不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.06.21 11:51

カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント 「滞在型」コンセプトで新店舗
 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)は、伝統的な京町家を現代の生活に合わせてリデザインした「滞在型ホテル」をコンセプトにした「カンデオホテルズ京都烏丸六角」(京都府京都市)を6月6日にオープさせた。
 同施設は、JR「京都」駅からアクセス至便な京都の中心地・「烏丸御池」駅から徒歩3分に位置、地上10階建て、延床面積約3453・28㎡。
 レセプション棟、客室棟、大浴場棟の3つの棟で構成されており、「カンデオホテルズ京都烏丸六角」の玄関口であるレセプション棟は、京都市登録有形文化財である旧伴家(ばんけ)住宅を改修し、利用者が京町家の空間及び文化価値を体験してできるようにした。
 強度を保ちつつ、建築的価値の高い梁や柱、襖などの建具を活かした改修を行うには専門知識と高度な技術が必要とされるが、専門家の協力も得ながら文化財としての価値を継承しつつ、現代の価値観を融合させた形で設計している。
 京町家を継承したレセプション棟と、最新のスペックを配備した宿泊スペースを融合させることにより、「暮らすように京文化に触れる」長期滞在での利用を想定した、これまでにない新しい宿泊体験の提供を目指す。
 レセプション棟1階では、「応接の間」の襖にある京都出身の文人画家である池大雅の墨絵、和を連想させる白檀の香が薫る玄関などの空間を演出。二階には、利用者がそれぞれの時間を楽しむことができるバーやライブラリーを作り、町家に住む感覚を体験できる空間を創出する。
 町家ならではの特徴のひとつである厨子(つし)二階のスペースには、滞在中利用可能な「ライブラリー」を設置。祇園祭を始めとする京文化に関する資料やデザイン書などを自由に閲覧できる書棚を設けたスペース。もう一つの母屋側の階段を上がった八畳二間の空間の奥には「バー」を併設した。
 地上10階建ての客室棟には106室の客室があり、プライベートスパ付き客室も2部屋完備。
 また、カンデオホテルズチェーン最大の特徴である大浴場は外気を感じることができる外湯となっている。男湯にはドライサウナと水風呂、女湯にはミストサウナを完備する。

日本郵政 「JPリゾート伊豆高原」に改装 「かんぽの宿」リブランド
 日本郵政(東京都千代田区)が運営する宿泊事業の「かんぽの宿」では、「かんぽの宿 伊豆高原」を「JPリゾート 伊豆高原」として名称を変更し、大規模リニューアルを行い4月1日にオープンさせた。
 同施設は、「きっと、その土地が好きになる。」をテーマに、ワンランク上のリゾート感のある上質なホテルとして生まれ変わった。Withコロナ時代の新しい旅のスタイルが求められる中、三密対策や衛生管理においても安心安全な場所を提供する。
 客室数はプレミアムスイートルーム4室、プレミアムルーム18室、スタンダードルーム33室の合計55室、全室オーシャンビューで、レストラン、大浴場、ショップ等を併設する。
 開業に伴い、点ではなく、エリアで地域の方々や事業者と協力・連携し、伊豆高原エリアを盛り上げる地域連携プロジェクトを発足させた。伊豆高原エリアの地域貢献・創生、地域文化の発信、利用客の健康促進を目指していく。また、地元の魅力をスタッフ1人1人が紹介できるようになるために、全スタッフが伊豆半島ジオ検定を取得した。伊豆高原の様々な観光スポットをニーズに合わせて紹介することで、旅の想い出づくりをサポートする。
 「JPリゾート 伊豆高原」では、宿泊者に向けて、ロビーで地元のジオガイドや観光施設の人を招いて、伊豆高原の魅力を学ぶ事ができるトークイベントを開催するほか、少人数制の「JPリゾート 伊豆高原オリジナルツアー」も予定しており、伊豆高原の魅力を、安全に配慮をした形で体感してもらえる多様な旅コンテンツのプランを企画している。

ナインアワーズ 宿泊再生事業を相次ぎスタート
 都市生活者に向けたトランジットサービスを提供するカプセルホテル「ナインアワーズ」を、全国13店舗、その他ホテル7店舗を運営するナインアワーズ(東京都千代田区)では、宿泊再生事業の3号案件として「神戸クアハウス」(兵庫県神戸市)、4号案件として「金沢カプセルホテル武蔵町」(石川県金沢市)の再生を開始した。
 3号案件の同施設は、1991年設立から地元や全国のサウナファンに愛される神戸ウォーターで有名な「神戸クアハウス」にて主にサウナ集客について支援する。既存施設を維持しながらも、サウナ・温浴の強化を実施、既存施設で培ったイベント企画やプロモーションを行っていく。
 同施設は、神戸ウェルネスサポート(兵庫県神戸市)が所有し、JR線「三ノ宮」駅より徒歩8分に位置、部屋数は男性91室、女性36室の合計127室。
 一方、4号案件として7月16日に開業を予定している「金沢カプセルホテル武蔵町」は、JR線「金沢」駅より徒歩10分に位置し、部屋数は男性102室、女性18室の合計120室。既存施設を維持しながら旧運営会社から引き継いで運営を開始する。
 両案件ともにナインアワーズ事業で開発したシステムやマーケティングノウハウ、ミニマルなオペレーションを駆使して事業収益最大化を目指していきたいという。
 新型コロナウイルス感染の再拡大の懸念が広がり収束の目処が見えない中、ホテル業界への影響は過去に例を見ないほど甚大であり、現状のままでは事業継続が難しくなる運営会社が急増しかねない状況だ。同社は今まで培ってきた企画力・運営力を通じて、これまで従来型のカプセルホテルやビジネスホテルの再生・コンサル事業を累計8店手掛け、いずれも受託後2年内外で最高益を達成してきた実績がある。同社は運営者が退去するホテル資産をリユースすることで、社会の機能として再生することを目指していく。
 同社の宿泊再生事業は、既存運営会社の事業継続が難しい施設を対象に、既存ブランドを維持しながらナインアワーズが事業開発で培ったノウハウを用いて運営に介入、事業再生を請け負うもの。

東急不動産G 開発中のリゾートにヒルトン進出
 東急不動産(東京都渋谷区)と東急リゾーツ&ステイ(同)は、京都市内で開発中のリゾートホテル「ROKU KYOTO,LXR Hotels & Resorts(ロク キョウト エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ)」(京都府京都市)を9月16日にオープンさせる。
 同物件はヒルトングループ初の京都でのホテルで、ヒルトンのラグジュアリーブランド「LXR ホテルズ&リゾーツ」としてアジア太平洋地域での初進出となる。
 同ホテルは、JR東海道線「京都」駅から約30分に位置、延床面積約1万2408㎡、客室数は114室、料飲施設やスパ施設を併設する。
 ホテルが位置する鷹峯エリアは、400年以上前に本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が芸術村を築き上げ、才能ある芸術家を世に輩出してきた琳派(りんぱ)発祥の地であり、その歴史や背景、また豊かな自然に囲まれた環境から、「Dive into Kyoto」をコンセプトに、リゾートでの滞在を通して京都の魅力を提供していく。
 インテリアデザインは、アジアを拠点とし世界有数のリゾート地でラグジュアリーホテルの実績を数多く持つインテリアデザイナー、BLINK Design Groupが手掛けた。本阿弥光悦の芸術村から着想を得た「Artist Residence(アーティスト レジデンス)」をコンセプトに、客室は「唐紙」、アライバルは「漆」、レストランは「竹」、スパは「陶器」など各エリアでそれぞれ異なったエッセンスやアート作品が楽しめる。
 全114室の客室は5つのタイプから成り、客室の広さは49㎡~100㎡まで用意する。 
 「LXRホテルズ&リゾーツ」は、ヒルトンのコレクションブランドであり、独立したラグジュアリーホテル。その土地、歴史、文化に根ざしたサービスを提供する。

ホテルエムズが京都に3店舗
 アーキエムズ(京都府京都市)とホテルエムズ(同)はこのほど、京都市内に全356室「HOTEL The M’s KYOTO」、「HOTEL M’s EST NANAJO」、「HOTEL Pagong with M’s」をオープンさせた。
 エムズホテルは、「京都に生まれ 京都に育つ ホテルとして」をコンセプトに、京都市内に全16ホテル、1274室を運営しているホテルグループ。 現在も全ホテルを営業しており、稼働率24・5%と苦境が続いているが、今後のインバウンドの回復を見据え、今回の新築ホテルオープンとなったもの。同社ではさらに3年後には3000室、年間100億円の売上を目指していきたいという。
 「HOTEL The M’s KYOTO」は、「京都」駅から徒歩5分、客室数は全153室。温もりあるリラックス空間として、緑溢れるテレワークスペースを用意した。
 「HOTEL M’s EST NANAJO」は、「京都」駅より徒歩8分に位置し、客室数97室。「HOTEL Pagong with M’s」は、阪急電車「大宮」駅より徒歩4分、客室数106室。両ホテルとも創業1919年の亀田富染工場とのタイアップによる京友禅の彩りが演出する「日本」「和」を感じられる空間を提供する。

カソク 旭化成系ホテル6月1日に
 カソク(東京都新宿区)では、旭化成不動産レジデンス(東京都千代田区)が企画を行った同グループ初のホテル「aima」を6月1日にオープンさせた。
 同ホテルは、JR「上野」駅から徒歩2分に位置、客室数は全18室。最大宿泊人数は1部屋あたり4~8名で施設全体94名。「暮らすように宿泊できる」アパートメント型のホテルだ。
 同ホテルには、冷蔵庫や電子レンジなどホテルではあまり見かけないような家電が設置されている。そうしたアイテムがあることで、「暮らすように泊まる」体験ができるのが特徴だ。また各部屋に、人気の本屋”文喫”の選書による本が置かれている。
 同社では、全国11都道府県及び米国テキサス州において40棟の旅館業施設・特区民泊、500室の住宅宿泊施設の運営を行っている。同社は空間を今日のカタチで再定義し、空間の価値を「新しいスタイル」と「IT」で最大化させることを目標としている。

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