不動産トピックス

クローズアップ 外壁・外装編

2021.03.08 11:21

 外壁は建物の第一印象を左右する。特に築年数が経過したビルの外壁リニューアルは物件の価値を再生させ、稼働率向上に直結する可能性がある。また、地震大国の日本では建物の安全性にも気を配る必要がある。外壁・外装の視点から、ビルのバリューアップに貢献するアイディアを考える。

ニューマックス 競争力落ちた物件を再生 デザイン性に強み持つ外装工事
 建物の外装は美観や個性によって見た者の印象を大きく左右する。特に築年数が経過した物件は塗装面やタイルの汚れ・はく落といった問題が経年劣化から現れやすい。既存物件の改修工事で新築と同等の競争力を得ることは容易ではない。しかしデザインを一新して個性を持たせたリノベーションを実施することによって、新築にはない魅力を引き出すことが可能である。ニューマックス(横浜市西区)では外装工事のプロとして、内装も含めたビル・マンションのリノベーション事例を多く有する。同社の強みは何といってもデザイン力だ。
 「当社が多くの実績を持つ外装工事は、既存物件をバリューアップさせる上で非常に投資効果が大きいものと考えています。工事を外注する従来のスキームとは異なり、当社は工事部隊を社内に持つことから、コスト面でも優位性を持っています」(代表取締役 川田 信俊氏)
 同社が手掛けた横浜市中区でのリノベーション事例では、従来までは一般的なホワイトの外観であったマンションのデザインを一新。グレーを基調とした外観とした上で、オリジナルロゴを外壁側面に大胆に配置した。建物内は、共用廊下に木目調のシートを施工して温かみを演出。エレベーター付近の壁面には大きなフロア表示を施してモダンな印象を与えている。「中には施主からデザインの要望を頂くことがあり、できる限り希望に沿ったデザインを提案しています」と川田氏は述べている。

外壁タイル診断システムを改良 あらゆる外壁の検査・診断を省力化
 奥村組(大阪市阿倍野区)は、外壁タイルの打診調査にかかる作業の省力化を目的として開発した「外壁タイル打診調査支援システム」を改良し、タイル仕上げ以外の壁面や床面の現地調査にも適用を拡大している。
 タイルの外壁は打診等による定期的な全面調査が義務づけられているが、現地での調査業務や調査結果の整理などに大きな労力を要する。奥村組は2018年、一連の調査業務の省力化を目的に、頭部装着型のウェアラブル端末と小型のセンサー等の機器を用いた外壁タイル打診調査支援システムを開発。調査結果の即時電子データ化を実現した。しかし実際の建設現場ではタイル以外の壁面や床面の現地調査も行われており、これを省力化する技術が求められていた。
 従来のシステムは、測域センサーで検知した指示棒の位置情報とタイルの状態に関する情報を合わせて記録する。このシステムをタイル仕上げ以外の壁面や床面にも適用できるよう、記録する状態情報などの入力項目を調査対象に合わせて任意に設定できるよう改良した。加えて、事前に調査対象のCADデータを取り込めるようにすることで、現地調査時に容易に位置情報と状態情報を図面上に記録することが可能になったほか、システムの主体を頭部装着型のウェアラブル端末からスマートフォンに変更することにより、さらなる操作性の向上や日本語入力機能の強化も実現した。
 今回の改良によりタイル仕上げ以外の壁面や床面の現地調査に適用できるようになり、操作性なども向上。対象機器の調達も容易で、奥村組では今後様々な対象の現地調査のツールとして積極的に展開していく予定という。

中低層ビル向け防火仕様のオーニングサッシがリニューアル 業界最大の開口部と耐風圧を確保
 三和シヤッター工業(東京都板橋区)の中低層ビル向けサッシ「明治オーニング」がリニューアルされた。
 「明治オーニング」は、ルーバー型のオーニングサッシで唯一防火認定を取得。軽いハンドル操作で複数枚のルーバーを同時に開閉し、通風・換気が自在にできる。ルーバーの開閉角度は50度まで調節でき、ルーバー下部が開く構造のため雨水も浸水しづらい。閉鎖時は自動ロック機構により、気密性や水密性も確保する。密閉空間の改善と適切な室温の維持を両立し、健康への影響も防止。オフィスビルや学校、保育施設、福祉施設など多様な施設の階段やトイレ、共用スペースなど換気を必要とする場所に適したサッシだ。
 今回のリニューアルでは通風・換気用の開口部を従来以上に大きく確保することが可能となった。耐風圧性能は、防火性能を有するオーニングサッシでは業界最大となる最高等級の「S-7(3600Pa)」まで向上し、近年増加する大型台風や強風から建物を守る。さらに複層ガラスを採用し、高い断熱性・遮音性を実現した。
 ルーバーの枚数設定が可能で、デザインは縦型4枚から横型1枚まで幅広いプランに対応可能。建築基準法に定められている、自然排煙設備としても設置できる。

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