不動産トピックス

クローズアップ 住宅活用編

2023.02.06 10:48

 あらゆる分野に波及したインフレが不動産経営にものしかかっている。物件維持費も高騰、不動産のさらなる活用が急務となるなか、住宅の活用が注目されている。新たな収入源の確保に、賃貸以外の施策も選択肢に入れたい。

自宅の一部をレンタルスペースに 地域との繋がりが軸 新築時から想定
 東武東上線「大山」駅から徒歩3分。商店街を一本入った住宅街に、「ギャラリーろくさん」はある。緑に囲まれたアプローチを抜けて玄関を入ると、中はリビングルームのような暖かみのあるスペース。アート作品や工芸品の展示や販売、イベントやワークショップなどに使えるレンタルスペースとして運営されている。
 スペース内は約13㎡とコンパクトだが、テーブルや椅子、展示用のボックス、スポットライト、さらに流し台や小型冷蔵庫なども完備する。玄関につながる約6㎡のエントランスも利用でき、さまざまな用途に応えることが可能だ。
 用途として多いのは、アート作品を展示するギャラリーとしての利用や、ハンドメイド品の販売など。商店街からすぐということもあり、集客力もある。英語教室の定期利用や打ち合わせ場所としての利用もあり、旺盛なニーズを感じさせる。月日を追うごとに利用の幅が広がっているが、実はこのスペース、オーナーの自宅の一角に設けられている。
 「地域の人々が集まれるような場所、私自身が地域の人と交われる場所が欲しくて」と開設のきっかけを話すのは、オーナーの布施六十三氏。定年退職を機に同じ板橋区内から転居を決め、現在の場所に土地を購入。せっかく新築するならと、1階の一部を多目的スペースとして貸し出せるような設計とした。当初はカフェの運営も考えていたが、ノウハウなしに飲食店を経営するのは厳しい。それなら人に貸そうと思いついたのが、このレンタルスペースだという。
 2020年7月のオープン以来、布施氏が目指した「地域の人たちとの輪」は確実に広がり、自身が主宰するイベントも年に数回開催するようになった。最近ではこの繋がりをギャラリーの外にまで広げていきたいという思いも生まれ、昨年は地域にある企業の施設を活用したマルシェも実施した。「今のスタイルで続けていければいいですが、状況が変わればそのつど生き残りのための方法を考えていかなければいけません」と語る布施氏。だが、新しい取り組みへの挑戦はビジネスだけが目的ではない。「いずれにしても、人が集まれるような場所の運営は続けていきたいですね」と、その目指すところにはぶれがない。

遊休スペースで「無人ジム」 最小5坪からオープン可能
 サップス(兵庫県西宮市)は、最小5坪・初期投資100万円から開業が可能な完全個室型ジム「PREFIT24」のシステムとノウハウを提供している。
 空きスペースを有効活用したい不動産オーナーや、ウェルネスツーリズムへの適応を検討するホテル、また、独立開業を志向するも高額投資が難しいトレーナー等にも好適。
 無人運営が可能なシステムや、利用者が様々なトレーニングの仕方を確認できる動画なども提供。低コストでの開業が可能なだけではなく、専門知識や経験がなくても運営できることが特長。開業後のロイヤリティも発生しない。さらに、プロが厳選したアイテムが揃う「楽トレfit」などの健康グッズやサプリメントの販売、集客代行サービスや運営アドバイス、チラシ製作なども別途提供可能。
 利用者向けには、予約から決済までをWEBで完結し、施設への認証キーを受け取れる無人運営を可能にしたオリジナル予約システムを導入。また、スマホで場所、時間、性別、キャリアを見て利用者が自分に合うトレーナーを探せるトレーナーマッチングサイトも独自に構築している。

未活用でも資産価値は下げない 定期的に空き家を訪問、保守・保全を行う管理サービス
 ミライフ(東京都港区)は、L&F(千葉県千葉市)が提供する空き家管理のネットワーク「日本空き家サポート」に加盟し、地域の空き家の保守・保全を行う「空き家管理サービス」を提供している。2022年10月から埼玉県越谷市と周辺の市区町村でサービスを開始。将来的に広範囲で展開し、多様なニーズに応えていくとしている。
 同サービスは、物件オーナーに代わってミライフの担当者が空き家を定期的に訪問し、雨漏りの確認や換気、通水などの点検、簡易清掃、郵便物の整理など、プランに応じたサービスを提供する。定期的な管理を行うことで、資産価値の維持につながる。
 訪問時の作業内容や点検結果は、物件オーナーがWeb上で確認出来るよう。Web上では、実際の空き家管理の様子を撮影した動画も視聴可能なため、空き家の現在の様子や作業内容を具体的に確認することが可能。
 サービスプランは、月1回約30分の屋外作業を行う「ライトプラン」、月1回約60分の屋内外作業を行う「スタンダードプラン」、月1回約60分の屋内外作業と月1回約30分の屋外作業を行う「スタンダード+プラン」、月1回約60分の屋内作業を行う「マンション専用プラン」の4つ。
 料金は、「ライトプラン」5500円、「スタンダードプラン」1万1000円、「スタンダード+プラン」1万4300円、「マンション専用プラン」5500円。

空き家を活用し2拠点生活 物件情報集約・移住検討のお試しも
 GrowHack(東京都千代田区、グローハック)は、空き家を活用した2拠点生活実現サービス「ADD LIFE(アドライフ)」のα版を公開した。
 同サービスは、全国の家具・家電・ネットを備えた空き家を探すことができ、料金も安価のため、現在居住している自宅を解約いたり、引っ越したりすることなく2拠点生活を始められる、短期間から無理のない金額での2拠点生活(デュアルライフ)を実現するWEBサービス。地域の空き家情報を1つのWEBサイトに集約しているため、これまで移住のハードルとなっていた物件情報収集が簡便に行える。
 また、移住を検討している地域での生活を気軽に試すことも可能。まず実際に住んでみて、自分に合う地域なのかを実感することもできる。

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