不動産トピックス

クローズアップ バリューアップ編

2022.03.14 11:51

 不動産市況に不透明感が漂う。ライフスタイルやワークスタイルが変わったことで、オフィスや住宅へのニーズが多様化している。次の一手を模索するオーナーも多い。不動産をバリューアップさせるソリューションを取り上げる。

ワークブースの提供を開始 物件バリューアップへの活用を提案
 YADORIGI(東京都港区)は無人施設運営・予約管理システムソリューションをシェアオフィスやコワーキングスペースなどに向けて展開する。リモートワークの増加で様々な場所でワークスペース需要が増加、マンションやビルの共用部へのシステムソリューションへの需要も高まっている。
 先般、JR西日本プロパティーズが開発した賃貸マンション「プレディアコート森下テラス」のワーキングラウンジに予約管理システムを導入したと発表。同時に同社のワーキングブース「Silence Booth(サイレンスブース)」の提供を開始した。
 「サイレンスブース」は1人用、1~2人用、4人用までの3つのサイズのモデルがある。価格帯は100~165万円で提供する。筐体のデザイン性は高く、8種類のカラーを用意。オフィスビルからマンション、ホテルまで、どのような設置シーンにもマッチする。価格帯も同種のワーキングブースに比べて安価だ。同社は無人施設運営・予約管理システムも取り扱っているため、ブースから運用に必要なものまで一貫して提供できる。
 同社代表取締役の川治淳祐氏は「コロナ禍で注目度が増してくるなかで、当社としてもマンションなどの共用部におけるニーズには注目していました」と話す。その需要を目の当たりにしたのが、昨年他社のワーキングブースと自社の予約管理システムが都内のマンションに導入された時のこと。「物件のバリューアップを目的に導入され、無料で利用できるようにしました。非常に多くの需要があり、平日日中はほとんど空きがない状況でした」(川治氏)。家に独立したワークルームがあることは珍しい。「家族がいると仕事しづらい」とはコロナ禍のリモートワークのなかで挙がった課題だ。マンションへの導入はこのような住民のニーズに応えた。この実績が評価され「プレディアコート森下テラス」への導入も決まった。近日中にはオフィスビルでの導入実績もできる。
 このようなワークブースは不特定多数が利用することができる場合、1時間1000円ほどの価格帯でサービス提供されている。川治氏は「あくまでもオーナー様の戦略に依りますが」と前置きしたうえで、「当社はマンション住民やビル内の入居企業などの利用者に対しては無料で提供することをおすすめしています」と明かす。たとえばマンション入居者がテレワークで利用しようとする際、有料の場合には自分のお財布から出さないといけなくなる。利用を躊躇しかねない。無料での提供はブースで稼ぐことは難しいが、入居者の満足度は向上し、物件のバリューアップにつなげることができる。賃料アップにつなげることもできる施策になる。
 「マンション、ビルの価値は立地と物件で決定されます。立地は変えられませんが、物件は変えることができます。『サイレンスブース』は近隣の競合と差別化を図る一手になるのではないでしょうか」(川治氏)
 「サイレンスブース」を見学することもできる。2月現在は、YADORIGIが運営するコワーキングスペース「YADORIGI大阪本町」、「YADORIGIコワーキングinホテルスプリングス幕張」、新宿2丁目の「インバウンドテック社のオフィス内」の3カ所となっている。

賃貸しづらい築古戸建てを再生
 Rバンク(東京都目黒区)は築古戸建てを借り上げて自社の負担で改装し、バリューアップさせる不動産再生プロジェクト「根岸戸建て」が完成した。同社の「hagu組む」シリーズ第2弾として賃貸する。
 このシリーズでは社宅や駅から遠い団地など賃貸市場で敬遠されがちな物件を再生したものを組み込んでいる。対象は子育て世帯のファミリーなどだ。「根岸戸建て」は所有者が相続した戸建てを活用するには相当の修繕が必要だったことから、数年利用せず空き家となっていたことがきっかけ。同社が借り上げて改装を実施。所有者は負担なく賃貸することができる。
 物件は京浜東北線「根岸」駅から徒歩19分。桜の樹木の梁の和室や、日本家屋らしい母屋といった趣深い物件。四季折々の植栽もある。
 同社では再生への取り組みに引き続き注力していく。

情報都市 「MM88ビル」リフォーム
 情報都市(大阪市泉佐野市)は2021年に岸和田市にある「MM88ビル」を取得。同ビルは築33年、5階建てのテナントビル。このたび、ビル事業部にてリフォームを実施した。トイレや給湯室などをリニューアル。空き部屋の壁の防音効果も向上させた。

PAGE TOPへ