不動産トピックス

【今週号の最終面記事】個室需要の「今」に迫る

2022.09.19 10:31

多様化する個室ブースの活用法 共用部の収益化や住宅物件の付加価値向上の側面も
 新型コロナを受けて変容したワークスタイル。中でもWeb会議場所として重宝されているのが個室ブースだ。様々な業界から新規参入が続いたが、「個室」という特性に着目した新たな価値提供の兆しが見られ始めている。

新築分譲マンションに設置 在宅ワークの課題にも対応
 不動産事業、貸会議室運営等を行うワイム総合企画(東京都新宿区)の子会社であるチャットボックス(東京都新宿区)は、個室ブース「CHATBOX」の企画・製造・販売を手掛けている。
 「CHATBOX」は縦・奥行910mm×高さ2165mm、重量は162kgとコンパクトかつ軽量であることが特徴の一つ。昨今はリモートと出社を混合したハイブリッド型のワークスタイルやABWへの意識の高まりを背景に、引き合いが増えている。
 「CHATBOX」では事務所内などへの専用タイプの販売に加え、エントランスなど建物の共有部への設置も積極的に展開。個室ブースを12カ月間無料で共用部に設置できる、不動産オーナー向けの「おためしプラン」を実施している。代表取締役の藤本太郎氏は「まずは『CHATBOX』について知ってもらいたいという思いから、200か所の導入を目標にビルの共用部などに12カ月間無料で設置する取り組みを実施しています。ビルオーナー様は初期投資なしで、利用料の約15%を収入として得られます。昨今は出先でWeb会議をしたいというニーズも増えており、共有部に個室ブースを設置することで、物件の付加価値向上・ビル利用者の促進を期待できます」と話す。
 一般的な個室ブースが15分単位での予約利用であるのに対し、「CHATBOX」は1分ごとに10円という子細な料金体系で支払いを少なくすることができる。この利便性の高さや料金設定も後押しし、事業開始から約1年半の現在、関西エリア3拠点を含む十数か所にまで設置台数を伸ばしている。
 着々と実績を伸ばす「CHATBOX」は先月、埼玉県朝霞市の新築分譲マンション「シャリエ朝霞グランフィールド」の共用部に採用されたことを発表した。「シャリエ朝霞グランフィールド」は、2024年2月に入居開始を予定している東レ建設(大阪市北区)などが分譲する大規模分譲マンション。「CHATBOX」の首都圏の新築分譲マンションへの導入は今回が初となる。入居者向けの共有スペースへの導入となるが、その背景にはリモートワークの普及した昨今ならではの働く場の課題がある。
 「在宅でのテレワーク浸透がますます進む環境下、マンションの中では書斎や個室のような空間が確保できず、WEB会議や作業に集中するのが難しいというお声が増えております。弊社では、既存の大型集合住宅への設置は実績がありましたが、今回は入居者様へのサービス充実の観点からデベロッパー様が着目してくださり、新築時から共用部に2台導入頂くことになりました。働き方の変容からマンション物件からのお引き合いの多さを感じておりますので、住宅物件への提案も積極的に行っていきたいです」(藤本氏)
 家具メーカーから施工会社まで、あらゆる企業の参入が続いた個室ブース業界。今後は公共型ブースが台頭し、マンション物件への導入も増加していくだろう。

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