不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.10.05 10:44

湯本富士屋ホテル×メディアウェイブ 三密を回避 館内パブリックスペース混雑状況を可視化
「ease(イーズ)」専用管理システムにて
 メディアウェイブ(東京都品川区)では、ホテル専用の業務管理システム「ease(イーズ)」を提供しているが、このほど、ホテル館内のレストランや大浴場といったパブリックスペースの混雑状況を、スマホやTV・デジタルサイネージで可視化した「混雑カウンター」の提供を開始。神奈川県箱根町の「湯本富士屋ホテル」に採用された。
 これは、パブリックスペースの入場口に設置するカウンターカメラが入場数と退場数をカウントすることで、対象スペースの混雑状況をリアルタイムで確認することができ、施設内の三密の発生を回避することに役立てることができるもの。カウンターカメラから送られるデータは、インターネットルーター、Wi―Fiアクセスポイントから、Wi―Fiに接続したブラウザで表示される。
 混雑情報については客室のTVや館内のデジタルサイネージ、宿泊者やホテルスタッフのスマホ・タブレットから確認をすることが可能だ。そのため、状況確認のためにテレビをつける必要はなく、例えばレストランでの食事中に大浴場の混雑状況をチェックして、入浴のタイミングを計るという使い方も可能になる。
 同機能で表示される混雑情報は、館内のWi―Fiネットワーク網の範囲内のみで閲覧できるサービスとなる。そのため世界中のどこからでも見られてしまうということはない。カウンターカメラは施設ごとに設置が必要だが、1台のサーバで処理が可能。
 「湯本富士屋ホテル」は、新型コロナウイルスの影響を受け、ゲストに安心安全の環境を提供するためガイドラインに沿った対策に加え、今回のシステム導入となった。 
 カメラは、特に密の発生しやすい「ラウンジ ウィステリア」「日本料理 姫沙羅」「男風呂」「女風呂」の4施設に設置し、混雑状況をリアルタイムで発信する。混雑状況は各客室のテレビに加え、QRコードを利用しゲストのスマートフォンでも確認をすることが可能。 
 湯本富士屋ホテルの専用ページでは、各施設の混雑状況をピクトグラムを使用し、3段階で表示する。また、「ホテルからのお知らせ」、「宿泊約款」も同ページで確認できる。
フロント連携効率化 カスタマイズも可能
 「ease」とは、同社が開発・提供するホテルスタッフの業務及び生産性改善のサポートを行うITサービスのブランド名。「ease」により館内インフォメーションや、宿泊約款をスマホや客室TVで表示してホテルサービスのペーパレス化の実現、様々な業務アプリケーションによって客室清掃チーム、フロントスタッフの連携を効率化し生産性改善をサポートする。
 システムはホテルのニーズに合わせて構築し、カスタマイズができる。ホテルインフォメーションはもちろん、VODサービス、ネットワーク設計、多言語対応、在室インジゲーターなど提供できる領域は幅広い。
 同社は「ホテルで働く方々に期待以上の喜びと感動を!」を経営ミッションに掲げ、宿泊施設の業務及び生産性の改善をサポートするためにICTソリューションの提供を行っている。

グリーンズ 管理システム刷新し接客力向上へ
 グリーンズ(三重県四日市市)はこのほど、既存のホテルシステムを大幅カスタマイズした「PMS Easy mode」の運用を開始した。操作性の高まった新たなホテルシステム「PMS Easy mode」の運用により業務効率の向上を図り、利用客に対する接客の充実やサービスの向上に図る。
 従来、フロント業務を行う際に使用するホテルシステム(PMS)は、さまざまな業務に対応するために一画面に多くの情報が盛り込まれた業務システムとなっており、入社後のフロントスタッフの研修では、そのホテルシステムを使いこなすための操作トレーニングに約20時間程度を費やしてきた。
 就業開始後でも、各業務でのシステム操作ではあらかじめ覚えておく手順や、マニュアル確認が必要な部分など複雑と感じる部分が多く、「特に経験の浅い、システム操作が苦手なスタッフにとっては就業上のネックや仕事に対するアンマッチを感じる要因となっていました」(同社)。 同社では、2019年4月より「デジタル戦略室」を新設し、最新のデジタルテクノロジーを積極的に研究・開発することで社内の業務課題を解決し、既存のシステムやサービスの変革による他社との差別化、競争力強化を目指す取り組みを行っている。この活動の一環として、予約やチェックインなど、使用頻度の多いPMSの画面を大幅にカスタマイズし、ホテルシステム操作に関する入社時教育時間を約50%削減する予定だ。 
 新システム「PMS Easy mode」では、直感的な操作性を高めることにこだわり、情報の密度を減らし、文字サイズを大きくするなど見やすい画面に刷新。また画面構成は、各業務の流れに沿ったレイアウトとし、画面の上部から順に操作を行うことで業務が完結できる配置とした。
 実際の操作では、入力支援機能や誤操作に対するアラート機能を増強したことで、入力ミスの発生や入力に際しあらかじめ覚えておく事項も大幅に削減しており、経験の浅いシステム操作があまり得意ではないスタッフでも使いこなせるシステムを目指したという。 
 グリーンズは、40ヵ国以上7000軒以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁する「チョイスホテルズ事業」と、60年以上のホテル運営の実績をもつ「グリーンズホテルズ事業」とのシナジーで、中間料金帯ホテルチェーンとして全国展開している。

楓工務店 一棟貸し民泊施設オープン
 奈良・京都南部で注文住宅・リフォーム・リノベーション・不動産を手掛ける楓工務店(京都府京都市)では9月7日、京都府南部の木津川市に二棟目の一棟貸し民泊施設「古都泊 木津町(コトハク キヅマチ)」をオープンさせる。
 他の利用者や施設管理者と非対面で利用できる“一棟貸し”は、コロナ禍の今、注目されている。同社の民泊施設の特徴の一つは、観光目的の宿泊施設としてだけではなく“社員の集まりでの利用や保養所としての使用を見込んで設計した”こと。「施設内でどのように過ごすことができるか、より良い時間を過ごしてもらえるか」(同社)という点も考え設計している。
 「インバウンド需要が見込めない中、ちょっとした非日常を味わう場所として、仕事場として、趣味を楽しむ場所として、多様な利用目的にも対応することで、国内需要に活路を見出しています」(同社)という。
 今回、建築した民泊施設は、今年2月にオープンした京都府木津川市に建てた施設に続き、二棟目となる。一棟目は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令により、オープン直後、集客が大幅に減少した。日本政府観光局(JNTO)からは、訪日外客数が前年同月比99・9%減というデータも発表されており、インバウンド需要は当分見込めない事態になっている。
 その中で、注目しているのがワークスペースとしての活用だ。同社の施設は、民泊のほか、社員の集まりでの利用や、保養所としての利用目的も視野に入れ設計し、利用してきた。そのため、Wi―Fiや、10人以上が一緒に会議で利用できるテーブルも完備しており、仕事での利用が可能だ。観光地から近い場所に立地しているので、ワーケーション施設としても利用できる。

ワイズ・オウル・ホテルズ クリエーター向けマンスリープラン
 WISE OWL HOSTELSは、TOKYO店、SHIBUYA店、KYOTO店、東京ミズマチRIVER TOKYO店において「マンスリーホステルプラン」をスタート。「泊まる=留まる」拠点型ホステルとして、1泊~月単位での滞在をリーズナブルに提供、さらにホステルを拠点とするアーティスト、クリエイター等へ、「活動応援型」割引制度を導入する。
 同ホテルのマンスリープランでは、「Go Toキャンペーン」を利用することができ、1か月2万9600円からで、ドミトリー形式のベッドだけでなく、個室も用意する。9万1000円の個室なら、5万4400円というコストで、都心に拠点を構えることが可能になる。 
 同ホテルでは、音響にこだわったSOUND&BARのHOWLが併設され、DJライブ、ジャズ生演奏、演劇、ダンスパフォーマンスなど、様々なイベントが開催してきた。コロナ禍においては、オンラインライブ配信も実施する。 
 もちろん、全店ともコワーキング、リモートワーク可能なFree WiFiのラウンジがあり、ワーケーション、ノマドワークも可能だ。プロジェクターを使って、セミナーやワークショップもできる。
 また、2021年1月開業予定の東京ミズマチイーストゾーンの「WISE OWL HOSTERLS RIVER TOKYO」においてもマンスリープランを導入予定。 
 木製の壁に囲まれたBUNK BED(二段ベッド)は、遮光カーテンも備わり、ドミトリールームでもプライベート空間を確保することができる。マットレスはシモンズ製のマットレスを採用。鍵付きロッカー、読書灯や、電源ジャック、専用靴箱も設置している。

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