不動産トピックス

クローズアップ ロボット編

2023.08.07 10:11

 飲食店の配膳やビル内の床清掃など、ロボットが活躍する場面をよく目にするようになった。機種も増え選択肢が広がったことで、中小ビルへの導入のハードルも下がってきている。

ネコ型配膳ロボットなどを展開するPudu 日本の清掃市場に本格参入へ
 Pudu Robotics Japan(東京都中央区)は先月27日、赤坂ガーデンシティにて、日本市場における清掃領域への参入に関する戦略発表会を開催した。
 同社は2016年に中国・深センで設立。商用サービスロボットの設計、開発、製造、販売事業を展開している。2017年には初の製品である「Pudubot」を発売し、ドイツのレッドドット賞のベストデザイン賞を受賞。近年は急速な成長を遂げており、配膳・配送ロボットと清掃ロボットの領域において、世界各国に計6万台以上の提供実績を誇る。日本市場ではこれまでに、ネコ型配膳ロボット「BellaBot」を5000台以上導入。計6つの配達用ロボットを提供し、日本のサービス市場を支えている。
 今回新たに日本に参入するのは、清掃ロボットの「Pudu CC1」と「Pudu SH1」。インテリジェント商用ロボットの「Pudu CC1」の躯体は663mm×626mm×667mm、清水タンク15L、汚水タンク15L分の容量を保持する。スイープ、床洗浄、吸引、乾拭きまで1台で4役をこなせることが特徴だ。専用のワークステーションにて自動給排水、自動充電が可能なほか、各ユニットの作業状態を収集・要約し、清掃レポートの自動作成まで行うことができる。
 一方の商用床洗浄機「Pudu SH1」は、油汚れや滑りやすい環境向けの製品。強力な地面への圧力と高速のダブルディスクブラシによる効果的な清掃を実現。1万2000パスカルの強力な吸引力により、汚れや汚水を一度の吸引で完全に除去し、洗った瞬間に乾燥を行う。操作性や使用感にも優れ、片手でのコントロールも可能である。
 両商品について、飲食店やオフィス、製造工場などあらゆる施設での展開を見据えているという。CEOの張涛氏は発表会で「高齢者人口の増加に伴い、多くの国が労働力不足に直面しています。その課題に訴求し、費用を削減するための手段として、サービスロボットは長期的な潜在能力を持っています。特に日本ではロボットの受け入れ度は非常に高いです。2024年までに、3000台以上の清掃ロボット導入を目指していきたいと考えています」とした。

優れた走行性能と安全性の自立型館内配送ロボット
 NECネッツエスアイ(東京都文京区)は、Beijing Yunji Technology社(中国・北京市)の自律走行型館内配送ロボット「YUNJI GOGO(ユンジゴーゴー)」の日本国内向けサービスを提供している。
 その特徴の一つが、高い走行性能だ。奥行49、幅42、高さ97・5cmとスリムながら、フロア内の段差を2・5cmまで乗り越えることができ、傾斜角13度以内のスロープも走行可能。厚いカーペットの上も走行できる。
 積載スペースは上下に2カ所。扉を備えており、暗証番号で解除可能なロック機能により、配送先までの安全な運搬を実現する。
 また、NECネッツエスアイが提供するマルチロボット管理プラットフォームとの連動もできる。エレベーターやセキュリティゲートなどの建物設備と連携させることで、複数のフロアをまたがる運用が可能になる。
 活用シーンとしては、複合施設内でのデリバリーサービスの提供、ホテルでの客室へのアメニティや食事の配送、病院での病床エリアへの検体や医薬品の配送などを想定。積載スペースの扉にロック機能を搭載したことで、配送物へのいたずらやごみの付着を防ぐことができ、安全・安心に配送できる。
 NECネッツエスアイでは、これまでに培った各種ロボットの取り扱いノウハウをもとに、「YUNJI GOGO」の設置環境調査や走行ルート設計、セットアップ、操作教育など、導入からサポートまでワンストップで対応する。今後は管理プラットフォームなどとの連携を強化し、高付加価値化を実現。「YUNJI GOGO」を含むロボティクス事業関連で、2024年度に売上高20億円を目指すとしている。

市販の業務用掃除機を搭載・利用可能 濡れた床も清掃できるロボット
 オカムラ(横浜市西区)の「STRIVER2.(ストライバー2)」は、市販の業務用掃除機を搭載利用できる業務用掃除ロボット。乾湿両用掃除機が搭載でき、本体も水濡れが可能なため濡れた床面の掃除ができる。床面に接する面積を小さくしたことで小回りが利き、狭い通路の掃除も可能となった。ビルの共用スペースなどの床掃除での活用を想定している。
 近年の人手不足に対し、オカムラは、業務用乾式掃除機を利用して掃除ができるクリーニングロボット「ストライバー」を開発。2022年4月より販売しているが、エントランス周りの雨で濡れた床や、店舗などの狭い通路で使用したいというニーズがあり、「ストライバー2」を開発した。
 「ストライバー2」は、市販の業務用乾湿両用掃除機を載せて搬送し、自律走行して床掃除を行う。特殊車輪の採用により1・5cmの段差乗り越えることができ、床面の凹凸などにも停止することがない。壁際1cmまで走行可能なため、隅々までごみを残すことなく効率よく掃除できる。
 また、後部とバンパーにセンサーが付いており、周囲の障害物を感知。人や障害物を感知すると、走行を停止して衝突や接触を防ぐ。床面に接する面積を小さくしたことで小回りが利き、狭い通路でも使用可能。
 初期設定でマップを作成し、掃除の範囲を指定、その後は効率の良いルートを自動で作成し走行する。初期設定で作成したマップの部分的な変更も簡単に行える。電源を入れてから掃除を始めるまでの操作ステップを少なくし、操作性の向上を図った。また、長寿命のバッテリーを搭載している。
 オカムラでは、さまざまな業務が発生するビル清掃の現場において、省人化・効率化を実現するとしている。

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