不動産トピックス

今週の一冊

2022.04.25 13:40

建築部位の歴史と造りを丁寧に

矩計図って何なん?よくわからないんだが・・・
著者:蕪木孝典/長沖充/杉本龍彦/伊藤茉莉子/片岡菜苗子/中山繁信
発行:2021年11月15日
発行所:オーム社
価格:2300円(税別)

 「矩計図」(かなばかりず)とは建築業界以外の方には馴染みのないものであろう。「建築設計のすべての要素が凝縮されている図面でもあり、これを理解できれば建築をより楽しく感じられます」(はしがき)という。様々な部材の断面の寸法を出して納まりを確認するための図面だそうで「これが矩計図です」を見ると、図のほかに実に細かい文字も書き込みがされている。例えば壁には「外壁:通気層、等か防水シート、構造用合板t=12」等々。
 「現代住居は分かりにくい」のは、部材が多く複雑化されているからなのだ。
 本書は竪穴住居、民家、町家の構造を、なぜそのような造りなのか実に丁寧に説明、建築材料を木材やコンクリート、モルタル、ガルバリウム鋼板、断熱材まで網羅。建築部位の解説は、例えばコンクリートの「引張に強い」特徴を相撲取りで表現などユニークでわかりやすいイラストが楽しい。「なぞってみよう」コーナーでは建物ができていく順番を、塗り絵のように下書きを辿って自分で矩計図に挑戦できる。複雑なプラモデルのようでワクワク感満載だ。未知の用語も楽しく思える、知識豊かになる一冊。ぜひご一読を。

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