」が参画。今月12日には苗の植え付けを行うキックオフイベントの開催が予定されている。
「MoN Takanawa」は、伝統からマンガ、音楽、宇宙と、さまざまな文化を発信する実験的ミュージアムで、建物規模は地上6階地下3階、延床面積は2万8952・55㎡。同施設の屋上に位置する「MoNファーム」は、植物を育てる農園ではなく、人と自然との関わりのなかで生まれる知恵や技術を未来へ継承するための実験的なフィールドとして位置付けられている。具体的な取り組みとしては、関東域の生態系を総合的に捉えた多様性・ネットワーク指標をもとに、約4400種の植物候補を解析し、導入種を探索。日本の在来性を尊重しながら選択した植物をグリッド状に配置した菜園で栽培。「環境に起因する多様性の変化」と「文明発展に伴う遺伝資源移動による多様性の変化」を分析する。このほか、薬効が古くから知られるナツメや日本固有のベリーであるシャシャンボ、香り高いレモンマートルやクロモジ、気候変動にも強いデザートライムなど、食や香り、健康に関わる多様な植物を育成し、地域の在来種と世界各地の有用植物を組み合わせ、変化する環境の中でも豊かな生態系の構築を目指す。収穫物は蒸留や発酵、食や香りの体験へと展開することで、人が植物を育て、味わい、その知恵を次世代へ受け継ぐ場を創出する。



