不動産トピックス

クローズアップ 防災用品

2021.07.05 11:29

「天災は忘れた頃にやってくる」―分かってはいるが、さて万全の備えはできているだろうか。例えば地震が起きたその瞬間、どこにいるだろうか。必ずしも安全な場所にいるとは限らない。できるだけ多くの場所に多くの機能のある防災用品を備蓄しておこう。

ステンレスの特性を生かすエレベーター内の防災品セット
 吉川金属(新潟県燕市)の本業はステンレス鋼材。同社が開発した「防災キャビ」は本業の強みを生かした耐久性にすぐれたステンレス製だ。
 「主にOEM商品を製造しておりましたが、当社独自のオリジナル商品を検討しておりました。2011年の東日本大震災でエレベーターの閉じ込め事故の発生などからエレベーター用キャビネットの必要性に着目し、当社の得意とするステンレスで製造することになりました」と開発の背景を語るのは東京支店営業部部長の及川勝氏。
 「防災キャビ」の発売は2012年。当初はコーナータイプのみで2015年に薄型タイプ、2017年に座れるタイプを発表。
 「隅に置いて収まる形を目指しました。邪魔にならないサイズを第一に考え、中身は、最低でも二人が1日間しのげる量を想定し、ペットボトルは5本は入るように、などいろいろ検討しました」(及川氏)
 エレベーターかごの隅におけるコーナー型、幅9・7cmの薄型など、コンパクトな「防災キャビ」の中はセンサーライトや非常食の乾パン、保存水、簡易トイレに防暑・防寒シートなどが詰まっている。
 「エレベーターの閉じ込め対策という意識はこの数年で浸透してきていると感じます。中身のラインアップはユーザーの声も反映しております。現在発売しているセットには、携帯充電器が新たに追加されています。簡易トイレや目隠し用になるポンチョも入っています」(営業部営業課 浅古 国泰氏)
 磁石でエレベーターの壁に固定するタイプ。扉を開けるとセンサーライトが点灯するので停電時でも中身は容易に取り出せる。2019年4月の国土交通省から建物所有者・管理者関係団体の長へ出された「エレベーターの地震対策の実施について(依頼)」ではエレベーターかご内への防災キャビネットの設置を積極的に推奨されている。エレベーター閉じ込め事故が起きた場合、すぐに救出できるかどうかは分からない。ビルオーナーは各基に非常用の防災セットを設置しておくべきだ。
 「小規模ビルから都心のエレベーターが何基もある大型ビルまで設置していただいています。順調に販売台数は伸びておりますが、今後も防災対策のひとつとしておすすめしていきたいですね。ステンレスの良さも同時に広めていければと思います」(及川氏)

三和シヤッター 防水商品に新機能
 三和シヤッター工業(東京都板橋区)は、防水商品「ウォーターガード防水シャッター」に防火・防煙タイプを追加した。
 「ウォーターガード防水シャッター」は、集中豪雨などによる浸水被害(内水氾濫)を防ぐため、業界で初めて防水性能を有する電動パネルシャッターとして2014年に発売した。
 追加された製品は、従来の防水シャッターの防水性能はそのままに、パネル素材にスチールを採用するなど構成部材の仕様を変更することで防火・防煙性能を確保した。火災時に有害な煙や熱を感知して自動的に閉鎖する。
 防火・防煙性能と防水性能が求められる地下街や地下通路と建物の出入口に設置することが可能で、防火・防煙性能と防水性能を有したシャッターは業界初。また、管理用シャッターとしても使用することができる。
 集中豪雨などは短時間で水位が上昇するため、浸水の危険性を察知した際に、より早くスムーズに対策することが求められている。豪雨や浸水前にシャッターを閉鎖し(補強中柱が設置されている場合はセットし)、「圧迫ボタン」を押すことでシャッターパネルが圧迫され、浸水高さ3m以下までの防水性能が発揮される。このため、設置の手間が少なく、簡単に素早く安全に浸水を防ぐことができる。

コクヨ/大林組 連装ガラスパーティション 10分間の防火性能
 コクヨ(大阪市東成区)は、大林組(東京都港区)と共同で10分間の防火性能を有する連装ガラスパーティションを開発した。発売は9月初旬を予定している。
 無対策では、300℃を超えると隙間が発生し始め、600℃の火炎にさらされると90mmほどの隙間が発生する。
 同開発品は直径約30mmの面外変形防止金具により、600℃の火炎にさらされても火炎が噴出する隙間の発生を抑止する。
 外観はガラス間に鋼製の縦枠がないため、壁一面がガラスのような開放感を与える。さらにガラス間目地のシーリングに高透明性の材料を使用することで、よりガラス面の連続性を高めることが可能。
 また、ガラス表面にドット柄やストライプ柄などのガラスフィルムを貼ることで、デザイン性が向上するとともに視線を柔らかく遮り、一般執務エリアから応接・役員エリアまで幅広く使用できる。
 同開発品は厚さ70mm~130mmのコクヨ製不燃スチールパーティションと連結できるため、通常のオフィスレイアウトの中で自由に配置することが可能。

QEエナジー 日本初の室内分散型非常用電源
 QEエナジー(東京都港区)は、スーツケースのように持ち運び可能で、大型冷蔵庫やデスクトップPCに使用できる日本初の室内分散型非常用電源「AQUENEOUS Carry300(アクエネオス キャリー300)」を販売している。
 同製品は、マグネシウムと空気と塩水を介して化学反応させることで、安全でクリーンな電気を生み出す。飲料水、雨水、海水、尿、醤油など水分であればなんでも発電できるため、防災用途の利用に優れる。
 塩水とマグネシウムを交換することで、繰り返し何度でも発電することができる。発電時間は約50時間。従来の水発電機を簡単に持ち運びができるようになったため、国内外問わずいつでもどこでも必要な電力を安全に使用することが可能になった。 

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