不動産トピックス

クローズアップ 売買サポート編

2022.12.05 10:45

 不動産経営においては、賃料収入によるインカムゲインだけではなく、時には売却益によるキャピタルゲインとのバランスも重要だ。さまざなま売買サポートを利用し、より大きな成果を狙いたい。

整理収納を通して売却をサポート 直後に売れた事例も
 整理収納を通して物件の売却をサポートするインブルーム(東京都港区)。「お片付けコンシェルジュ」の屋号で2007年にサービスを開始。企業として事業を手掛けた先駆けでもあり、これまで1万5000件提供してきた。
 08年からは、新築マンションや戸建てのモデルルームを収納コーディネートしたり、監修したりするようになった。そんな中、中古住宅の販売時においてもサービスできないかを考案。入居中の状態を整理収納することで早期売却につなげる「ルームアレンジメント」を開始した。
 整理収納のプロが売却する家を片づけて整えたあと、プロのカメラマンが撮影して商品として引き立つように見せるというもの。平均1カ月で売却できており、中には掲載直後に売れた事例もあるという。
 主に玄関、キッチン、バスルーム、トイレなどの水回り、リビングダイニングにおいて、居住者が利用している家財や収納アイテム、小物を活用して、購入希望者が部屋の広さや勝手を分かるようにコーディネートしている。同社の佐々木有美香さんは「ホームステージングやインテリアコーディネートのように飾り立てるのではなく、現状置いてあるものから差し引いて見せるイメージ」と話す。
同社では社内育成を徹底的に行っており、整理収納の資格「整理収納アドバイザー」取得を必須とし、階級を9つに分け、成長に合わせて上がっていく仕組みをとっている。
 費用は8万円(税別)。撮影費用込み。対象は100㎡以下の物件。発注の流れは、不動産会社が同社に依頼後1~2週間で作業日を決める。当日は4時間の中でルームアレンジメントとカメラ撮影を行い、2日以降に写真データを納品する。
 整理収納アドバイザーとは、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が、お片付けの理論と技術を身につけた人に対し、プロフェッショナルとして認定する資格。
 同社では住宅のほか、オフィスの整理収納も行っている。

「リノシー」に新機能 売却希望額の設定など可能に
 ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」を運営するGA technologies(東京都港区、GAテクノロジーズ)は、リノシーの利用者に提供しているマイページに新機能をリリースした。
 マイページは、リノシーに登録した利用者専用のウェブページ。AIが推定した不動産価格変動の確認や、資産運用・不動産投資に関するコンテンツの視聴、GAテクノロジーズのエージェントとの相談時間の確認などができる。
 追加された「売却オファー受取」は、不動産オーナーが自ら売却希望価格を設定することで、「この価格なら売りたい」と表明できる。基準となる価格についてオーナーと購入希望者で認識を合わせることができ、検討基準に満たないアプローチの減少が見込まれるという。同機能では投資用・実用の物件について、GAテクノロジーズグループからの売却オファーも受け取ることができる。
 また、今年8月に追加した「投資不動産AI査定」のエリアも拡大した。AIが予測した推定賃料と連動した収益還元法で算出した不動産査定価格を確認できる機能で、査定できるエリアを拡大し、東京都23区と神奈川県の一部エリアに加え、大阪府・福岡県の一部エリアでのAI査定にも対応した。
 さらに媒介契約の電子化、マイページでの契約書類確認も実現。リノシーで媒介契約(売却の仲介依頼)を締結した場合、電子媒介契約に続き、契約書の電子化、マイページでの契約書類の確認をオンラインで完結できるようになった。
 一般的に不動産オーナーが物件を売却する際には、物件の売却について仲介事業者と媒介契約を締結し、業者が提案した金額をベースに売却する、いわゆる「業者主導型」が採られている。GAテクノロジーズでは、こうした形態では専門性の高い仲介事業者が交渉を円滑にリードしてくれる一方、売り主が主体ではないことから次のような課題が発生しているという。
 まず、売り主の「売るかまだ迷っている」、「価格によっては売却したい」という検討段階での意思表示ができない点。もう一つが、不動産オーナーが期待している金額とは異なる価格帯で、仲介業者からの購入オファーが届く点。同社ではこれらの課題の背景として、不動産オーナーにとって「自身の保有物件の価値が、世の中のニーズと合致しているのか分からない」ことへの不安があると見ている。
 新機能は、オーナーが抱えるこうした不安や課題を解消するためのもの。オーナー主導型での売却の検討、価格起点の売買取引を実現し、同社ではこれを起点に、今後不動産オーナーにとってより気軽に売買を検討できるようなサービス改善を続けるとしている。

野村不動産ソリューションズとGOEMONが業務提携 不動産売買手続のDX化プロジェクトを始動
 野村不動産ソリューションズ(東京都新宿区)と、不動産売買に特化した電子契約サービス「Release(レリーズ)」の開発・提供等を展開するGOGEN(東京都渋谷区)が業務提携を開始。両社の強みやノウハウを生かした連携・協働を通じ、不動産流通取引における新たな価値創出を目的とした取り組みを開始している。
 両社は業務提携により、不動産流通取引におけるDX推進に係る共同研究やサービス開発を含む連携・協働を推進。具体的な例として、契約手続から引渡し後に渡る一連の取引フローにおける顧客接点へのデジタル活用等に取り組んでいく。
 不動産売買の手続きは、多くの書類を伴う複雑な作業や、決済・引渡までの種々のタスクが顧客の大きな負荷となってきた。だが5月18日の改正宅建業法施行によって、不動産売買取引時にほぼ全ての交付書面・契約締結を電磁的方法で完結させることが可能になり、デジタル活用による手続効率化・顧客の負荷低減の可能性が大きく広がった。
 野村不動産ソリューションズとGOGENでは、こうした状況において、従来の売買手続きを見直し、デジタル技術との融合による新たな不動産売買体験を創出することで、中古流通の業務や提供価値に革新をもたらすことを目的として提携に至った。
 野村不動産ソリューションズで運営する不動産情報サイト「ノムコム」でのAIによるチャット型Q&Aサービスや3Dウォークスルー動画の導入、住宅ローン手続専用アプリの開発などに取り組んできた。

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