不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.09.27 11:15

IHG 2024年に京都へ進出 老舗料亭立地に
 IHGホテルズ&リゾーツ(本社・英国 日本・東京都港区)と、GI キャピタル・マネジメント(東京都千代田区)はこのほど、「リージェント京都」(京都府京都市)の契約を締結、2024年に開業する計画だ。
 同ホテルは客室86室、新たに誕生する「岡崎つる家」、オールデイダイニング、ロビーラウンジ、バーの4つの料飲施設、フィットネスセンター、スパを併設する。運営はIHG・ANA・ホテルズグループジャパンと、GIキャピタル・マネジメントの設立した特別目的会社(SPC)が行う。
 立地は老舗料亭「岡崎つる家」の地。明治の政財界有力者の邸宅が並ぶ岡崎の地に、明治時代から昭和初期にかけて活躍した作庭家、加藤熊吉が琵琶湖疎水の流れを活かして作庭した名園。伝統的な建築様式を独自に近代化した世界的に著名な建築家、吉田五十八の設計による新数寄屋建築で知られる「岡崎つる家」の豊かな伝統を受け継いで誕生する。「リージェント京都」は、創造性、贅沢さ、落ち着いた雰囲気が調和した客室を擁する。
 「岡崎つる家」は、100年余の歴史を有する老舗料亭つる家が1928年に開店し、日本の皇室や貴賓が京都を訪れる際の宿泊・会食施設として利用されてきた。また、英エリザベス二世やダイアナ妃、米ブッシュ元大統領、仏ミッテラン元大統領など、各国王族や元首、令夫人などの要人に加え、内外の文化人にも愛された、由緒ある和の迎賓館でもある。 
 京都東山の山並みをバックに、庭園、室内空間、景観を一体とした独自の美を醸成してきた「岡崎つる家」の伝統を継承して誕生する「リージェント京都」では、新たに誕生する「岡崎つる家」をはじめとする複数のレストランに加え、ロビーラウンジ、バー、フィットネスセンター、スパなどの施設を擁する。それだけでなく、日本そして京都の文化、芸術、芸能の真髄に触れられる機会を設けるなど、利用客がパーソナル・ラグジュアリーホテルに求める最上の宿泊体験を提供していきたいという。
 IHGホテルズ&リゾーツは、日本で37軒のホテルを展開し、ここ数年で急速に成長している。直近では、キンプトン新宿東京、ホリデイ・イン&スイーツ新大阪、ANA ホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん、ホテルインディゴ箱根強羅、インターコンチネンタル横浜Pier 8、ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパなど次々に新しいホテルを開業している。

DX化の波 小規模施設向けサービス登場で経営変革促す
 Dot Homes(東京都品川区)は、「観光産業を“おもてなし”に集中できるようにサポートする」をミッションに掲げ、観光産業向けのサービスを展開している。同社はこの度、宿泊施設のコンシェルジュ業務・マーケティング業務・バックオフィス業務をサポートする「オペレーターサービス」を、10~100部屋を有する小規模なラグジュアリー宿泊施設向けに特化したサービスとして改め提供を開始した。
 新サービスは、宿泊施設へのDXソリューション提供により、運営における人手不足を解消し、固定費削減の一助とする。独自のメソッドを活用し、集客方法の偏りやニューノーマルに適応した施設づくりまでをサポート。売上の最大化と新規顧客層の獲得が可能としていきたという。
 このオペレーターサービスは2017年より試験的に運用を開始しており、関東を中心に76施設での契約実績があるほか、「足摺テルメ」(高知県土佐清水市)からの受託など自治体との協業事例も有しており、民間、自治体ともに、顧客の課題を解決に導くノウハウが蓄積されている。
 人手不足により、各産業でDXの推進が叫ばれる中、特に宿泊業ではデジタル化の遅れが顕著となっている。複雑性が高く幅広いオペレーションや、固定化した集客方法、ブラックボックス化した運営ノウハウがその変化を妨げており、加えて昨今では、新型コロナウィルスの影響による観光人口の減少、インバウンド需要の減少も課題となっている。
 そのため、ニューノーマルに対応した集客・マーケティング、施設運営、サービス提供、ホスピタリティの再設計が急務となっている。「オペレーターサービス」では、デジタルBPO、IoT機器やシステムの導入により、集客、接客、清掃、経理などを遠隔サポートし、省人化・非接触でのサービス提供を可能にする。
 従来はバックオフィス業務の効率化が主だったが、チェックイン・アウトの自動化や客室用タブレットによるルームサービスの注文自動化など、顧客対応業務や複雑性の高い業務の効率化にも対応し、コロナ禍でも安心して利用できる施設づくりを実現させる。 
 また、マーケティングソリューションでは、独自に蓄積したデータを活用し、ビッグデータ解析を強みとした集客・収益の最大化を実現。競合施設の販売価格や客室稼働率などのデータと、マーケティング専門スタッフのサポートによりSNSなどを活用した広報戦略の立案や、適切な価格設定を可能にする。
   同社では、「開業支援サービス」も提供。ホテル・旅館・グランピングの開業前から伴走し、最適なオペレーション設計を行う。全国に展開している自社ブランドの運営ノウハウを活用した独自メソッドに加え、総合人材サービスを展開するパーソルグループとの提携により、人材採用支援も一括して請け負うことも可能だ。

アパホテルが既存ホテルを取得 大阪エリアの集中出店の一環
 アパグループ(東京都港区)はこのほど、大阪府門真市の「門真ターミナルホテル」の取得を決定した。同ホテルは、11月15日に「アパホテル〈大阪門真市駅前〉」としてオープンを予定しており、アパホテルが運営にあたる。
 同ホテルは、京阪本線・大阪モノレール線「門真市」駅より徒歩3分に位置する。「伊丹空港」へ直接アクセス可能であり、周囲には大手企業本社など多くの企業が集積しビジネス需要を見込める立地だ。また、大阪府内有数のスポーツ施設である「東和薬品RACTABドーム」へもアクセス可能となっており国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。 
 今後、全客室に50型以上のTV、事務所並みの明るさとなるシーリング照明を設置、BBCワールドニュース無料放映、VODの無料サービス、ベッド寝具をデュベ仕様への変更などを行っていく。
 フロントには、1秒チェックイン機を導入予定。事前にオンライン決済するアプリチェックインを行うことで、当日のチェックイン手続きを大幅に簡素化することができる。
 同社は現在、FC、建築・設計中、リブランド予定を含め、大阪府下で30ホテル1万1583室を展開している。
 2025年に開催が決定した大阪万博による需要の拡大を見込み、大阪エリアにおいて大型ホテルの開発に注力。2023年1月には、34階建て・全1704室の「アパホテル&リゾート〈大阪梅田駅タワー〉」の建設工事に着手したほか、2024年には40階建て・全2060室の「アパホテル&リゾート〈大阪難波駅タワー〉」の建設を計画している。

藤田観光がAI活用した回遊モデルを実証実験開始
 藤田観光(東京都文京区)では、スタートアップのNew Ordinary(ニューオーディナリー 愛知県名古屋市)との協力の下、藤田観光が運営する観光施設「箱根小涌園ユネッサン」(神奈川県箱根町)を起点に、AI(人工知能)を活用した箱根地域の新たな回遊モデルの実証実験を行う。将来的には、観光分野におけるDX(デジタル変革)を実現させていきたいという。
 この実証実験は、「新しい生活様式」の実行・定着に貢献する、新たなサービスの開発支援を目指した神奈川県における「ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK)に採択されたもので、同県による支援の下、箱根観光におけるDXの実現に向けて、ニューオーディナリーが藤田観光と共に実証実験の準備を進めていく。 
 利用者の性格や好みをAIが分析して、最適な目的地と回遊プランを提案する。具体的には、「箱根小涌園ユネッサン」を予約する段階の「旅前」で、子供連れへの対応など利用者が気になる重要ポイントも紹介。「箱根小涌園ユネッサン」へ移動中の「旅中」では、小腹が空いたなどシチュエーションに応じて寄り道・周遊スポットを紹介。これらを通じて、箱根全体の体験価値が向上するかを確認していく。 
 実証実験で利用するサービスは、ニューオーディナリーが開発した利用者の趣味趣向に合わせたオススメスポットを提案するデジタルマップ型アプリケーション「NOSPOT」を活用し、藤田観光が運営する観光施設「箱根小涌園ユネッサン」を始めとした箱根の新しい回遊モデルプランを提案する。 
 ニューオーディナリーは、コロナ禍の2020年4月に創業した名古屋のスタートアップ企業。AIでユーザーの性格や好みを分析して目的地と移動手段を提案するサービス「NOSPOT」を開発・提供している。

あぶらや燈千 「露天風呂」付き客室4部屋増設
 あぶらや燈千(長野県下高井郡)では、新客室「露天風呂付き客室」を4部屋リニューアルオープン。「あなただけのプライベート空間で楽しむ滞在」をコンセプトにした、部屋にいながら旅館滞在を満喫できる80㎡以上の新客室となった。伝統木工技術「組子」をモチーフに日本らしい「わびさび」の世界をデザインした、洗練された美しさや豊かさを感じられる空間とした。
 新客室は4部屋で、それぞれモチーフの組子がテーマだ。「紗綾(さや)」は、絹織物から生まれた模様で、不断長久の意味を持ち、長寿、家の繁栄を願う意味がある。「籠目(かごめ)」は、竹籠の網目を表し、形作られる星形は邪気を払ってくれるもの。「提灯桝(あかります)」は、あぶらや燈千は元々は油問屋で、千年先まで灯りをともし続けられるようにと願いが込められている。「竜胆(りんどう)」は植物のりんどうがモチーフで、つなぐことで浮かぶ幸福を呼び込むという意味がある。
 展望露天風呂・寝湯・サウナを配置。朝に夕に彩を添える信州の山並みを湯船に浸かりながら楽しむことができる。

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