不動産トピックス

クローズアップ 内装編

2024.01.15 10:19

 賃貸物件を構築する際、内装に割けるリソースはそれほど多くはない。しかしテナントが物件を選ぶ際には、内装は重要なウエイトを占めている。内装の重要性について、あらためて考えてみてはいかがだろうか。

オーダー家具のアイダ 積水ハウスが全株を取得
 積水ハウス(大阪市北区)は、オーダーメイド木製家具メーカーのアイダ(東京都港区)の普通株式を、2023年12月25日付で全株取得した。
 アイダは1953年創業、1980年設立。資本金は1300万円。吉祥寺、自由が丘、銀座、横浜元町に店舗を持つ。国内外の原木材産地に調達ネットワークを有し、世界各地から切り出した様々な樹種の一枚板をはじめとする豊富な無垢木材を保有。無垢木材を使用した家具や小物類の企画・製造・販売・アフターメンテナンスを手掛け、自社ブランド「家具蔵(KAGURA)」を展開している。
 積水ハウスは2022年9月に無垢木材のインテリア材(フローリング、パネリング、カウンター等)メーカー・マルホン(浜松市浜名区)の全株式を取得し、建材の提案力を強化してきた。今回の取り組みで、家具における提案力をさらに強化するねらい。
 積水ハウスでは、時間と共に愛着を編み込む住まいを実現するべく、本物の素材や日本の職人技で造られる木製品を充実させ、グローバルビジョンである「『わが家』を世界一幸せな場所にする」の実現を目指している。グループ内にとどまらず、国内外の住宅や非住宅などに高品質の家具を提供していくのはその一環。新デザイン提案システム「life knit design」でもインテリアの提案を行っており、「空間・デザイン」、「建材」、「家具」の内装一体提案を強化している。

直貼りタイプの「壁面化粧パネル」 建築壁への直接取付けで省スペース化を実現
 三和シヤッター工業(東京都板橋区)は、スチールパーティション「壁面化粧パネル」の直貼りタイプを追加し販売している。
 同製品は、オフィスビル、マンション、ホテルなどの内装壁面部に用いる壁面化粧パネル。建築壁に直接取付け、支柱を無くすことで納まり寸法の省スペース化を実現した。従来製品との連装も可能で、多様な用途・納まりに対応でき、共用スペースを自由に演出することができる。
 パネルのカラーは標準色(単色3色、木目2色、ホワイトボード1色)、オプション色7色から選択でき、オーダー対応可能なカラーもラインアップ。同社の壁面化粧パネルや点検口と同じカラーバリエーションとなるため、連装時の色合わせが可能となり、室内環境に合った組み合わせが可能。オフィスビルやマンション、ホテルなどの様々な用途に対応する。
 耐震性能は、地震による建物変形を吸収できる構造で、1/150の面内変形に耐えられる。また、同社は衝撃性に対しても、JIS基準(可動間仕切)に基づいた試験を行い、性能を確認している。
 同社では、顧客の多様なニーズに応えられるよう、安全・安心・快適を提供することにより社会に貢献するという使命のもとに、今後も顧客の視点に立った商品を提供していくかまえ。また、同製品の初年度の販売目標を1400万円としている。

野原グループ/乃村工藝社 内装プレカット工法の実証実験 作業時間や廃材料などを在来工法と比較
 野原グループ(東京都新宿区)と乃村工藝社(東京都港区)は、内装施工におけるプレカット工法と在来工法の比較実験を協働で行い、結果を公表した。
 プレカットとは、建築用の材料をあらかじめ工場などで加工しておくことをいう。原材料に、切削、穴開け、接合や部品の取り付けなどを行っておくことで、建築現場での作業を削減することができる。一方、職人が現場で原材料を加工するものを在来工法と呼ぶ。プレカット工法は、工期短縮によるコスト低減や建築精度の向上などが期待できるとされている。
 実験は建材メーカーや専門工事会社などの建設サプライチェーンの関係者の協力を得て、2023年1月から2月にかけてノムラトレーニングセンターで実施。同サイズ空間を設置し、壁・床・天井の内装施工をプレカット工法と在来工法で実施。双方を比較した。
 プレカット工法の実証には、野原グループの技術サービス「BuildApp(ビルドアップ)」を活用したプレカット工法を採用。在来工法との比較で、現場廃棄材26・5%削減、廃棄材由来のCO2排出量29・6%削減、現場での作業時間13・7%削減という結果が得られたという。一方で、プレカット工法の効果を高めるには、建材ごとに異なった改善策を検証する必要性も明らかとなった。
 内装施工はこれまで経験値の高い職人の技術に頼って行われてきたが、少子高齢化や「3K(きつい、汚い、危険)」といわれる職場環境のイメージによる人材不足が業界の課題となっている。野原グループと乃村工藝社はこうした課題の解決に向け、今後も協力して検証を重ねていくとしている。

PAGE TOPへ