不動産トピックス

クローズアップ IoT編

2020.12.21 10:48

 不動産テックの1分野であるIoT。5G時代を迎えようとしている中で、モノとモノをつないでいくことでの利便性・快適性向上を図る動きは今後更に強まることが予想される。ビルオーナーにとっても活用の機会は増えそうだ。

コロナ下で急増するシェアリングスぺースで収益アップ
IoTソリューション「SMASSO」登場
 スペースコネクト(東京都目黒区)は、シェアリングスペース向け無人自動化ソリューション「SMASSO」(スマッソ)の販売を今月より開始する。「SMASSO」は時間単位での貸し出しスペースをマネジメントするサービス。貸出時間に合わせた照明、空調のオン、オフや騒音警告、CO2センサーによる3密回避と換気扇自動制御などが可能。管理者が対応できないスペースでのタイムマネジメント、照明消し忘れ、環境整備に貢献する。また時間の見える化を行うことにより、延長時の料金徴収など収益を向上にもつながる。
 スペースコネクト代表取締役の福西佐允氏は、「私自身が貸し会議室を2つ運営しています。運営する中で、会議室の利用時間が守られていなかったり、予約をしていないにも関わらず勝手に利用されたりと、利用マナーが守られていないことの多さを実感しました。不正利用については、1か月の平均で12~20時間に上ります。1時間当たり1000円の利用料金だとすると、月に1万2000円以上の利用料金が徴収できていないことになります。会議室の利用マナーは、利用者の方のモラルに任されてきたのが現状です。会議室のオーナーが張り付いていなくても、マナーの徹底を喚起できるシステムが必要だと考え、開発したのが『SMASSO』です」とリリースの背景を語る。
 「SMASSO」には「騒音センサー」や「CO2センサー」など8種類のセンサーが内蔵されており、センサーの反応状況は同社の管理システムで随時確認できる。例えば照明と空調のセンサーは、利用時間開始5分前に照明や空調が点灯し、利用時間終了5分後に自然に消える仕様になっているため、予約時間以上の不正利用の抑止につながる。また一定時間以上の騒音が会議室内で確認されると、会議室オーナーのもとにメールが飛ぶようになっている。
 「会議室の騒音は、翌日になって近隣の方からクレームが来るということが多いのですが、事が生じてから注意喚起をしても意味がありません。また実際はそこまで騒いでいないのにクレームが来てしまう、ということもあります。そのため、センサーの反応と同時に「SMASSO」のアラートが鳴って利用者にリアルタイムで注意喚起を行うことに加え、実際の騒音を数値で提示することでどのくらいの音・声をだしているか、客観的に評価できるようにしています」(福西氏)。
 会議室オーナーの管理の利便性に傾倒しているだけでなく、利用者の快適性・利便性も追求した。「SMASSO」の画面には照明や空調のON/OFFや会議の残り時間、そしてQRコードが表示される。照明や空調のON/OFFは「SMASSO」の画面をタッチすることで切り替えられるが、新型コロナ予防の観点から、触りたくないという人も少なくない。そこで、QRコードをスマホで読み取ると、「SMASSO」の画面がスマホに乗り移り、ON/OFF操作がスマホ1台でできるようにした。さらに、利用時間の延長手続き・決済も、QRコードの読み取りで容易に行うことができる。
 「不正利用を防ぐために、会議室に監視カメラを入れる事業者もおられる。しかし、利用者のプライバシーを考えると、あまり好ましくないと思っています。『SMASSO』にはカメラ・録音機能は付けず、オーナー様・利用者の方双方が便利に活用できるように機能を整えました」。
 料金は、初期費用が15万円、月額3200円で提供予定。現在は会議室2か所のほかシェアリングジム2か所で試験的に導入されており、リリース以降はデイユースプランを提供するホテルやレンタルスペース、音楽スタジオなどから問い合わせが来ている。今後は空気感染対策に特化したもののリリースなども視野に入れているという。

「CLS」提供開始 管理会社の業務効率化に期待
 イーネットワークシステムズ(東京都新宿区)は、不動産管理会社向けに、管理物件の通電に関する業務効率化と収益向上を実現するサービス「CLS(クラス)」の提供今月10日より開始した。同サービスは1万戸以上を管理する不動産管理会社の場合、導入・ランニングコスト無料。 同サービスは不動産管理会社様が保有する賃貸物件の入退去情報を利用し、空室中の自動通電・切電を実現するサービス。入居者が退去後同サービスによって、自動的に不動産管理会社もしくはオーナー名義での通電を開始する。その後新しい入居者が決まったら自動的に電気契約を解約する。空室の電気料金は割引となり、電気料金明細を一括請求することができる。それに加え、物件コードなどを付与して不動産管理会社の自社システムに取り込みやすい形に連携する。これにより、入居者の電力会社がどこであるかを問わず自動的に通電・切電を行うことができるため、大幅な業務負荷の軽減が実現可能となる。
 退去から入居までのキャンセルや日程の変更などのイレギュラーケースや緊急対応には、24時間・365日、3時間以内に通電対応できる運用体制や柔軟に対応し構築してきたシステムロジックにより対応する。
 また、空室中に関するデータ連携の仕組みを利用して、新しい入居者へ電気・その他サービスの取次を行うサービスオプションも用意されている。これにより、不動産管理会社の負荷のない収益向上に寄与することが可能。 入居者にとっては引っ越し時の煩雑なライフライン手続きを簡易に実施してくれるサービスとなる。

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