不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.10.19 10:30

グリーンズ SDGsに則した運営に注力 中期経営計画の重点戦略の一環
 グリーンズ(三重県四日市市)は、40ヵ国以上7000軒以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁する「チョイスホテルズ事業」と、60年以上のホテル運営の実績をもつ「グリーンズホテルズ事業」とのシナジーで、中間料金帯ホテルチェーンとして全国に展開している。コロナ禍によって大きな打撃を受けているが、ウィズコロナ時代へ向けて再び積極的な施策を打ち出している。
開業後10~15年のリニューアル機に
 このほど同社では、2006年開業、地上14階建て、258室の「コンフォートホテル広島大手町」(広島県広島市)で、同社で初めてとなるSDGsに関連したリニューアルを実施した。同時にCSR推進の一環として順次各ホテルで導入を進める「地産地消」の“ご当地朝食メニュー”として、広島エリアのご当地メニュー「がんす」の提供を開始した。
 同社がチョイスホテルズ事業で展開する「コンフォート」ブランドのホテルでは、開業後10年~15年毎に客室、パブリックスペース等のリニューアルを実施している。
 今回の「コンフォートホテル広島大手町」では、リニューアルに際し、グリーンズグループ2030年CSR宣言「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」の実現に向け、SDGsに関連する重点領域である「環境配慮」「コミュニティ支援」「人づくり」「特長あるサービス」を具現化する取り組みを加え、実施したもの。
 具体的には「環境配慮」として、リニューアルに際し廃棄を予定していたレースカーテンは、染色を施すことでリニューアル後の客室を飾るオリジナルアートパネルに。ヘッドボード側のアクセントクロスには植物由来素材のものを採用した。また、主要な照明を消費電力の少ないLED電球に変更した。 
 「コミュニティ支援」として、共用部壁面に広島市内のマップを中心とした「コミュニケーションボード」を設置。ホテルから地域の情報発信はもちろん、宿泊客自身が見つけたスポットを自由に書き込めるスペースを設け、ホテルと地域、宿泊客同士を結ぶ、インタラクティブなコミュニケーションスペースを目指す。従業員は「SDGsバッジ」を着用、バッジを通じて、SDGsに関連する重点領域である「環境配慮」「コミュニティ支援」「人づくり」「特長あるサービス」に対する意識を高めていく。
 「特長あるサービス」として、各地域における「地産地消」の“ご当地朝食メニュー”を導入する。同社では各ホテルで順次導入、2023年までに展開する。 
 この一環として、同ホテルでは、広島のご当地メニューとして「がんす」を追加した。広島産のレモンのタバスコ「レモスコ」も加え、広島のソウルフード「がんす」で宿泊客に“地元のコト体験”を、また地産地消食材の活用で地域への貢献と関係強化を目指していく。
 同社では2030年の未来を見据え、2019年に新経営ビジョン「TRY!NEXT JOURNEY~新たな旅に踏み出そう~」と、グリーンズグループ2030年CSR宣言「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」の2つの大きな指針を打ち出した。
   今回の取り組みは、その一環として、SDGsのNo.7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、No.12「つくる責任 つかう責任」、No.13「気候変動に具体的な対策を」、No.17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連する重点領域、「環境配慮」「コミュニティ支援」を目指すもの。365日24時間営業するホテルという事業の特色を生かした、各出店地域への貢献と関係強化、新しい価値の提供を通じ、地域活性に貢献していきたいという。 
リブランドオープン 神戸市に初出店
 同社では11月4日、兵庫県神戸市に「HOTELメリケンポート神戸元町」を開業させる。同ホテルは、オペレーターチェンジに伴い、新しいブランドのホテルとしてリブランドオープンするもの。
 「グリーンズホテルズ事業」部門において初の兵庫県出店となるこのホテルでは、これまでの地域に根差したサービスに加え、アフターコロナ時代の様々な観光需要喚起策に積極的に取り組むことを通じて神戸元町地域の経済活性化に貢献していきたいという。
 同ホテルは地上10階建て、全111室。JR・阪神「元町」駅から徒歩3分、「メリケンパーク」や日本三大中華街のひとつとして知られる「神戸南京町」といった観光地も徒歩5~10分という立地でありながら、静かな乙仲通り沿いに建つ。観光にも交通にも利便性が高い。2019年1月に完成した物件で、神戸元町の落ち着いた街並みに合う、西洋風のしつらえをそのまま活かしたリブランドオープンとなる。
 同社の2019年8月発表の中期経営計画における重点戦略では、多様な出店戦略を通じた「両事業における新店開発の加速」を掲げており、今回のリブランドオープンはその一環として、グリーンズホテルズ事業による兵庫県神戸市への新規出店となる。 
「防犯CSR推進宣言」全95店舗でスタート
 同社は更に、全国防犯CSR推進会議の活動である「防犯CSR推進宣言」として、「全国にあるホテルでの地域見守り活動を通じて、安心して住み続けられるまちづくりに貢献します」を11月1日に宣言。 
 「防犯CSR推進宣言」とは、全国防犯CSR推進会議が、企業や自治体、防犯関連団体による、安全・安心なまちづくりへの提案や活動を広く集め、みんなで共有する取り組み。この取り組みの一環として、同日より運営するホテル全95ホテルで「かけこみステーション」「ながら見守り」活動を開始する。
 各運営ホテルの入口に「かけこみステーションホテル」ステッカーを掲示し、「ひったくりにあった」「不審者に後をつけられている」などの危険な状況が生じた方に対し、保護及び安全の確保や警察・消防等への通報などを行うもの。 
 毎日実施する店舗周りの清掃等の際、危険な状況が生じていないか、異変がないかなどの周辺地域の見守り活動を実施する。実施中は「ながら見守り」腕章を装着することで、「安心して住み続けられるまちづくり」に向け見守り活動の実施を周知していく。
 今回の取り組みは、前述のCSR推進の一環として重点領域「コミュニティ支援」を推進するもので、この「コミュニティ支援」の重点領域は、関連するSDGsとしてNo.11「住み続けられるまちづくりを」、No.12「つくる責任 つかう責任」、No.17「パートナーシップで目標を達成しよう」の実現を目指す。

UDS 温泉宿「SOKI ATAMI」開業
 UDS(東京都渋谷区)では2020年11月1日、静岡県・熱海市小嵐町で同社が企画、設計、運営を手がける温泉宿「SOKI ATAMI」(そき あたみ)を開業させる。
 同施設はJR「熱海」駅から車で約10分に位置、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上8階建て。敷地面積は3359・05㎡、建築面積1441・77㎡、延床面積5716・16㎡、客室は全54室、料飲施設と大浴場を併設する。
 事業主はリビングコーポレーション、開発コーディネートがユニ・アジア・キャピタル・ジャパン。
 客室は約40㎡から約65㎡の最大4名まで利用可能な全54室。全ての部屋で温泉を楽しめるのが特徴。アーティゾン美術館などを手掛けてきたTONERICO:INC.をインテリアデザイナーに迎え、「素空間」をテーマに自然の素材を取り入れた空間デザインを作り上げた。
 熱海湾が一望できる最上階の茶寮では、静岡県内で生産されたお茶や、季節に合わせて体を整える和漢植物を使ったメニューなどを提供する。テラスからは、年間を通じて開催される熱海湾の海上花火大会も観覧できる。 また大浴場はシンプルで心地良い空間にデザインされ、四季の移り変わりを感じられる季節湯など、さまざまな湯の楽しみ方を提案。泉質は、疲労回復だけではなく保温・保湿効果も高く、美肌効果が期待できる、弱アルカリ性硫酸塩・塩化物温泉。湯治の蒸気湯から着想を得たスチームサウナを、女性専用で用意する。
 同社は、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」で都市を豊かに楽しくすることを目指し、国内外でまちづくりにつながる事業企画、設計、店舗運営を手がけている。 同社はデザインホテルの先駆けと言われる「CLASKA」をはじめ、「ホテル カンラ 京都」、「ホテル アンテルーム」(京都、那覇、ソウル)、「MUJI HOTEL」(BEIJING、GINZA)、「ONSEN RYOKAN 由縁」(新宿、札幌)、「由縁別邸 代田」など多くのホテルの企画、設計、運営を手がけている。

スーパーホテル 最新プロジェクター設置
 国内156店舗のホテル運営を手掛けるスーパーホテル(大阪府大阪市)では、人気のプロジェクター装置popIn Aladdin(ポップインアラジン)を設置した「シアタールーム」のある28店舗のホテルで、「ステイケーション」を提案していく。 
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅行が敬遠される中、ステイケーションという新たな需要が生まれている。ステイケーションとは、滞在を意味する「ステイ(Stay)」と、休暇を意味する「バケーション(Vacation)」から生まれた造語で、自宅の近場に宿泊することで癒やしを求める過ごし方だという。
 同社のシアタールームは、ポップインアラジンのプロジェクターをシアタールームに設置。LEDシーリングライトに、高性能プロジェクターと高音質スピーカー、そしてAndroid OSを内蔵しており、好みの空間を演出することが可能だ。 
 例えば、LEDシーリングライトは色味や明るさを調節することができるため、その日の気分や視聴する映像の雰囲気に合わせて調整することで、自宅にはない臨場感を味わうことが可能になる。
 客室の窓ガラスは複層ガラス採用により、遮音性能を確保しているほか、客室扉はマグネット付エアタイトゴムの採用により光漏れを防ぎ、遮音性を高めているため、安心して映像を楽しむことができる。

PAGE TOPへ