不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.09.28 11:47

ワシントンホテルと藤田観光が協業 会員ポイントプログラムで相互送客
利用者の利便性向上「コロナ後」見据え
 全国で「ワシントンホテルプラザ」と「R&Bホテル」の2ブランドを展開しているワシントンホテル(愛知県名古屋市)では、藤田観光(東京都文京区)と宿泊販売で協業する。
 両社はそれぞれ宿泊システム会員を有するが、相互利用を進めることで、宿泊者の利便性向上を図る。まずは藤田観光の系列ホテル22施設が、ワシントンホテルの予約サイト兼会員ポイントプログラムである「宿泊ネット」に加盟した。これによりワシントンホテルの会員が「宿泊ネット」から藤田観光の施設予約が可能になり、ポイントが付与できるようになる。来年には藤田観光の宿泊サイトでもワシントンホテルの施設が予約できるようにする。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ホテル利用需要は大幅に減少しており、コロナ収束後もウェブ会議の定着等による出張減が想定される。昨今は主要都市はじめ各都市でホテルの新設増加による競争が高まり、利用客の選択肢が増えている等、ホテルの需給環境は転換期を迎えている。
 こうした状況下、予約可能な間口を広げ、集客力向上を目指す両社の狙いが合致し、今回の協業となった。両社は「ワシントンホテル」の商標を共同出願し相互に所有している。両社の顧客が、相互のワシントンホテルを利用することで、ブランド基盤が強化され、競争力を向上させることも狙いのひとつだ。
 「宿泊ネット」は、2015年より開始している入会費・年会費無料の宿泊予約サイト。現在、ワシントンホテル施設43箇所、その他加盟店37箇所の合計80箇所が参加している。藤田観光が加盟することで102箇所が利用可能になる。2020年3月末現在で約24万人の会員を有し、年間延べ61万室が利用している。ワシントンホテルの2020年3月期での客室販売数の約4分の1が宿泊ネットによる販売で、「宿泊ネット」のリピーター率は2020年3月期 62・0%と同社にとって安定顧客となっている。
共通ポイント付与し現金等に交換が可能

 また、宿泊ネットの会員ポイントプログラムは、全国80施設の「宿泊ネット」ネットワークホテルにおいて共通で使えるポイント制度となっており、予約した場合には宿泊料金の7%がポイントとして付与される。貯まったポイントは1ポイント=1円で換算し、対象ホテルの「次回の宿泊料金」としての利用や、「現金でのキャッシュバック」または「Amazonギフト券」、「PayPay ギフトカード」と交換することが可能。ポイント付与から交換、利用まで、全てネット上で完結できるため、ホテル側の手間も少ない効率的なシステムとなっている。
 ワシントンホテルは近年、「R&Bホテル」を中心に新規出店を進めている。
 「『ワシントンホテルプラザ』は、ツインやダブルの客室を併設しています。基本的には『R&Bホテル』よりも若干グレードが上という位置づけです。主力の『R&Bホテル』は客室がシングル中心で9㎡と、他のビジネスホテルよりも狭く、1㎡当たりの収益性が高いのが特徴です。このため、今後ホテルが供給過剰になった場合でも、コスト競争力で勝り、利益を確保できるのが強みです」(内田和男社長)。
 所有は基本的にせず、地主に建物を建ててもらい、賃料を支払うマスターリース型がメイン。現在、一部は自社所有しているものもあるが、今後もよほど好立地で収益性の高いものでなければ所有はしないことでリスクヘッジをしている。

チョイスホテルズジャパン コンフォートホテル名古屋3店目
 全国に「コンフォートホテル」「コンフォートイン」「コンフォートスイーツ」を展開しているチョイスホテルズジャパン(東京都中央区)では2021年1月8日に、愛知県名古屋市に「コンフォートホテル名古屋名駅南」を開業させる。
 同ホテルは「コンフォートホテル名古屋伏見」「コンフォートホテル名古屋新幹線口」に次いで名古屋市では3番目、愛知県では7番目のコンフォートホテル。
 建物は地上12階建て、全178室、全室禁煙。名古屋駅周辺では、リニア中央新幹線の開業に伴う開発が進捗しているが、同ホテルが位置する名駅南エリアでも、「名駅南地区まちづくりビジョン」が策定されるなど、まちづくりの動きが活発になっている。このため宿泊客需要の高まりが期待できる。
 館内には、スムーズにチェックインが行えるセルフチェックイン機や、自身で気軽に荷物を預けられるセルフクロークを設置、スタッフと宿泊客との接触機会を最小限にとどめ、新しい生活様式に対応する。
 客室はグレーを基調としたデザイン。壁面には「有松絞り」や「焼き物」など、名古屋らしさを取り入れたアートパネルを設置する。今話題のSVOD(動画配信サービス)や、複数のデバイスの充電に便利な多数のコンセントなども配置した。 
 館内にある「Comfort Library Cafe」は、プロのブックディレクターが同ホテルのためだけに選んだ100冊以上の本や旅の写真集、ウェルカムドリンク、Wi―Fi、コンセントなどを備える。リモートワークなどでのコワーキングスペースとしても活用可能だ。
 同社は、世界40カ国以上に7000軒以上のホテルを展開するアメリカのホテルチェーン「チョイスホテルズインターナショナル」の日本におけるマスターパートナー。北は北海道、南は沖縄まで全国各地でコンフォートブランドのホテルを展開する。
 「ビジネスや観光に便利な立地、バランスよくヘルシーな無料朝食サービス、オリジナル寝具による快眠へのこだわりなど、安定したサービスを提供しています」(同社)。
 また、2018年5月31日の世界禁煙デーをもって、全国に50軒以上の規模を展開するホテルとしては日本で初めて、全室禁煙化を達成している。

TKP 「ISHINOYA熱海」開業
 ティーケーピー(TKP 東京都新宿区)では、静岡県熱海市の大型リゾートマンションのゲストハウス・宿泊棟をリノベーション、ワーケーションや宿泊研修もできるラグジュアリーホテル「ISHINOYA熱海」として、9月16日に開業させた。
 同施設はJR「熱海」駅より車で10分に位置、総客室数全34室。会議室3室のほか、アクティブラウンジ、タタミラウンジ、テラスラウンジ、ライブラリーラウンジ、露天温泉大浴場、貸切温泉風呂、レストラン、バー、フィットネスルームなどを備える。
 同施設は熱海エリアで相模湾を一望できる自然豊かな高台に位置し、市街地の喧騒を離れ非日常のひとときを提供する多目的のラグジュアリーホテル。多くの客室からは相模湾のオーシャンビューが楽しめるよう設計されており、客室は露天温泉付きスイート、デラックス和洋室、テラス付き客室など合計34室。全体的な内装イメージは、和モダンをコンセプトベースに、現代的なエッセンスを加えた。 
 個人利用はもちろん、ビジネスにも対応できるよう会議室3室を始め、快適な通信環境やデスクを用意しており、法人の宿泊研修にも適した機能性とリラクゼーションを兼ね備えた。
   同社は、ホテル・宿泊研修事業として、同施設を含む23拠点の宿泊施設を運営している。 
 中でも「温泉」「旅行」「ミーティング」をキーワードにしたリゾートセミナーホテルとして、熱海(2施設)、箱根強羅、軽井沢、湯河原、葉山、高松に宿泊研修施設「レクトーレ」を全7施設、伊豆長岡に温泉旅館「石のや 伊豆長岡」を展開。平日は企業の研修、週末は個人客を中心に宿泊と会議のハイブリッド化を実現してきた。今回の「ISHINOYA熱海」は、2015年開業で2000坪の日本庭園に22室の離れ客室を要する「石のや 伊豆長岡」に続いての2軒目の「石のや」ブランドとなる。

and factory リモートワーカー向けに提供
 and factory(東京都目黒区)が運営するスマートホステル「&AND HOSTEL」では、ハーマンミラージャパン(東京都千代田区)と協業し、増加するリモートワーカーに向けた「ワークスペースでのエルゴノミクスに基づいた働く環境」を、期間限定で提供している。
 ハーマンミラー社の持つ独自データから作成したアンケートを活用し、自身のリモートワーク環境の状態を把握した上で実際に体感してもらおうというもの。
 and factoryは「日常に&を届ける」こと、つまり人々の生活を豊かにするサービスを提供することをミッションとしており、エンターテイメント、宿泊、ヘルスケアなど様々な領域で事業を展開している。

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