不動産トピックス

クローズアップ エリア活性化編

2022.03.22 10:34

 コロナ禍でソーシャルディスタンスやオンラインの活用が進む。一方、人の回遊は減少。店舗の撤退なども相次いで、エリアの賑わいに影を落とす。アフターコロナへの賑わいづくりが必要になっている。

Z世代が企画した原宿の複合施設「Section L Pop-up」
 新型コロナウイルス感染症から2年。現在もまん延防止措置が取られ、飲食店舗などは営業時間の短縮を余儀なくされている。そのなかで若者が集まり、ファッションのメッカである原宿でも回遊人口の減少がみられる。東京都が発表する「東京都内における繁華街の混雑状況および滞在人口(人出)の増減状況」ではターミナル駅の滞在人口として「渋谷」駅を計測。2020年1月を基準にしたとき、22年の3月7~13日ではマイナス39%という結果になっている。
 そのなかで「Z世代が集まれる新しい施設を」という想いで、Z世代の経営者が企画したビルがオープンを果たした。
 「Section L Pop-up」。JR山手線「原宿」駅から徒歩6分。原宿通りに続く通りに立地している。物件は3階建てで、もともと商業テナントなどが入居していた。コロナ禍の影響でテナントが退去し、長らく空室が続いていた。
 2月23日にオープンした新施設は、「衰退傾向にあるエリアとカルチャーの価値を維持・向上させる」「若年層の起業家に固定賃料なしでビジネスの実験機会を提供する」、「施設に訪れるゲスト間の交流を円滑にするコンテンツを創る」の3つを目標に据える。入居するテナントも先端トレンドを発信する原宿らしいテナントが入居。業態はアパレル、レストラン、シーシャ(水タバコ)処。昼から夜まで賑わいをつくろうとテナント誘致を行った。
 今回の企画者を行ったのが、僕と私と(東京都渋谷区)。Z世代に関する企画やプロモーション事業などを展開している。社員の平均年齢は20代前半で、代表取締役社長・今瀧健登氏も23歳だ。これまでも「起業家シェアハウス」などの企画は行った実績がある。商業ビルは初の挑戦となった。
 今瀧氏はコロナ禍で様々なものがリモートとなる中で「オンラインだけでなく、オフライン、リアルへのニーズは高まっています」と指摘する。その想いは20代や30代といったデジタルに親しむ世代も同様だ。「Section L Pop-up」を「みんなが集まって楽しみ交流できる拠点にできれば」と話す。そういった想いはテナントにも共有されている。入居テナントのなかには「いらっしゃったお客さんをハイタッチで迎えてくれる」店舗もあるとか。
 「エリア活性化や物件の価値向上などでご相談いただければ、積極的に携わっていきたいと考えています」
 業界内でも新しいアイデアをもったZ世代が更に台頭していきそうだ。

都市テクノ 根津エリアの活性化へ挑戦
 都市テクノ(東京都港区)は文京区根津エリアに地域コミュニティの活性化を目的とした「まちの学び舎」として機能する飲食店「ねづくりや」を30日にオープンする。
 根津は散策を楽しむ来街者も多いが、その一方で店主の高齢化や後継者問題によって賑わいを生み出していた商店や食堂が閉店。人同士の絆が途切れようとしている。「ねづくりや」は根津観音通りにオープンし、地域コミュニティの再生を目指していく。
 この店舗は「まちの学び舎」をコンセプトにしていて、その土地に根ざした記憶や人々がつちかってきた営み、未来のありたい姿を学びあうコンテンツを地域の人々と共創しながら、「飲食・物販・イベント」の3つの機能を持つローカルハブとして店舗を運営していく。
 「空き地、空き家、空きまちの再生プロジェクト」として武蔵野美術大学と推進する産学共同プロジェクトの実践店舗としても運用。実際にこの場所に住んでいた同大大学院の建築学科生を中心に、グループ会社であるライブライフ(東京都港区)にて採用。オーナーと直接話しあいながら自ら内装工事を手掛けるなど、街に根付いていくことを最優先に想いを込めた地域コミュニティの再生を目指す。
 具体的には「根津ごはん」の提供や、MBTリンク(奈良県橿原市)とIoTを活用したオリジナルの健康管理システムを導入して、食事での健康管理や改善を促していく。

空き家解体促進 久喜市が企業と連携
 クラッソーネ(名古屋市中村区)は埼玉県久喜市と空き家の適切な除却の促進に関する連携協定を締結した。空き家問題への対応として久喜市内の空き家所有者に対し、除却を促進していく。
 具体的には久喜市民や空き家所有者に解体の概算参考価格を提示する「クラッソーネ」の解体費用シミュレーターを紹介。空き家処分に関する説明冊子の配布、情報提供、無料相談対応、セミナーの開催などを行っていく。久喜市では今回の連携を通じて一層の空き家の除却や活用を推進していくことで、まちづくりにつなげていく。

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