不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.04.11 10:37

ヒルトン主要ブランド京都へ 東京建物と協業で2年後開業
 東京建物(東京都中央区)とヒルトン(本社・米国バージニア州)は、「ヒルトン京都」(京都府京都市)のブランディングとマネジメント契約を締結した。同ホテルは、ヒルトンのフラッグシップ・ブランドである「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」としては京都初進出となる。 
 東京建物は、京都市中京区において「(仮称)京都三条河原町ホテル計画」として同プロジェクトを推進しており、2024年の開業に向けて起工式を行った。
 同ホテルが位置する河原町三条は、日本随一の観光都市である京都で、老舗の京料理店や粋な飲食店が軒を連ね、多くの京都市民や観光客でにぎわいを見せるエリア。同ホテルは、歴史と現代、伝統や革新など、京都が持つ様々な魅力と宿泊客を結び付ける「京都SYNAPSE(シナプス)」をコンセプトに、京都の持つ魅力を様々な角度から発信し、宿泊客の新しい発見と出会いを提供するホテルを目指していく。 
 同ホテルは、約40㎡のスタンダードルームを中心とした全313室の客室の他、オールデイダイニングや、バー、スペシャリティレストラン、カフェなどの料飲施設、ジム、屋内プール、宴会場・会議室などを兼ね備える予定。
 外装は、幾重にも要素を重ね、陰影が生み出す「京都の奥行きのある装い」で建物を包み込むデザイン。内装デザインには、コンラッド大阪をはじめ数多くのラグジュアリーホテルのデザインを手がける有限会社橋本夕紀夫デザインスタジオを起用し、「ORIMONO(織物)」をテーマに、様々な糸で紡ぐ織物をイメージした空間で「京都SYNAPSE」の世界感を実現している。 
 フルサービスホテルである「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」は、現在世界6大陸で約600軒のホテルを展開。日本では、北海道から沖縄まで都市部やリゾート地で12軒を展開している。
 東京建物は、2030年頃をターゲットにした長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」に基づき、「社会課題の解決」と「企業としての成長」のより高い次元での両立を目標に掲げている。その実現のため、重点戦略としてホテルや賃貸マンション、物流施設等、幅広いアセットタイプへの積極投資による継続的な開発機会の獲得、機動的な売却による利益創出に取り組んでいる。ホテル事業では、同社のデベロッパーとしてのノウハウの活用や、多様なオペレーターとの協業により、都市型ホテル・ラグジュアリーホテル等、様々なタイプのホテルの開発・運用を行っている。

TKP 関西エリアで初めて宿泊施設出店
 ティーケーピー(TKP 東京都新宿区)は、兵庫県神戸市の「スペースアルファ神戸」の運営を受託、宿泊研修施設「レクトーレ神戸」として、4月1日から運営を開始する。同社にとって関西エリアでの宿泊研修施設の出店は初となる。
 「レクトーレ神戸」は現在、パーソル総合研究所が「スペースアルファ神戸」として運営しているが名称を変更する。
 約1万9000㎡の研修施設として研修室26室、宿泊室244室を構え、施設にはカフェテリア・防音対策を施したバーラウンジ・パーティールーム等を完備する。アクセスは三ノ宮より車で約25分、有馬温泉まで約15分、ゴルフ場も隣接したリゾート型研修施設となる。
 同社では現在、宿泊研修施設「レクトーレ」を熱海小嵐、熱海桃山、箱根、葉山、湯河原と全国で5か所を運営している。昨今のコロナ禍における研修のあり方、企業研修所の活用方法が変化している中で、企業による宿泊研修の需要は回復してきており、オフラインでの研修意義について再評価されてきている。同社では今後も、貸会議室事業を軸として、宿泊研修事業を強化していく計画。TKP会員企業向けにセミナーホテルのシェアリングサービスなど新しい利用方法の提案を進めるとともに、企業が保有する宿泊研修施設の収益化や運営効率化のための運営委託業務の提案をしていく。これらの企業活動を通じて、宿泊研修施設の事業再生を推進していく。

OYO JAPANからTabistへ日本に合ったシステムでDX化推進
 Tabist(タビスト 東京都港区)では、4月1日よりOYO Japanから社名変更した。新ブランドでは、日本の宿泊施設にあった宿泊システムやダイナミックプライシングにより、観光・宿泊施設のDX化を推進していく。
 「Tabistでは、OYOグローバルのプロダクトの課題と価値を精査。ソフトバンクのグループ力を生かし、より日本の観光・宿泊業に合った取り組みを進めていきます」と田野崎亮太社長は話す。
 同社は、OYO Japan同様に中小のホテル・旅館に対し、「集客の最大化」「売上最大化」「生産性向上」「オペレーション代行」を提供する。
 同社がターゲットにしている独立系ホテル・旅館は約95万室あるといわれているが、多くは近年、人材不足・後継者不足に悩まされてきた。コロナ禍による稼働率低下も相まって、経営環境は決して芳しくない。同社はこうした施設に経営改革を後押しする。
 4つの施策を提供することで、加盟施設の売上向上と、加盟施設のコスト削減に繋げ、利益拡大を支援する。
 同社が取り組む施策のうち、「集客最大化」では、「Tabistブランドの構築と使いやすいアプリの構築を確立させていきます。具体的には、ソフトバンクグループ会社のMapboxJapanとの連携によって、ホテルや旅館周辺のご当地情報をアプリ内で紹介するほか、電子マネーPayPayを活用した販促活動などを行っていきたい」(田野崎社長)。
 「売上最大化」では、同じくソフトバンクグループのAgoop社と連携したダイナミックプライシングのアルゴリズム更新・刷新を行う。「Agoop社が持つ流動人口データを活用して、価格決定アルゴリズムの磨きこみを推進していきます」(田野崎社長)。施設の知恵を生かす価格更新機能も追加する。
 「生産性向上」では、ホテル向けシステムを提供するアルメックス社の「into」を活用して、スマートチェックイン等を導入、チェックイン・アウトの自動化などで人手不足を補うとともに、加盟店が使いやすい集客管理システムの構築していく。
 「オペレーション代行」では、加盟施設担当者による施設ごとの個性を生かした宿泊プランの作成、コールセンターを活用したゲスト対応の充実化を図る。

JR西日本ホテルズ 「西梅田3丁目計画」で新ブランド
 ジェイアール西日本ホテル開発(京都府京都市)では、日本郵便(東京都千代田区)、西日本旅客鉄道(大阪府大阪市)、大阪ターミナルビル(大阪府大阪市)、JTB(東京都品川区)が旧大阪中央郵便局敷地を含む大阪駅西地区に開発している「梅田3丁目計画(仮称)」に、同社が運営するJR西日本ホテルズの新たなホテルブランドを出店する。
 計画ホテルを開発するにあたり、同社初となるマリオット・インターナショナル(本社・米国 メリーランド州)と提携し、独立系ホテルからなる「オートグラフ コレクション ホテル」に、日本のホテルとして4軒目、アジア太平洋地域では17軒目のホテルとして加盟した。
 計画ホテル地は、1874年に開業した初代大阪駅の跡地でもあることから、この土地の記憶を継承し、地域の歴史や文化を未来へ紡ぐ旅の基点となるホテルブランドを目指す。
 計画ホテルは、「梅田3丁目計画(仮称)」内の1階、7階、29階~38階にあり、客室は40㎡を中心に418室、付帯施設として、宴会場、レストラン、大浴場を併設するフィットネスジム等を計画している。計画ホテルの開業は、2024年夏を予定している。
 JR西日本ホテルズは、JR西日本グループとして、近畿圏を中心に、現在「ホテルグランヴィア」「ホテルヴィスキオ」など4ブランド、11ホテル3620室を展開する。

共立メンテナンス 定額住み替えサービス導入
 全国にビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテル「共立リゾート」を展開している共立メンテナンス(東京都千代田区)では、東急(東京都渋谷区)と提携し、同社が提供する定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」にて、5月・6月に利用できる全国のドーミーイン・共立リゾート79棟の宿泊プランの提供を開始した。
 「ドーミーイン」では、主要都市からアクセスのよい立地で都市型ワーケーションが可能であり、「共立リゾート」では、自然豊かなリゾート地でリフレッシュが可能。「ホテルに泊まる」から、「ホテルで暮らす」目的に対応するため、長期滞在が可能な部屋や無料ランドリーも一部施設で用意する。天然温泉の大浴場やサウナも利用でき、夜食ラーメン「夜鳴きそば」も無料で提供する。
 「ツギツギ」とは、東急が提供する、全国の宿泊施設を1泊単位で利用可能な定額制回遊型住み替えサービス。
 会員制度「TsugiTsugiメンバー」に加入すると、全国173施設を都合に合わせて利用できる。

ホテル・旅館のM&A活性化
 Visionalグループのビジョナル・インキュベーション(東京都渋谷区)が運営する事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」は、事業を譲りたい経営者がオープンに譲り受け企業を公募する「ビズリーチ・サクシード 後継者公募」を進めている。
 第1弾として、山陰海岸「ビズリーチ・サクシード」は、譲渡企業と譲り受け企業をオンライン上でつなぐ事業承継M&Aプラットフォーム。譲渡企業は、「ビズリーチ・サクシード」に会社や事業の概要を匿名で登録でき、譲り受け企業はその情報を検索して閲覧できる。これにより、譲渡企業は経営の選択肢の一つとして事業承継M&Aを早期から検討できるため、経営者の選択肢が広がる。

PAGE TOPへ