不動産トピックス

【今週号の最終面記事】新ビル巡り 東京ミッドタウン八重洲編

2023.03.20 10:36

新たな価値を国内外に発信する拠点 オフィスフロアは感染症対策に非接触技術を積極導入
周辺でも進市街地再開発 相互連携による活性化に期待
 三井不動産(東京都中央区)が再開発組合の一員として参画してきたプロジェクト「東京ミッドタウン八重洲」が、今月10日にグランドオープンとなった。同社が手掛ける大規模複合施設「東京ミッドタウン」ブランドとしては、六本木・日比谷に続いて3施設目となる。JR「東京」駅前という唯一無二の好立地に誕生した同施設は、オフィスや商業、ホテルなど様々な要素を集約し、国内のみならず海外からの集客も呼び込む日本文化の発信拠点として機能する。

オフィス・商業・ホテルなどミクストユースの街づくり
 「東京ミッドタウン八重洲」は、八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業として2018年12月に建築工事が着工。昨年8月に計画建物が竣工し、同9月に商業店舗およびバスターミナルの一部が先行オープンを迎えていた。街区内には「八重洲セントラルタワー」と「八重洲セントラルスクエア」の2棟の複合ビルが配置され、延床面積は2棟合計で約29万㎡。超高層の「八重洲セントラルタワー」は地上45階建て、最高高さは約240mを誇る。施設内はあらゆる機能が集約され、ミクストユース型のまちづくりが展開される。また、「東京ミッドタウン」ブランドの共通理念となっている「JAPAN VALUEを世界に発信しつづける街」に合わせ、「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」の施設コンセプトに沿った世界中から人や情報・モノが集まり、新しい価値を世界に発信する施設となることを目指す。
 超高層棟の「八重洲セントラルタワー」は、地上7階から38階のオフィスフロアを主体とし、低層部には商業ゾーンやビジネス交流拠点、小学校などが配置され、高層部には日本初出店の「ブルガリ ホテル 東京」が4月の開業を控えている。オフィスは感染症対策のための様々な取り組みが導入されており、顔認証による入退館システムのほか、各階のエレベーターホールには空中ディスプレイ技術を採用した非接触の行き先階選択ボタンとして、空中タッチディスプレイが設置される。これは、液晶ディスプレイと平行に空中に結像される行き先階表示をタッチするというもので、液晶ディスプレイそのものに接触することなく希望する階へ到達することができる。オフィスフロアの基準階面積は約1200坪(約4000㎡)で、「東京」駅周辺では最大級のフロア面積。ダイキン工業やM&Aキャピタルパートナーズ、住友生命保険、三井化学、日本GLPなど、各業界を先導する有名企業が拠点オフィスを構えることになる。
 また、施設内にはビジネス交流拠点やシェアオフィス、カンファレンスを整備し、働く人のシーンに合わせた働き方を提供する。4・5階のビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」では、国内外の「地域」で新たな価値創造に取り組むキーパーソンや「地域」に関心のある人々がつながる場と機会を提供する交流ラウンジ、スタートアップやクリエイターなど多様な人々が集い、三井不動産とともに「街づくりのイノベーション」に挑むオープンイノベーション・プロジェクト拠点「未来特区プロジェクト」が整備される。
 低層部は商業施設、バスターミナル、小学校などが配置されている。商業ゾーンは施設コンセプトに沿って「ジャパンブランド」にこだわった57店舗が地下1階から地上3階までの4フロアに出店。京都西陣織の老舗・HOSOOや、東京をホームタウンとする14のスポーツチーム・団体が協力するコンセプトショップ「TOKYO UNITE」など多彩なテナント構成となっており、日本初出店は6店舗、東京初出店は11店舗となっている。2階は従来の八重洲エリアが持つ魅力の一つ・雑多感を表現する商業ゾーン「ヤエスパブリック」を整備。路地裏の雰囲気を再現した区画や立ち飲みスポット、待ち合わせ広場など、訪れた人が思い思いの時間を過ごすことのできるパブリックスペースとして機能する。
 三井不動産商業施設本部の牛河孝之アーバン事業部長は「商業施設の年間の売上は約70億円、来館者数は年間1000万人程度を想定しています」と述べている。
 地下には「東京」駅前の立地特性を生かした「バスターミナル東京八重洲」が昨年9月に第1期エリアの開業を迎えている。全体開業の暁には、乗降20バースを備える国内最大級の高速バスターミナルとなる予定だ。ターミナル内にはチケットカウンターやコインロッカーなどが設置されるほか、整体サロンやコンビニエンスストアなども併設され、商業ゾーンと合わせて快適で安全なバスターミナルの利用を実現している。
 「東京」駅八重洲口では、今後も大規模再開発プロジェクトの開業が多数控えている。各施設の機能面やまちづくりでの相互連携が図られ、エリア全体の活性化が一段と加速していくことになるだろう。

地上24階にテナント向けラウンジ・フィットネス
 「東京ミッドタウン八重洲」では、「行きたくなるオフィス」を目指しビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」だけでなく、24階にはテナント向けの会員制施設・サービスが提供される。地上24階にはラウンジスペースやフィットネスジムがオープン。東京・西麻布の会員制パーソナルジム「デポルターレクラブ」などを運営するポジティブ(東京都港区)がフィットネスの運営に携わり、スタジオプログラムやイベント、ワークショップを行う。また、ワーカー同士をつなげる会員制ポータルサイトを設置するなど、社内外のコミュニケーションを生むサービスを充実させる予定だ。

【概要】
東京ミッドタウン八重洲
<八重洲セントラルタワー>
敷地面積 1万2390㎡
延床面積 約28万3900㎡
規模 地上45階地下4階
用途 事務所、店舗、ホテル、小学校、バスターミナル、駐車場、ほか
<八重洲セントラルスクエア>
敷地面積 1043㎡
延床面積 約5850㎡
規模 地上7階地下2階
用途 事務所、店舗、子育て支援施設、駐輪場、駐車場、住宅、ほか

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