不動産トピックス

【1/19号・今週の最終面特集】遊休地の利活用と安定した収益を実現!トランクルームの事例紹介

2026.01.19 10:40

追加投資やメンテナンス改修も圧倒的に少ない
都心郊外の双方で高稼働なトランクルーム事業
 不動産オーナーや不動産事業者にとって身近なビジネスのストレージ(レンタル収納スペースやトランクルームとも言われる)事業。展開する加瀬倉庫(横浜市港北区)とストレージ王(千葉県市川市)は、様々な提案メニュ―を持っている。手堅く、毎月着実に収益性のあるビジネスモデルだ。

月極駐車場の250坪コンテナ設置し収益化
 ストレージとは、収納コンテナを活用したレンタル収納事業。横幅6m×縦2・5mの収納コンテナを対象地へ、パズルのように配置。1基ごとに貸し出す場合もあれば、コンテナ内を小区画へ分割することもある。人の住む事業モデルではないため、メンテナンス費やリフォーム代は10余年に一度の塗装費用程度。利用者はほぼ100%、自家用車を使用。駅から遠い立地であっても機能する。店舗や住居にも適さない未活用地、三角形などの不整形地においても対応可能。むしろ活用方法が限定される不整形地だからこそ強みを発揮するビジネスモデルだ。
 駐車場からの転用も多い。月極契約が減少した歯抜けの駐車場では、契約車両を一カ所にまとめ、残りのスペースに収納コンテナの設置を提案。不動産オーナーや地主には駐車場収益と一緒に、レンタル収納の地代を得ることが可能だ。代表取締役の三高章氏は「家賃保証プランでは当社が地主様から土地を借り上げ、当社負担でコンテナ設置工事を行い運営いたします。地主様には毎月固定で家賃が支払われますので、稼働に関係なく安定した収入が得られます。また事業性重視の地主様には、収納用コンテナを購入いただき当社が運営一切の管理を請けるプランも用意しています。当社が集客と開始後の運営・管理を行いますので、これといって手間や労力などは発生しません。地主様には毎月ストレージ事業の収益(同社の運営・管理費を差し引いた金額)が入り、それは稼働が上がれば上がるほど大きな収益につながります」とスキームも語った。
 横浜市都筑区の工業団地で行った事例がある。地主から団地内にある月極駐車場250坪の活用方法に相談があり、ストレージ事業を提案。土地は法面(切土や盛土によって作られた人工的な斜面のこと)高があり、店舗には向かない。駐車場以外に活用方法がなく、かと言って稼働も上がらない状態だった。地形にもよるが、駐車場は対象面積を7で割った数で設定・算出されることが多い。250坪の場合、7で割ると35。駐車台数は35台で、これまで1車室あたり月額1・2万円で提供していた。同社では35台満室分の賃料に加え、さらに上乗せした月額固定家賃保証で契約。同地にコンテナを設置し、現在では駐車場収益以上の収入を地主が得ている。地主は稼働状況を気にする必要がなくなり、集客・管理・集金の業務負担もない。

コンテナを地主へ販売 運営管理を全て請け負う
 東京都府中市では、地主へ販売および管理委託業を提案したケースがある。地主は収納コンテナを加瀬倉庫から購入。コンテナ購入という初期投資が発生するも、稼働が上がるたびに売上も上昇。運営・管理業務は全て同社が請ける中で、収益の大部分を得ることができる。管理委託費は売上額からのパーセンテージで取り決め。横浜市都筑区の工業団地と同様に、集客・管理・集金・未収管理など運営業務の一切は発生しない。このモデルは管理およびメンテナンス費が安価であるため、経年と共に稼働が上がり、収益も増していくモデルである。
 三高氏は「未活用の平屋(賃貸住宅)を解体し、一旦更地とした形でストレージ事業を提案したこともあります。オーナーにはコンテナを購入していただき、最終的に当社は管理委託業を請け負いました。コンテナ本数は18基。部屋数は34室。満室稼働での売り上げは約100万円。表面利回りは35・8%でした。コンテナは減価償却できますので、税金対策としても好まれています」と反響の多い事例を語った。
 加瀬倉庫は今後も全国規模、特に関東圏を中心にオーナー・地主などへ自社の様々なソリューションを提案していく。これを基本としつつ、今後は土地を所有しない人にも「投資物件」として提案していく。同社が土地とコンテナを仕入れ、それを利回り物件として販売。管理委託は同社が行い、購入者は労せず配当を受けることができる。またすでにストレージ収納事業を展開している事業者・オーナーに対しては、パートナーシップも提案。同社が運営・管理を一切請け負う代わりに、「加瀬のレンタルボックス」としてPRできる。ブランド力の大きさを強みに集客で貢献し、稼働率を上げる仕組みだ。
 またビルオーナーにはビルインタイプを提案している。稼働率の下がった、近隣のテナントビルよりもリーシングで苦戦する築古ビルにストレージ事業を提案。給排水設備は必要なく、テナントも居ないためクレームも発生しにくい。ストレージ事業ならではの強みを生かして、拠点数を増やしていく方針だ。

上物だけの投資のため投資回収期間は短い
 2008年5月設立のストレージ王(千葉県市川市)は、トランクルーム事業を展開。2020年以降は屋内型のストレージも多く手掛けており、首都圏の主要オフィスエリアでも実績を伸ばしている。
 ストレージ王はトランクルームの運営・管理業務を行う「運営・管理事業」と、用地選定と建築管理、建築した店舗を収益不動産として投資家に売却する「開発分譲事業」を展開している。売上の約2割は運営・管理事業。残り8割は開発分譲事業。北は秋田県から南は沖縄県まで27都府県で展開。今年1月期の時点で屋外設置のコンテナタイプは133カ所。屋内は62カ所。以降コンテナタイプを21カ所開設。ビルインタイプは2カ所を開設。拠点数は210カ所を超え、部屋数も約1万2400室超となった。
 トランクルームの特徴は他のアセットと違い、立地や土地の形に影響されにくく、管理の手間が掛からないこと。水回りは必要なく、経年劣化による追加投資やメンテナンス回数も圧倒的に少ない。稼働が安定してくると、余程のことがない限り解約する利用者もいない。また経年劣化による、賃料の値下げも起きない。満室稼働まで早くて3年と時間を要するが、中長期で運用する不動産ビジネスとして投資家から注目されている。世帯普及率で見ると米国の10%に対し、日本ではまだ1%程度。市場全体で年約5%の成長・拡大が続いている。
 開発分譲事業における1物件の販売価格は2000~3000万円ほど。コンテナ型のトランクルームは借地上の案件が約8割。上物だけの投資になるので、利回り商品として投資回収期間は短い。利回りの高さと必要な面積から、ここ数年はロードサイドでの普及が進んでいる。ロードサイドのコンビニであると、利用客の足は主に車となるため、必要な面積は約300坪。一方トランクルームはその半分で済む。コンビニの商圏よりも広いため、緩やかに物件数が増えている。

西新宿の高層ビルに出店 水回りの設備は必要なし
 代表取締役 社長執行役員の荒川滋郎氏は「親会社のデベロップは、コンテナ建設会社としてトランクルームを開発。投資家へ売却していました。当社は創業時、主にそのプロパティマネジメント業務を担当。その時から蓄積してきた豊富なノウハウや実績をもとに、建設および開発・運営・管理まで一貫して取り組めることが強みです。大手デベロッパーとも情報交換しており、中には依頼を受けた事例もあります」と自社の強みや経験も生かして、不動産オーナーへ提案している。
 直近では西葛西にて、既存テナントビルの3階に出店。石川台ではコンビニの跡地に開発・出店し、ユーカリが丘では駅前商業ビル4階に出店した。また今年は、西新宿の高層オフィスビルの2階に出店。順調に空きが埋まっている。都心型のビルインタイプが増えている背景に、水回りの設備が必要なく、施設としての自由度・柔軟性が高いことが挙げられる。企業および利用者からは、文書や荷物、什器などを遠くへ運ぶことなく収納できることが好まれている。出張の多い重役社員の中には、トランクルーム内にスーツケースを収納している活用例もあるほど。また住居とは異なり、立ち退き期間は短い。建て直す際も障害となりにくい。
 今後は地方都市での展開、他業種との連携による新しいライフスタイルの提案にも注力していく。単に「保管する場所の貸し出し」機能だけではなく、様々な活用事例や方法を提案し、空間という制約を超え、暮らしに寄り添うトランクルームを目指す。




週刊不動産経営編集部  YouTube