不動産トピックス

【6/15号・今週の最終面特集】不動産開発とまちづくり

2026.06.15 10:44

既存の街・地域住民との共生図るイベント企画 地元の魅力発信で来街者も獲得
大人も子どもも楽しめるワークショップを展開
 不動産開発で新しく誕生した建物と、周囲に広がる既存の市街地との間に温度差が生じ、人の流れに分断が生じてしまったケースは過去に存在する。地域の発展に大きな影響を与える不動産開発は、その土地の特性を考慮した企画・設計とするのはもちろん、建物を建ててからの地域との関わりも非常に重要である。

日本酒の魅力を発信 食やアートなどと融合
 日本酒文化の発信などを手掛けているcamo(東京都世田谷区)とJR東日本グループで駅ビル型の商業施設「ルミネ」などを展開するルミネ(東京都渋谷区)が主催する実行委員会は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」および「ニュウマン高輪」にて日本酒、焼酎をはじめとする「日本のおさけ」文化を発信するイベント「混祭2026」を開催した。このイベントは、「日本のおさけ」を中心に食、文化、アートなど多様な要素が混ざり合うことで新たな魅力や価値の提案を目的としている。
 「混祭」は昨年4月、「TAKANAWA GATEWAY CITY」まちびらきイベントの一環として初めて開催され、3日間で約1万人が来場。第2回となる今回は今月10日から14日までの5日間にイベント規模を拡大し、屋外広場でお酒やフードが楽しめるだけでなく、大人も子どもも楽しめるワークショップも行われた。camo代表取締役のカワナアキ氏は「私はこれまで再開発で整備された街でのイベントに関わる機会が何度かありました。その時に課題となったのが、既存の街と再開発で新しく整備した街との共存です。『TAKANAWA GATEWAY CITY』も出来上がったばかりの新しい街で、周辺にある既存の街といかに調和して相互に発展していくかが重要です。『混祭』というイベント名には、お酒を中心に食や文化、芸術といった多様なコンテンツが混ざり合って新しい価値を生み出すという意味だけでなく、地域に根差したイベントにしたいという思いも込められています」と話す。
 イベント期間中は、JR「高輪ゲートウェイ」駅の改札目の前に広がる「Gateway Park」に特設会場を設置し、日替わりで全国各地から100以上の酒蔵が集結。それぞれの酒蔵が製造する日本酒や焼酎、クラフトサケ・クラフトジンを販売したほか、食材にこだわったキッチンカーが出店し、お酒に合うおつまみや料理を販売した。また、日本酒のボトルに自分で描いたデザインをラベルとして貼付け、世界にひとつだけのオリジナル日本酒を制作するワークショップも開催。父の日の直前ということもあり、プレゼント用にオリジナル日本酒を用意しようという参加者でにぎわった。
 イベント初日の10日に代表銘柄「山の井」を販売した会津酒造(福島県南会津町)の9代目当主・渡部景大氏は「日本酒の酒蔵は年々減少傾向にあり、市場規模も縮小が続いている状況です。しかしながら、海外での人気の獲得など成長の伸びしろはあると感じています。本イベントを通じて日本酒をより身近に感じていただけたら」と述べている。
 「TAKANAWA GATEWAY CITY」では昨年3月のまちびらき以降、最先端テクノロジーと日本の伝統文化、芸術が融合する多彩なオープニングプログラムを展開。その後も、今回の「混祭2026」のような大人も子どもも楽しめるイベントが多数企画されている。こうしたイベントは近隣住民の参加も意識したコンテンツづくりが特徴であり、再開発によって地域が分断するのではなく既存の街との共生が重要であることを示している。

都市計画学会賞を受賞 多世代交流の拠点整備
 大和ハウス工業(大阪市北区)、大成建設(東京都新宿区)、ドーコン(札幌市厚別区)、新さっぽろエリアマネジメント(札幌市厚別区)の4者が、札幌市とともに応募した「新さっぽろ駅周辺地区におけるまちなか集積医療・まちなかキャンパスによる地方都市拠点の再生」が高く評価され、日本都市計画学会(東京都千代田区)主催の2025年度学会賞において「計画設計賞」を受賞した。
 今回の受賞は大和ハウス工業および大和リース(大阪市中央区)をはじめとする7者のコンソーシアムが、札幌市厚別区において2019年より開発を進めてきた大規模複合開発プロジェクト「マールク新さっぽろ」での取り組みが評価されたもので、大和ハウス工業としては初の受賞となった。
 「マールク新さっぽろ」はJR千歳線「新札幌」駅および市営地下鉄東西線「新さっぽろ」駅周辺に位置し、「商業、ホテル、予防医療・地域医療、タワーマンション、子育て、産学連携、教育の7つの成長エンジン」をコンセプトに、市から取得した市営住宅団地跡地を中心とする約5万5700㎡の敷地において、地域交流と産学連携を推進するG街区、商業施設やホテル、分譲マンション、医療施設が屋内空中歩廊でつながるI街区を開発し、2023年11月に全街区が完成した。23年12月の全体街びらき後は24年4月に商業・医療・教育など多様な主体が連携するエリアマネジメント活動が本格的にスタート。翌25年9月には、多世代が交流できる新たなにぎわいと憩いの空間創出や地域コミュニティを形成するために、エリアマネジメント拠点としてサロンスペース「sawa」を開設した。大和ハウス工業では、今後もまちづくりを通じて持続可能な地域社会の実現や地域の発展への貢献を目指す。

「金沢」駅前に体験型施設 地元企業が特別協賛
 石川県を拠点に不動産の賃貸・売買仲介、管理や建築など幅広い分野で住環境事業を展開しているサンリーグループは、先月30日に「金沢」駅西口エリアに誕生した体験型複合施設「Mitz金沢(ミッツカナザワ)」の特別協賛企業として参画している。
 「Mitz金沢」は、「食・遊・旅」をテーマに、人と人、地域と文化、日常と非日常が交わる新しい交流拠点としてオープン。施設内には、トレーラーハウスを活用した飲食ゾーン「N3W(ニュー)」や、子どもから大人まで楽しめる体験型プレイスペース「playground+(プレイグラウンドプラス)」、新しい旅のスタイルを提案するキャンピングカー拠点「CANBASE(キャンベース)」で構成される。サンリーグループでは良質な住環境の提供を使命に掲げ、不動産・建築事業を通じて地域の発展と持続可能なまちづくりに取り組んでいる。今回、サンリーグループは「人と人、人と地域をつなぐ交流拠点」という同施設のコンセプトに共感し、特別協賛企業として参画することを決定した。
 先月30日に行われたオープニングセレモニーにはサンリー・ホールディングス(石川県かほく市)の小林和晃社長が出席。テープカットにも参加した。小林社長は「今回の協賛を通じて、地域に新たなにぎわいと交流が生まれることを期待するとともに、当社も地域の発展に貢献できるよう積極的に関わっていきたいと思います」と述べた。




週刊不動産経営編集部  YouTube