不動産トピックス

クローズアップ 消火器編

2021.12.27 10:55

 先日、発生した大阪でのビル火災。このような痛ましい事故を起こさないためにも、今こそ消防設備を見直しておきたい。最新の消火器製品を紹介していく。

火災感知から消火まで全自動
 モリタ宮田工業(東京都江東区)がコロナ禍で設置が急増した個室型ブースを想定して開発した「霧筒」は、住宅用下方放出型自動消火装置。個室型ブースの天井部分に設置し、火災を感知すれば自動的に薬剤が放射される。水の4倍の消火性能を持つ消火薬剤は高い冷却、浸透、再燃防止効果があり、初期火災のうちに消火が可能だ。
 「個室ブースメーカーから、スペースが少ないところに設置できる消火装置はないかという声がありました。そこで美観もよく、スペースを取るタテ型ではなく小スペースに収まる横型を作ろうと開発を始めました。横型は、タテ型に比べると、薬剤が残りやすいが、構造を工夫し薬剤が無くなるまでスムーズに放射されるようにしました。また、点検のしやすさを考え、個室型ブースの内部から圧力計がのぞけるように、使い勝手のよい設計としました。消火器の一般的な構造では、このような横型にはならないので一から設計しました。見た目もすっきりして、お客様の反応は非常に良いですね。販売目標は年間1500台。コロナ禍の緊急事態宣言下の開発でしたから、工場でも2班に分けるなどしましたが通常のスピードで開発から製品化までこぎつけました」(モリタ宮田工業技術開発部部長 魚住重通氏)。もちろん個室型ブース以外にも設置可能だ。施工も比較的簡単。本年1月に販売開始以来、好評を得ている。
 また、2021年12月1日より、パッケージ型自動消火設備1.型「スマートスプリネックス」を発売した。「スマートスプリネックス」は、スプリネックスの特徴である高い防火安全性能はそのままに、多重伝送化でさらなる機能向上を実現したパッケージ型自動消火設備だ。施工・点検にかかる負担を軽減し、柔軟性のあるシステム設計が可能になっている。火災発生時等には、当該区画名称を瞬時にモニターへ表示できるため、素早い初動対応が可能。また、自己診断機能を搭載し機器の状態を自動で記録するため、事後の状況確認が容易となっている。スプリネックスは病院・診療所や社会福祉施設、共同住宅を中心に約6000件以上の導入実績を持つ。スマートスプリネックスを新たにシリーズに加えることで、大型物件や短工期物件にも対応し、さらなる安全・安心の提供に尽力していくという。
 消火器トップメーカーである同社は他にも、「より早く、確実に消火しやすいよう、消火能力を向上」させた高性能型アルミ製蓄圧式粉末ABC消火器「アルテシモ・プラス」や、住宅用に安全な食品由来の消火薬剤を用いた、持ち運び便利なコンパクトデザインの「キッチンアイ」シリーズなど、幅広い消火器や消火システムを展開している。
 「消防法令に基づいて消火器の設置が義務つけられている建物等で、2011年1月1日の規格省令改正されたことにより、旧規格の消火器は2021年12月31日を過ぎると消火器として認められなくなりますので、いま一度点検の上、交換・リサイクルをお願いします」(モリタ宮田工業 営業本部 機器事業部 本店営業部 課長 高宮広之氏)と安全な利用を呼び掛ける。初期消火の重要性と共に、消火器の正しい設置方法も周知徹底をしておきたいものだ。

ヤマトプロテック ハイパフォーマンス強化液(中性)消火器
 ヤマトプロテック(東京都港区)はハイパフォーマンス強化液(中性)消火器「YNXシリーズ」の「YNX―1・5、3・5」を販売している。
 同製品は新開発の消火薬剤により薬剤量12~25%削減し軽くて小さく強力な消火器。
 消火薬剤は中性で、消火はもちろん環境にも人にも優しく安心。  薬剤量は「YNX―1・5」が1・5L、「YNX―3・5」が3・5L。
 普通火災に対しては、冷却作用と強力な浸透作用により、確実に消火。油火災に対しては、泡状になった消火薬剤が油面を迅速にシールして確実に再燃を防止する。そのため、従来のアルカリ性強化液消火器では消火の困難だった、ふとん、綿くず、段ボールなどの深部火災や、ガソリン等の引火性油火災も確実に消火する。
 カラーはレッドの他にピュアホワイト、プラチナシルバーをラインアップ。人目に触れる空間やデザイン性の高い建物にも調和し、薬剤が異なる消火器との差別化にも好適。

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