不動産トピックス

今週の一冊

2021.10.11 10:22

コロナ禍で激変した人生

不動産大異変 「在宅時代」の住まいと生き方
著者 太田垣章子
発行日 2021年4月12日
発行所 ポプラ社
価格 890円(税別)

 家賃明け渡し訴訟2500件以上に携わった司法書士の著者は言う。コロナ禍で家賃や住宅ローンが払えない危機に直面した人たちがいるが、原因はコロナだけだろうか。その人たちに接するたびに「お金の知識が足りない」と感じるそうだ。
 「そこを改善しなければ今後もさまざまな波に押し流されてしまう」、だからこそ自分は大丈夫かと問わなければならないと。
 本書には様々なケースが紹介されている。安い事故物件を探す若者、増える女性のゴミ屋敷、IT系企業の若者は「急に世の中リモートワークになったら社長が俺らの時代が来たとバンバン仕事取ってくる、とにかく忙しい、感染しても仕事休めない」、そして気づいたら家賃滞納―予想以上に速いスピードで日本は壊れているのではないか。
 第5章「不動産ドミノ倒しはあるのか」では、民泊やマンスリー賃貸の事業者の現状にため息をつき、最終章「コロナ禍から見えた住宅事情」では共存を深く考えさせされる。
 テレワークは、これまでリアルでコミュニケーションを取りながら仕事ができていたからこそ、居場所が違っても成り立つ働き方だという著者は、だからこそ社会人としてまだ立場を確立していない若者などには声をかけてほしいと訴える。身近に考えるための一冊。

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