不動産トピックス

クローズアップ VR編

2022.02.21 13:18

 VRはコロナ禍で非対面・非接触ニーズが高まるなかで注目を集めている。業界では内覧での活用などが先行してきたが、直近では様々な分野での利用が始まっている。不動産業界VR事情を紹介する。

log build メンテナンスに役立つVR 360度を記録
 物件の内覧にVRはすっかり定着しているが、建設現場やリフォーム現場では、見るだけでなく全工事履歴を敷地調査から完成まで360度で死角無しのVR空間で記録ができるリモート施工管理サービスが登場している。log build(神奈川県藤沢市)の開発した「Log Walk」は、360度カメラと専用のアプリケーションを使用し、手軽に施工現場をVR空間化できる。死角のないデジタル現場を生成し、遠隔からスマホやPCで現場の状況をサッと確認できる。ビルを新築、または修繕する場合など、工事中に進捗状況が分かるだけでなく、工事後には壁の奥でみえなくなってしまう配管や配線、下地の様子も記録できる。
 代表取締役の中堀健一氏は、「建設現場のVR空間を簡単に作り、現場進捗を確認したり指示だしをするためのリモート施工管理サービスです。元々私自身が現場監督であり、今は建設会社も経営しており、現場で必要とされるツールを現場監督や設計士、協力業社視点で開発しました。需要は非常に多く、サービスローンチから約半年でゼネコン、デベロッパー、ハウスメーカー各社、リフォーム、リノベーション、店舗改装など様々な業種で全国に150社に迫る勢いで導入が進んでいます」と背景を語る。
 コロナ禍の影響もあり、エッセンシャルワーカー以外のあらゆる分野でテレワークが推奨されている現在、オフィスから建設現場の遠隔管理も例外ではない。
 「Log Walkでは、全工程を記録できます。360度死角なしで可視化され、データがクラウド上に残る。何かあったときに、過去に遡って壁の中にある配線やダクトがどうなっているのかすべて確認が可能です。ビルが丸裸にされるようなものですね。鉄骨の段階からインフラが入って、壁がしまわれるところまでずっと残る。将来のメンテナンスに非常に役に立つでしょう。建設業界でのVR市場は今後拡大していきますし、海外展開も考えています」(中堀氏)

注文住宅のバーチャル展示場サービス 施主と業者のやりとりを支援する新パッケージ
 VR住宅公園(川崎市多摩区)は運営する注文住宅のバーチャル展示場「HOUPARK」にユーザーと工務店・ビルダーをつなぐ新パッケージを開始した。
 「HOUPARK」は3DCGで建築した高精細のモデルハウスを24時間、360度自由自在に内覧することができる注文住宅展示場。PCやスマートフォン、タブレットなどで見ることができる。現在、全国の工務店・ビルダーが注文住宅のモデルハウス13棟を出展(WEB上に公開)している。2月から3月にかけて東海、北海道、首都圏で3棟の公開を予定している。
 今回開始した新パッケージではメガソフト社の建築企画設計、意匠設計、プレゼンテーションソフト「3Dアーキデザイナーprofessional11」と、Chatwork社のクラウド型ビジネスチャットツール「Chatwork(チャットワーク)」をパッケージに採用した。
 「3Dアーキデザイナーprofessional11」は躯体作成(間取り)、3DCGパース、プレゼンボードの作成まで簡便なシステムを作ることが可能。施主がスマートフォンにアプリ(いえクラウド)活用しデータを施主の端末にダウンロードすることで、工務店・ビルダーとの打ち合わせで作成した3DCGをいつでも閲覧することができる。現在はiPhone、iPadのみ対応となっているが、近日Androidにも対応予定となっている。データセンターには2万3000点以上のパーツを収録していて、大手メーカーの建材もほぼ最新状態で網羅されている。また姉妹ソフト、マイホームデザイナーという施主向けのソフトも提供していることから操作方法は難しくなく、設計やCADの知識を持たない営業担当者でも使いこなすことができる。
 「Chatwork」は施主と担当者などでグループチャットを構築することができる。メッセージの見落としの防止と情報の共有を実現できる。更なるコミュニケーションとして、音声会話・ビデオ会議も利用することが可能。セキュリティーに関しても高い水準となっている。

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