不動産トピックス

【4/27号・今週の最終面特集】オンライン活用による不動産ビジネスサポート集

2026.04.27 10:19

学び・事例・交流を軸に経営のスキルアップ支援
属人的な業務のデジタル化で人材不足解消に貢献
半日要した作業を約10分に大幅短縮
 AIをはじめとする先端技術の進歩が著しく、ビジネスのあらゆる場面における活用の幅も大きく広がった。それと同時に働き方も大きく変わっている。不動産業界における、オンラインを通じた業務の後方支援サービスを紹介していく。

オンラインサロン解説 リアルオフ会も企画
 会計ドットコム(北九州市小倉南区)では、不動産オーナー向けに記帳代行や決算書の作成、融資コンサルティングまでを一貫して提供し、不動産経営における資金繰りや業績改善をサポートしている。代表取締役の赤松亮氏は公認会計士・税理士事務所での勤務を経て一般企業の経理・財務部門で10年以上にわたり勤務した後、2020年に創業。不動産賃貸業を営む企業向けに特化したサービスを展開している。
 今年1月には、融資と会計に特化した総合オンラインサロン「アカマツサロン」を開設した。サロンでは月に1度の定例会で賃貸オーナー向けの講義を実施。現場で起きたリアルな事例を追体験するケーススタディで、融資に強く、決算書で選ばれる投資家になるための知識を得ることができる。
 「本サロンは学び・事例・交流の3つを軸としており、講義形式のセミナーだけでなく題材の募集やグループディスカッションなど、参加者同士が双方向に交流することで知識の共有を図ります。SNSを通じた情報の共有のほか、年に数回リアルオフ会を企画して普段とは違った交流やフィールドワークなど、リアルでしか味わえない体験価値も提供する予定です」(赤松氏)
 「アカマツサロン」では、三者間の協調融資の具体的事例、資産規模10億円の投資家が語る成長へのロードマップ、民泊の話題などをこれまでに取り上げており、今後もさまざまなテーマをピックアップする予定とのこと。サロンの開設から3カ月で会員は50名を突破し、「今年中に会員数100名を目指したい」と赤松氏は話す。着実な融資の獲得と戦略的な事業拡大を狙う賃貸オーナーは、情報収集や同業のネットワーク構築に役立つ同サロンの活用を検討してみるとよいだろう。
   戸建住宅の建物検査や地盤調査を手掛けるジャパンホームシールド(東京都墨田区)は、20年以上にわたって蓄積してきた建物検査実績をもとに開発した「住宅劣化推定AI」と、「高精度不動産査定エンジン」を融合した、戸建買取再販・リノベーション業務支援システム「Homille(ホーミル)リノベナビ」の提供を開始した。このシステムは、中古戸建住宅の買取再販・リノベーション事業者向けに、AIによる建物劣化診断と不動産価格査定をワンプロセスで同時に実現するサービスである。
 国内の空き家の数は900万戸を突破し、既存住宅の流通促進が重大な社会課題となっている。加えて、建築コストの上昇や環境規制の強化により新築住宅価格は高騰し、一次取得者層を中心に価格と品質のバランスに優れたリフォーム済み中古住宅への需要が急速に高まっている。一方で中古戸建は物件ごとの個別性が高く、外観からは判断しにくい劣化や不具合が存在するため、仕入れ後に想定外のコストが発生するリスクや、適正な価格設定の難しさが事業拡大の大きな障壁となっていた。これまで経験やスキルを持つスタッフの勘に依存していた物件調査や仕入れ判断を、AIでデジタル化・高度化することで、経験の浅いスタッフでも精度の高い判断を可能にし、再現性のある形で事業拡大を支援する必要性が高まっている。
 今回ジャパンホームシールドが提供を開始した「Homilleリノベナビ」は、対象物件の住所や築年数、構造などの基本情報を入力するだけで、「住宅劣化推定AI」が地震履歴などの立地特性も考慮して雨漏りや構造耐力主要部、給排水管路など計17項目の劣化リスクを5段階でスコア化。必要な修繕予算を算定する。また、周辺の不動産取引データをもとに推定販売価格やエリアの流動性、売れやすさを高精度に可視化する。これらのデータを活用して目標利益の確保を前提とした「事業シミュレーション」を即座に行える点が特徴で、従来は最低でも半日を要していた物件の見極め業務を約10分に短縮し、仕入れ判断の標準化を実現。人材不足が課題である住宅・リフォーム業界において、買取再販事業の立ち上げから拡大までを支援するAIエージェントとして企業の利益確保と生産性向上に貢献する。
 同社によれば、将来的にはAIによる住宅品質の見える化を通じて、空き家を発生させない仕組みづくりや、所有者が適切に維持管理を行うことのできる情報提供の実現を目指す。さらにAPI(ソフトウェア同士が機能やデータをやり取りするための仕組み)連携などを通じて多様な市場プレーヤーとつながる「住まいのデータプラットフォーム」の活用社会を目指し、日本の住宅資産価値が正しく評価・維持される社会の実現に貢献するとしている。


管理職向けの人材育成プログラム MLB等で採用のメトリクスマネジメントを活用
 企業が成長を目指す上で人材の育成は非常に重要な課題となる。一方で部下を指導する立場の管理職の多くは、部下の育成や部下とのコミュニケーションに課題を感じているのが実情である。部下の育成が滞ると管理職に業務が集中してしまい、チーム全体のエンゲージメントにも影響を与える可能性があるだけに、企業も研修を積極的に実施して管理職のマネジメント能力の向上に努めている。だが従来の研修は実践的なスキル習得よりも知識の伝達に偏重している内容が多くみられ、その効果が見えづらいといった課題があった。
 O:(オー、東京都中野区)が提供する「コチーム」は、業務における成果を定量的な数値で可視化する「メトリクスマネジメント」を応用した管理職向けの人材育成研修プログラムである。  「メトリクスマネジメント」は海外のプロスポーツチームなどが採用しているマネジメント手法で、勘や経験に頼らず客観的な数値から各人の能力やパフォーマンスを分析する。「コチーム」はこの手法を応用。1on1ミーティングを中心に、目標達成の度合いやフィードバックなどを一元化し、組織のパフォーマンス向上と社員のエンゲージメント強化につなげることができる。同社PRマネージャーの畑本倖佑氏は「分析・設計・伴走が『コチーム』の特徴です。1on1ミーティングは面談時の音声をAIが自動で評価し、管理者側の経験やスキルに依存しない人材評価を実現します」と話す。
 「コチーム」は人材育成に注力するさまざまな業種への導入実績を有している。これまでに国内200社以上が導入。同社の研修プログラムでは87・5%が目標達成につなげている。不動産業界でも活用例が増えており、ある大手不動産企業では、「コチーム」の導入によって属人的であった営業ノウハウの平準化と営業部隊全体のスキルアップを実現し、売上130%を達成したという。
 民間企業の人材育成に対しては助成金制度もあり、同社では助成金申請のサポートも提供している。同社代表取締役の谷本潤哉氏が掲げる「売上に、正解はある。」という理念のもと、組織の成長と持続的な発展に資する管理職向け研修プログラムが自社のさらなる成長を後押しする。




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