不動産トピックス

今週の一冊

2022.03.28 10:51

古代から現代までの歴史とともに知る一冊

写真で読み解く世界の建設機械史 蒸気機関誕生から200年
著者:大川 聰
発行:2021年12月22日
発行所:三樹書房
価格:3800円(税別)

 ブルドーザーやクレーンといった建設機械は工事現場で目にする機会も多いが、その歴史の奥深さには感嘆だ。
 DXがもてはやされる今、物理的にリアルにモノを作る現場を低く見てしまう向きもあるかもしれないが、「建設機械も社会基盤そのものを作り上げるための機械であり、産業」。その歴史ははるかに古代に遡る。 本書は蒸気機関が発明される以前の「建設器械」までの資料を集めた一冊。
 「日本には建設機械の歴史に関する図書がなかった」そうで本書が初の「建設機械史」ということになるが、実に充実の内容だ。
 日本の建設機械は世界で自動車以上の高いシェアという。その技術革新から「人力器械」、牛馬の利用、スエズ運河にパナマ運河工事、ディーゼルエンジンの実用化が進む1931年から1940年の解説では「ヒトラーの台頭と日本の戦争準備」を背景に語る。写真や図面なども豊富。また巻末の「世界の主要建設機械メーカーの歴史」、「建設機械に関する年表」も実に詳細だ。1420年にイタリアで岩石排除器、1790年に日本では工楽松右衛門が杭打ち船・岩石運搬船・浚渫(しゅんせつ)船発明などを一覧にまとめてあり実に興味深い。ご一読を。

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