不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.10.31 10:13

アパグループが開発用地を相次ぎ取得
市況回復を受け、15万室体制確立へ着々
 アパホテルネットワークとして全国最大級の708ホテル10万8128室を展開するアパグループ(東京都港区)では、来年以降も積極的に出店する。このほど、相次いでホテル用地を取得。ホテル市況回復に向けての投資を進めていく。

上野と岡山駅前にマンションの複合も
 東京都台東区18棟目となる開発用地は、都営大江戸線「上野御徒町」駅、東京メトロ銀座線「上野広小路」駅より徒歩1分に位置。
 「上野」駅から「上野広小路」駅につながる中央通り沿いに面し、オフィス街や観光名所の「上野恩賜公園」や「アメヤ横丁」も近く、ビジネスのみならず国内レジャー、インバウンド、イベント需要など、幅広い宿泊需要が見込めることから取得に至ったもの。
 敷地面積は、737・54㎡、同案件は全339室の「アパホテル〈上野御徒町駅前〉」として、大浴場・露天風呂を設置し、2024年11月の開業を目指す。これにより、台東区内のアパホテルは18棟・4184室となる。台東区内の既存ホテルとの相互送客を行い、ホテル運営・人員効率の向上を図る。
 同社は今後も、東京23区で、駅前開発用地の取得を中心に、アパホテルネットワークの拡充を強化していく。 また「岡山」駅近接地では、ホテルとマンションの大型複合開発用地を取得。取得会社はアパホーム。
 同案件地は、四国の玄関口としての役割も持つJR山陽新幹線・山陽本線「岡山」駅後楽園口(東口)より徒歩10分に位置する。近接している「アパホテル〈岡山駅前〉」(全315室)の稼働も好調であったことから、更なる観光需要、ビジネス需要の取り込みを期待し、今回の取得に至った。
 敷地面積は3791・65㎡。岡山県内では、現在「アパホテル〈岡山駅前〉」の他、「アパホテル〈倉敷駅前〉」(全246室)の計2棟・全561室を運営中で、同計画は岡山県内で3棟目のアパホテルとなる。開発計画はホテルとマンションの大型複合開発を予定している。
 過去に同グループでは全国13カ所(仙台・高崎・千葉・新潟・富山・石川・名古屋・京都・大阪)でホテル&マンションプロジェクトの供給実績があり、今回のプロジェクトは14カ所目となる。 

長崎では既存取得12月27日に開業
 長崎県長崎市では、既存ホテルを取得、12月27日に「アパホテル〈長崎出島〉」としてプレオープンさせる。  同ホテルは、鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1階付11階建て。プレオープン後は、営業を行いながらリニューアル工事を実施予定。
 50型の大型液晶テレビや快眠性を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」の導入、ロビー・フロントの改装などアパホテル仕様の客室・共用部へと大幅なリニューアルを計画している。
 また、リニューアルに合わせて、隣り合うシングルルーム同士を必要に応じ繋げて利用できる「SーSコネクトツインルーム(シングルーシングルコネクトツインルーム)」の新設など36室増室する。リニューアル完了後のグランドオープンは2023年5月予定。
 現在、長崎県では「アパホテル〈長崎駅前〉」(全85室)、「アパホテル〈長崎駅南〉」(全101室)を運営しており、同ホテルの開業で長崎県内のアパホテルは3棟336室となる。
 同グループは、2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」を継承し、2022年4月より新たな5カ年計画「AIM5 ~APA Innovative Movement」を始動。アフターコロナにおけるニーズの変化やDX化の波を捉えながら、国内で圧倒的なトップホテルチェーンとなるべく、2027年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく。 

「ルートインホテルズ」が富山に328店舗目
 総合ホテルチェーン「ルートインホテルズ」を運営するルートインジャパン(東京都品川区)では、富山県黒部市にグループ店舗数328店舗目のホテルとして「グランヴィリオホテル宇奈月温泉」を開業させた。
 同ホテルは、「宇奈月温泉」駅より徒歩5分に位置、鉄骨造10階建て、客室数は81室。宇奈月温泉のある黒部は名水の里として知られ、温泉の湯も透明度日本一を誇る。桜御影石につつまれた大浴場は、男女とも同じ広さで、サウナも設置する。露天風呂は四季を通じて風情を楽しむことができる。 
 夕食はしゃぶしゃぶ付きのバイキング形式、または料理長が厳選した季節の会席料理の2コースを用意する。客室は、スタンダード洋室ツインやスタンダード和モダン、デラックス和洋室など多様な客室を備え、観光や帰省など幅広いシーンでの需要を期待している。
 同社はまた、愛媛県松山市に「ホテルルートイン松山 -勝山通り-」を開業させる。
 同ホテルは、伊予鉄道市内線「勝山町」駅から徒歩で約5分に位置、鉄骨造地上13階建て。客室数は317室。駐車場完備、バイキング朝食無料、天然温泉大浴場も用意する。コンフォートルームでは、寝具メーカー大手西川の「AiR」を導入しており、ルームシアターが無料で視聴できる。
   シングル、セミダブル、ツイン、コンフォートデラックスツイン、バリアフリールームなど多様な客室を備え、ビジネスから観光、帰省など、幅広い需要を期待している。
 同社は、ライフシーンに寄り添う個性豊かな4つのホテルブランド「ホテルルートイン」「ルートイングランティア」「グランヴィリオホテル」「アークホテル」とゴルフ場を全国に展開している。

コンドミニアムにリニューアルし販売 HORIJUKUがNOT A HOTELと
 HORIJUKU(東京都港区)はNOT A HOTEL(東京都渋谷区)と提携し、HORIJUKUが展開する「UMITO」シリーズの既存ホテルをホテルコンドミニアムにリニューアルして発売した。
 第一弾は沖縄県恩納村にある「UMITO PLAGE The Atta Okinawa」全9室。HORIJUKUは、NOT A HOTELが開発するアプリをオーナーに提供でき、相互利用可能な拠点も拡充できる。また、新規「UMITO」シリーズとなる熱海、鎌倉材木座、鎌倉腰越の開発計画もNOT A HOTELと提携して販売。販売総額は100億円を超える計画だ。
 従来の別荘は使っていない期間が多く、管理が大変だったが、UMITOは年間30日単位で保有できる「シェア購入」が可能。
 オーナーが使わないときにはホテルとして貸し出し、収益を得られる。ホテルとしての運営や管理は運営会社が行い、いつでもメンテナンスの行き届いた状態で利用が可能。
 「UMITO」を購入するオーナーは、NOT A HOTEL各施設を、NOT A HOTELもオーナーも「UMITO」を利用できる。

大和ハウスリアルティマネジメント 「ダイワロイネットホテル松山」開業
 大和ハウスグループの大和ハウスリアルティマネジメント(東京都千代田区)は、愛媛県松山市に「ダイワロイネットホテル松山」アネックス棟(地上11階、客室数113室)をオープンさせた。これにより、同ホテルの総客室数は194室から307室となる。
 同ホテル本館は、2016年3月にオープン。伊予鉄道市内電車「大街道」駅より徒歩1分に位置する。周辺には、多くの観光名所や官公庁等が立地するため、今後の観光やビジネス、インバウンドなどの需要を見据え、アネックス棟を増設したもの。
 アネックス棟は鉄骨造、地上11階建て、敷地面積728・94㎡、4982・18㎡、客室数合計113室。本館の東側に隣接し、本館2階と連絡通路でつながっているため、フロントや朝食会場へアクセスしやすい。客室は本館と同様、バス・トイレは全室でセパレートタイプのレイアウトを採用。ファミリーでも利用可能な「ジュニアスイートファミリールーム」や、ビジネスでも快適に利用できるよう広いデスクとマッサージチェアを設置した「ジュニアスイートビジネスルーム」など7タイプの客室を用意した。

騒音・住居状況監視機器、エアビーがホストに提供
 世界最大級の旅行コミュニティプラットフォームのAirbnb(エアビーアンドビー・米国カリフォルニア州)は、スウェーデンに拠点を置く不動産テック企業のMinutと協業。60以上の国と地域のホストに対してAirbnbのメッセージツールと連携した騒音・居住状況監視機器を提供する。
 Airbnbの宿泊施設では騒音に起因するトラブルの発生は殆どないものの、Minutの騒音センサーは、ゲストのプライバシーを守り、騒音の録音や送信をすることなく周囲の騒音を自動的に測定。騒音値が一定値を超えた場合のみホストに通知される仕組みで、ホストは問題を事前に検知・予防することが出来る。
 今回のAirbnbのメッセージングツールとMinutの騒音・居住状況監視サービスとの連携により、ホストとゲストは潜在的な騒音問題をさらに迅速かつシームレスに解決できるようになる。
 具体的には、宿泊施設の騒音が仮にホスト側で事前に設定したデシベルレベルを超えたことをデバイスが検出した場合、Airbnbのメッセージングツールを介してMinutからホストとゲストに自動通知が送信される仕組み。最近プラハで実施した試用運転では、100%の確率で騒音感知から20分以内に騒音を減少させることに成功した。 

スクウィーズ スマートホテル全国展開推進
 SQUEEZE(東京都港区)は、スマートホテルを展開。
 SQUEEZEが提供する遠隔接客サービス「クラウド運営チーム」が担当する。これは複数のホテルを一元管理しフロント業務やマーケティング業務を遠隔(リモート)にて提供できるクラウドサービス。
 24時間365日オンライン上で利用客のチェックイン・アウトや予約受付、電話・メッセージ対応、部屋の在庫管理、清掃業務管理等の幅広い業務を行っている。昨今は、新型コロナウイルス感染症により、生活のあらゆるシーンで非対面・非接触が推奨されており、ホテル業界においても遠隔接客サービスのニーズは急増している。

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