不動産トピックス

クローズアップ DX編

2020.10.19 10:23

 DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称であり、デジタル技術を活用した業務効率化を目指すもの。昨今の不動産業界では「不動産テック」というトレンドワードが定着し、企業運営におけるITやデジタル技術は今後ますます広がりをみせるだろう。

アースリング 誰でも簡単にアプロの作成・編集 物件オリジナルの情報発信ツールに
 ビルやマンションで、工事実施の案内など入居者向けの情報発信といえば、かつてはエントランスホールの掲示板に連絡事項を紙で掲示するのが一般的であった。現在では、物件で独自にホームページを開設し、パスワードを知る入居者のみ情報を提供するのも主流となっている。一方でホームページを閲覧するためにはパソコンやスマートフォンでブラウザを立ち上げる必要があり、利用者側の目線で考えれば手間がかかり利用が遠のきやすいという実情がある。
 企業の経営コンサルティングやITサポート事業などを展開するアースリング(東京都豊島区)では、誰でも簡単に作成・編集ができるスマートフォンアプリ作成プラットフォーム「イージーアプリ」を開発。10月より本格的な販売を開始し、ビルやマンションの所有者・管理者に対して所有物件の入居者向けアプリ導入を推進する。
 この「イージーアプリ」は、オリジナルアプリの作成や修正・更新といった作業から、アプリ配信サービスへの登録までをワンストップで操作できるサービス。管理画面はパソコンとスマートフォンどちらも対応しており、外出先でもアプリの作成や編集が容易にできる。アプリのトップ画面は複数のバリエーションから任意で選択し、画像の配置やメニュー登録などの作業も容易に可能。同社コンサルティング事業部の三木浩氏は「『イージーアプリ』はプログラミングの知識や経験は必要なく、誰でも簡単にアプリ作成ができます。不動産オーナーや管理者が自社物件のオリジナルアプリを作成し、入居者にダウンロードして頂くことで、日々の連絡事項や緊急時の連絡先などの情報を入居者はアプリを通じて知ることが可能になります。また、『イージーアプリ』にはクーポン機能もあり、近隣の店舗の割引クーポンなどお得など情報を掲載することで、アプリそのものの有用性を高めるとともに、地域の活性化にも貢献できると考えています」と話す。
 「イージーアプリ」の利用料金は、基本機能が利用できるベーシックプランが月額9800円(税別)。同社では運用サポートも行っており、入居者へのサービス向上と物件の差別化の実現に活用してみてはいかがか。

リーウェイズ 最適なリノベーションを分析 AI不動産経営シミュレーターを開発
 不動産テックサービスを開発・運営するリーウェイズ(東京都渋谷区)は、家賃保証サービス等を手掛けるCasa(東京都新宿区)の子会社で、COMPASS(東京都新宿区)が運営するAI不動産経営シミュレーター「AI SCOPE(エーアイスコープ)」を開発した。
 12年間で2億件を超える不動産の物件情報データを蓄積してきたリーウェイズでは、このビッグデータとAI(人工知能)による分析を加えた不動産業務パッケージ「Gate.(ゲイト)」を提供。同社はそれをもとにクライアントの業種や業務内容に合致したシステム開発を行うOEM事業も積極的に展開している。今回の「AI SCOPE」は、不動産の資産価値や未来の賃料、空室率などの推移に加え、業界初となるリノベーション及びリフォームの収益効果も予測する。
 既存物件のリノベーションやリフォームは、物件の状態・規模感、立地するエリアの特性などによって効果的な対策手法が異なってくる。これまで不動産会社や設計会社では、過去の実績や経験といった主観的な情報から物件を査定し、適切な運用方法や修繕等による収益改善を模索してきた。一方で「AI SCOPE」では物件が立地するエリアの賃料や築年数などのデータから、物件の価値査定を的確に行う。また、経年劣化によって将来起こる賃料の下落やリノベーションによる賃料上昇など、保有物件の資産管理シミュレーションも「AI SCOPE」では可能としている。
 システムの開発に携わったリーウェイズ、Gate.事業部の大場崇弘氏は「リノベーションやリフォームを実施する際に、自己資金だけではなく金融機関からの借り入れも検討する場面が多いと思います。『AI SCOPE』は借入審査に役立てることのできるレポーティング機能など、不動産オーナーにとって使いやすい機能を今後アップデートしていきたいと考えています。オフィス市場では、賃貸物件の募集情報で賃料が非公開となっているなど、情報の透明性が比較的低い状況といえます。当社としては不動産テックを通じて市場の透明性向上と更なる活性化に寄与していく考えです」と述べている。

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