不動産トピックス

【4/13号・今週の最終面特集】空き家ビジネスの現在地

2026.04.13 11:20

敬遠されがちな「訳あり物件」に特化 独自販路で個人投資家のネットワークを保有
 空き家の増加が続いている。人口減少などを背景に、空き家数は900万戸に達し、空き家率も13・8%と過去最高の水準。相続はしたが手放したくとも手放せないといった空き家の問題は今後も増えていくだろう。空き家の活用に向けた各社の取り組みを紹介する。

自身の投資経験が出発点 全国に22拠点を展開
 AlbaLink(東京都江東区、アルバリンク)は、不動産の売買・仲介を手掛けている。自社保有物件を民泊や地域コミュニティスペースとして活用したり、千葉大学と産学連携で物件の再生なども行っている。2019年に空き家買取再販事業を開始し、2025年には東京証券取引所グロース市場に上場。
 取り扱う物件は「訳あり物件」に特化している。共有持分や再建築不可物件、老朽化や事件・事故などの問題で、一般的な不動産仲介会社では敬遠されがちな空き家物件を多く取り扱っている。空き家の売却が進まずに困っていたオーナーから、「本当に買ってもらえるんですか」との声がけもあるという。
 買取した物件は主に個人投資家向けに販売する。安く空き家を購入し、リノベーションして資産形成として活用したいという層は一定数存在する。そうした活用方法は利回りが高い。購入希望者はそこが判断点。そうした個人投資家と「売りたいが売れない」物件のオーナーをマッチングさせる事業を展開。
 北海道から九州まで全国に22拠点を展開。空き家所有者からの問い合わせを支店に割り振り、買い取りを進める。対面での対応を重視し、書類や電話中心のやり取りでは築きにくい信頼関係の構築につなげている。
 立ち上げの経緯は代表取締役の河田憲二氏の不動産投資だった。個人でアフィリエイトを手掛けるかたわら廉価な物件を再生して収益化・販売する投資を行っていたが、なかなか物件に出会えなかったという。「当時800万戸の空き家があるはずなのに、見つからないのはなぜか」と地場の不動産業者に相談したところ「物件はあるが、直接売主とやりとりしてほしい」と言われ、利益の少ない物件は業者が扱いたがらないことを実感。自分で売主とつながれば物件を買えるのではないかとの考えが事業の出発点となった。
 物件を購入・リノベーションする不動産投資家のコミュニティに参加していたことから、安価な物件を求める層が多いことは把握していた。河田氏は「自ら空き家を買い取り、利回りの合う投資家に販売することができれば面白い事業になる。空き家問題の解決にも至るのではないか」と事業を開始。個人で空き家を10件ほど購入した経験をもとに、会社設立へと至った。
 強みは個人投資家のネットワーク。独自の販路として、SNSなどを通じた6000名強の個人投資家リストを作成。物件購入後はSNSを通じて週に数回、物件情報を配信する。反応がなければ価格調整を行う。売れ残る物件はほとんどないという。2025年の仕入れ数は約2900件、販売数は約2500件。購入者のリピーター率は30%。メールや電話を合わせた問い合わせ件数は約2万6000件に上った。
 河田氏は今後について「まずは47都道府県への支店展開を進めていきます。現在は個人投資家に任せている空き家の再生を自分たちで担っていく。去年から空き家を再生した民泊も運営しており、その件数についても増やしていきたい。また空き家を減らしていくため、空き家関連事業の会社の買収も積極的に進めていきたいです」と将来を見据えた。

地方の築古戸建ての買取・再販を行う業界最大手
グループ会社と合わせ年間1万件再生を目指す
残置物ありでも買い取り 行政と連携して課題解決
 カチタス(群馬県桐生市)は、中古戸建ての買取とリフォーム後の再販事業を手掛けている。グループ会社のリプライス(名古屋市中区)と合わせ、中古住宅買取再販の販売戸数では業界最大手で東証プライム上場。人口30~50万人規模の都市をリプライス、5~30万人規模の地域をカチタスが担当する体制。
 墓石を取り扱う会社として、1978年に株式会社やすらぎが設立。その後競売物件を落札しリフォーム後に販売する事業を手掛けてきたが、競売物件の市場の縮小を受け中古戸建ての買取・再販事業に軸足を移した。2013年に現在のカチタスに社名を変更。
 対象エリアは都心部を除く全国で、130店舗以上を展開。マンション供給や競合が多い都市部ではなく、戸建て住宅のニーズが強い地方に特化している。
 リフォーム後の戸建て住宅の平均価格は約1600万円で、近隣エリアの新築物件の半額程度。地方のボリュームゾーンである年収200~500万円の層を主なターゲットとする。購入者は主に実需層で、最近は単身者やシングルマザー・ファーザー、シニアの住み替えといった需要も伸びている。
 中古戸建ての再生では、シロアリ被害や雨漏り、権利関係といったリスクの見極めが重要となる。これらを解消したうえで再生・販売する。これまで多数の物件を扱ってきた経験の蓄積により、仕入れ段階での再生の可否や収益性を判断する力を強みとする。執行役員 渉外企画開発室 室長の森井芳郎氏は「もともと手掛けていた競売物件は、取得前に内部を確認することができません。そのため購入後に問題が発覚することも多くありました。このような経験や約20年間のさまざまな失敗経験の蓄積が、現在の仕入れの判断に生きています」と話す。カチタスとリプライスで合わせて年間約7000件、累計で約10万件の再生を行ってきた。
 販売価格が高額にならないように、過度なリフォームは行わず「清潔に安心して暮らせる」基本的な仕様とする。キッチンやトイレ、ユニットバス等の水回りの設備は大量購入してコストを抑える。リフォーム工事の画一化は行わず、物件ごとの状態に応じて対応する。劣化や状態が1棟ごとに異なる戸建てでは、個別に判断をしていく方が無駄を抑えられるためだ。
 団塊世代および団塊ジュニア世代が相続した空き家の買い取りが多くを占めている。残置物がある状態でも買い取りに応じる。取得物件の約4割弱で残置物あり。放置空き家が生じる背景の1つの「遠方にある実家の片付けが困難」といったケースに対応している。
 国や自治体との連携を通じ、空き家問題の解決に取り組んでいく姿勢を打ち出す。「空き家問題の解決は、一事業者だけでは難しい。行政とさまざまな事業者が一団となって取り組むべき問題なのだろうと認識しています」(森井氏)
 今後は年間販売件数の拡大を図り、2027年度までに年間1万件体制を目指す。人材や店舗の拡充も進めていく考えだ。森井氏は「当社は現状、空き家の発生から解体に至る一連の流れの中で買い取りの領域に特化している。未出店地域への出店強化や、小型店舗による小規模エリアなど新規市場への進出を通じて事業エリアの拡大を進めながら、従来のファミリー世帯以外の新規顧客層の開拓にも取り組んでいきたいです」と今後を踏まえた。




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