不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.02.14 10:30

共立メンテナンス テレワークに合わせた滞在プラン提供 プレミアムブランドの出店も加速
 共立メンテナンス(東京都千代田区)では、同社が運営するリフレフォーラム(東京都江東区大島)に、Unito(ユニット 東京都千代田区)の週3日からのホテル暮らしを可能とする、「unitoモデル」を導入した。
 このサービスは、「1ヶ月に平均20日滞在する中長期宿泊」と「従来通り1泊2日などの短期宿泊」を組み合わせ、在庫稼働率85%の実現を目的としたコロナ渦においての新たな集客方法。現在同サイトには、「Re―rent Residence 渋谷」など、約8000室の部屋を掲載している。 
 新型コロナウイルスの蔓延を受け、テレワークなどの働き方の変化に伴い、住まいをはじめとする暮らし方のニーズも変化しつつある。例えば、テレワークが導入され、テレワークとプライベートを共存させることができる郊外の広い家に引っ越したいが、月数回の出社日はこれまで通り、勤務地近くに住みたい、などといった、多様な暮らしのニーズに応える。
 今回参加した共立メンテナンスは、主にドーミーインを始めとするホテル事業と高齢者や学生向けの寮事業を展開しており、これまでも宿泊市場と住まい市場の両方に向けた経営を行ってきた。新型コロナウィルスの影響により、ホテル暮らしがトレンドになるなど、宿泊と住まいの境界線がなくなり始めていることで、新たな検証として同モデルを導入した。
   同社はまた、大阪府大阪市に「天然温泉 花波の湯 御宿 野乃 大阪淀屋橋」をオープンさせた。同ブランドは関西エリアで13棟目となる。  同ホテルは、大阪市営地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅より徒歩約1分に位置。建物は13階建て、客室数は全159室。天然温泉大浴場と高温サウナ、強冷水風呂を最上階に完備。朝食は、ご当地メニューを取り入れた50種類以上の和洋バイキングを提供する。全客室にサータ社製ベッドを配置したほか、リモートワークにも便利な全室専用Wi―Fiも完備した。夜食には、ドーミーイン名物のあっさり醤油ラーメン「夜鳴きそば」、風呂あがりにはアイスや乳酸菌飲料を無料で提供する。
 ドーミーインの和風プレミアムブランド「御宿 野乃」は、大阪淀屋橋を含め全国に8ヵ所に展開しており、関西エリアでは「天然温泉 蓮花の湯 御宿 野乃 京都七条」に次ぐ4棟目となる。全館畳敷きで旅館の雰囲気を感じることができる。
 「ドーミーイン」は、寮事業のノウハウから続く“我が家のような寛ぎ”と快適性を備えたビジネスホテルチェーン。スタンダードなビジネスホテルや和風プレミアムブランド「御宿 野乃」などのブランドを展開。現在、国内86ヵ所、海外1ヵ所、計87ヵ所を展開している。 
 共立メンテナンスは1979年に設立し、企業の給食受託業務から事業を開始した。その後、学生寮、社員寮を運営する「寮事業」を、さらにビジネスホテル・リゾートホテルを運営する「ホテル事業」へと、事業領域の拡大を図ってきた。

CBRE アセット売買仲介サービスサポート強化
 ホテル・旅館を中心にホスピタリティアセットの売買に関する戦略策定、売却活動の運営、クロージングサポートまでのトータルソリューションをサポートするCBRE(日本本社・東京都千代田区)は、ホテル関連アセットの売買仲介サービスを強化する。
 同社では現在、既存ホテル関連アセットの売却に関する一連の業務や、ホテル関連アセットの「不動産戦略策定」アドバイザリー、ホテル開発用地の「取得」における売買・賃貸仲介。新規および既存ホテル関連アセットのマーケットスタディレポートの提供、既存ホテルおよび開発プロジェクトにおけるオペレーター選定又はアドバイザリー業務、ホテル関連アセットのアセットマネジメント、などを提供している。
 マーケットの変化を敏感に捉え、国内外のネットワークと組織内に有する情報と、これまで培ったホテルアドバイザリーに関する専門性の高い機能を活用。オーナー・ホテル運営会社、投資家、ディベロッパー、金融機関などの幅広いクライアントに対し、広範囲なビジネスサポートを行っていく。
 2020年に予定されていた東京オリンピック開催を起爆剤とした観光需要喚起によって、ホテル関連アセットのマーケットは順調な成長を示してきたが、コロナ禍の発生により、業界は大きな転換点を迎えている。
 一方、観光産業を今後の成長戦略の大きな柱と位置付ける日本政府の姿勢には変化はなく、引き続きこの分野の成長へのサポートは継続してゆくと考えられる。
 人口減少による経済規模縮小の打開が大きな命題である日本では、数少ない成長余地のあるのが観光産業だ。その中で、ホテル関連アセットは、コロナ禍の終息前にもかかわらず、再び大きな投資機会ととらえる国内外の投資家・事業会社が多く存在している。
 日本では、2021年の第1四半期~第3四半期のホテルへの累計投資額は1370億円に達し、前年比で31%減少した。にもかかわらず、経済活動は活発化しており、同社は国内における経済正常化の進展を背景に、2022年に日本へのホテル投資が徐々に再開すると予想している。
 CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスだけでなく、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの17の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダー。

いちご フロント業務の遠隔操作システム大手ベンダーと協業
 不動産事業やクリーンエネルギー事業を手掛ける、いちご(東京都千代田区)が手掛けるホテル事業で、新たな取り組みが話題を呼んでいる。2019年3月に設立されたグループ会社の博多ホテルズ(福岡県福岡市)では、複数ホテルのバックヤード機能を1か所に集中させる「カスタマー・インタラクティブ・センター(CIC)」を設置。業務の効率化による労働環境向上を図っている。
 同社は、いちごグループでは初めてのホテル運営会社で、いちごの連結子会社であるセントロの100%子会社にあたる。「The OneFive Terrace Fukuoka(ザ・ワンファイブテラス福岡)」(同)はじめ、九州エリアを中心に13店舗を運営している。
 CICは、ホテルシステム大手との共同開発によるシステムを採用し、コールセンターやセキュリティ機能などを持つ。もちろん、旅館業法に則り各ホテルには一定数のスタッフが常駐しているが、フロントには自動チェックイン機を配置し、問い合わせは基本的にモニターを通じてCICスタッフが対応する。宿泊者は何もなければフロントスタッフと顔を合わせる必要がなく、コロナ禍での非接触を実現した。
 通常、ビジネスホテルでは、ひとりのマネージャーが売り上げもコスト管理も行っているが、CICでは客室の値付けやマーケティングも含めて集約させ、一つの施設では対応できない機能を持たせた。

デベロップ 「レスキューホテル」全国に 有事の災害避難拠点
 モジュール型コンテナホテルを展開しているデベロップ(千葉県市川市)は、有事の際には客室をすみやかに被災地へ移設し避難施設等に利用できる「レスキューホテル」の運用を開始した。
 同社は災害に強い社会をつくり、未来の命や暮らしを守ることを目指していくことを目的にこの事業をスタートさせた。
 平時はホテルとして運営される客室を、災害など有事の際は被災地へすみやかに移設し、避難所等として利用する仕組み。災害等が発生した際には、各拠点(ホテル)より要請された場所へ出動し、避難所等として利用できる。また、客室を動かさずにホテルを地域の災害拠点として利用することも可能だ。
 昨年8月には、山口県に初出店となる「HOTEL R9 The Yard 宇部」を開業。同ホテルは山口宇部空港、JR宇部線「宇部岬」駅より程近く、敷地面積2775㎡。客室はダブルルーム31室、ツインルーム5室。平時は地域の憩いの場として、有事は山口県内をはじめ中国・四国地方への「レスキューホテル」の出動拠点としての役割を担う。
 同社は拠点の拡充により、北海道と離島を除く全国へ24時間以内の出動を目指していく。一方、「レスキューホテル」の普及とよりすみやかな出動体制の強化のために自治体等との災害協定締結を推進していく。
 同社は今年5月に岐阜県美濃加茂市に「HOTEL R9 The Yard 美濃加茂」を開業させるが、それに先立ち、2月14日にレスキューホテルの出動に係る岐阜県初の災害協定を美濃加茂市と締結した。有事には同ホテルはじめ、中京エリア内に所在する6店舗から迅速な出動を行えるよう、関係各所との連携強化に努めるという。
 同社のホテル事業は、「HOTEL R9 The Yard」ブランドで、2022年2月現在、北関東を中心に中部・近畿地方、中国地方、九州・沖縄地方に46拠点1545室を展開している。ひとつのモジュールは海上コンテナと同じ寸法のため、ユニットを積んだトレーラーが現場まで搬入でき、吊り上げ用のクレーン車を置くスペースがあれば設置することが可能になる。同規模の他のホテルと比べて、20%程度建築コストを下げることができる。つまり、宿泊価格もその分下げることができるというメリットがある。
 重量鉄骨造のため、プレハブに比べて断熱性や防音性に優れ、居住性も高いといわれている。

京王プラザホテル ラウンジをリニューアル
 京王プラザホテル(東京都新宿区)は、これまでホテル会員や限定宿泊プランのみ限定していたラウンジを、滞在中の宿泊者に利用できるよう、ラウンジ「リュクス ラウンジ ~THE PLACE~」として、リニューアルオープンさせた。コロナ禍で需要が高まっている “おこもりステイ”の楽しみ方の一つとして、ホテル内のラウンジで快適に自由な時間を提供する。
 新たなラウンジは「癒し」と「語らい」をテーマに、滞在中にゆっくりとくつろげる空間を演出した。空間デザインには、リラックスした時間を過ごしてもらえるように、緑を取り入れたディスプレイや、芝生をイメージしたラグやハンモックを配し、入口で靴を脱ぐ開放的な空間に改装した。
 夜はLEDランタンの光がラウンジ内を柔らかく照らし、落ち着いた雰囲気を演出している。更に提供する飲み物は、スターバックスのコーヒー体験を提供するプログラム「We Proudly Serve Starbucks」を都内ホテルとして初めて採用した。

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