不動産トピックス

クローズアップ 清掃・クリーニング編

2020.06.08 16:02

 衛生概念が従前から大きく変わりつつある。特に来客者によって支えられているビジネスでは、消毒・除菌作業が行き届いているか注視される。今回はビルや住居に関わらず、不動産賃貸業全般で利用・採用されている製品・サービスを取り上げる。

新型コロナウイルスへの消毒・除菌サービス 予防サービスは入居前に実施
 ハウスクリーニング専門店「Re:Bros(リブロス)」を運営するCORZ(コアーズ、埼玉県川口市)。4月上旬から新型コロナウイルス「COVID―19」などの感染症に関する消毒・除菌サービスを1都7県(東京、埼玉、神奈川、千葉、山梨、群馬、栃木、新潟)で開始した。
 同サービスは、感染者の発生した、または可能性のある施設・空間の「ウイルス消毒除菌サービス」と、感染を未然に防ぎたい「予防除菌清掃サービス」の2種類。特に「ウイルス消毒除菌サービス」は、厚生労働省推奨の塩素系薬剤及び消毒用アルコール剤、経済産業省に新型コロナウイルスへの有効性が認められた次亜塩素酸水(経済産業省は6月1日時点において、次亜塩素酸水の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていないと発表)などの消毒剤を使用し、現場に合わせた最適な方法で消毒作業を行う。原則として「感染症法に基づく消毒・減菌の手引き」に基づいた消毒作業を実施するもの。問い合わせが寄せられてから即日での対応を行っており、遅くとも12時間以内の対応を目指す。
 作業は壁や床面に洗浄機器などを使用して散布・吹き付けを実施する「空間噴霧・室内噴霧作業」が中心。中には高頻度の接触部分であるドアノブやエレベーターのボタン・スイッチなどを直接拭き上げる手作業も実施。空調開口部への噴霧や注入作業も行い、除菌消毒作業証明書の発行も実施する。料金は100㎡までを5万円(税別)。床面積が100㎡以上であると、1㎡あたり500円追加となる。対応可能な作業範囲は最大5万㎡までで、上記に挙げた拭き取り手作業や作業証明書の発行はオプションとなっている。
 コアーズの芦川太樹氏は「現状『ウイルス消毒除菌サービス』と『予防除菌清掃サービス』の利用割合は7対3。ですが、少しずつ『予防除菌清掃サービス』を依頼する事業者が増えています。不動産では特に、新規入居者が入る前の予防として利用する事例が多いです。作業内容や価格面で違いはありますが、狭小のオフィスや来客型店舗への採用・検討する企業が増えてきている様子を見ると、むしろ行うことが最低限のエチケットであると思われます」と語った。

ウイルス・感染症の予防に特化
 「予防除菌清掃サービス」は、様々なウイルス・感染症への予防に特化したサービスです。これまでに病院、介護福祉施設、店舗、一般住宅などで消毒・除菌、また消臭効果もあることから臭い対策として利用されてきました。作業内容は、弊社独自の強力除菌消臭剤を専用機材で噴霧。スイッチプレートやドアノブ、机など手が触れる箇所は、除菌剤を使用した拭き取りを行います。同サービスの価格は50㎡までで1万5000円(税別)、100㎡までで2万円(税別)。それ以上の面積となると、問い合わせが必要です。とはいえ、100㎡以上の空間を予防する需要は健在。今後も衛生管理の観点から、需要は引き続き顕著であると思われます。(CORE・芦川太樹氏)
拭き上げと専用薬剤噴霧で徹底除菌
 パソナライフケア(東京都千代田区)は、全国のオフィスや学校法人、社会福祉施設、飲食店、関東・関西エリアの一般家庭を対象に、除菌消毒の専門チームが「拭き上げ」とプロ仕様の「噴霧器」によりダブルで徹底的に除菌を行う「除菌清掃サービス」を実施している。
 2004年から取り組む家事代行サービスで培ったハウスクリーニングと、提携先の除菌専門業者のノウハウを生かした。低残留性で安全度の高い次亜塩素酸と消毒用エタノールを使用した薬剤を使い、拭き上げとプロ仕様の噴霧器で徹底的に除菌する。特殊技術を持った除菌消毒の専門チームが防護服を着用し、監督者の指示のもと作業員が安全に作業にあたる点も特長だ。事業者向けの場合、ドアノブやトイレ、エレベーターホールのボタン、給湯室まわり、電話機やPCの周辺などを専用の薬剤で除菌清掃を行う。作業後は、作業報告書を作成し提出する。

my connect 1回9000円の「定額除菌清掃サービス」開始
 myconnect(神奈川県藤沢市)が運営する掃除専門店「ハウスエイト」は2日、長引く新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、1回9000円(税抜)の「定期除菌清掃サービス」を開始した。
 ハウスエイトの「定期除菌清掃サービス」は、1時間の間、希望の箇所を念入りに除菌する時間制サービス。スタッフ1名につき1時間対応し、室内に浮遊している菌・ウイルスの除菌作業や接触の多いドアノブ・家具などの除菌作業、キッチン・トイレなどの衛生面にこだわりたい箇所の除菌作業、その他の希望箇所の除菌作業を行う。広さや1カ所ごとの料金設定ではなく、時間の許す限り希望箇所の除菌を実施。低価格かつ除菌作業に優れた専門の清掃スタッフが対応する。
 代表取締役社長の三宅崇文氏は「当社の除菌剤は人体に安全な製品を使用し、一般家庭では難しい空間の除菌まで行います。普段手の届かないところまで除菌でき、清掃負担も改善できるでしょう。新型コロナウイルスが猛威を振るう昨今において『小まめに除菌を行い、清潔を維持することが重要』との認識が定着しつつあります。しかし日々の業務等に追われ、清掃・除菌作業が疎かになるケースも少なくありません。月に1回除菌を依頼することで、忙しくてもクリーンな環境を保つことが可能です」と語った。

強アルカリイオン電解水がエンベにもノンエンベにも効く
 ビルメンテナンス事業やハウスクリーニング事業を展開するアドバンスシステム(群馬県前橋市)は、強アルカリイオン電解水を用いたクリーニングサービスを実施している。
 強アルカリイオン電解水は消毒・除菌・洗浄効果を持つ液体で、エタノールや有機溶媒、石けんなどで容易に破壊することができる「エンベロープウイルス」はもちろん、アルコール消毒が一般的に効きにくい傾向がある「ノンエンベロープウイルス」の不活性化も可能。手を介して口から侵入し腸管に感染するウイルスは、胃酸や腸管の胆汁酸に抵抗できるノンエンベロープウイルスが多い。強アルカリイオン電解水は双方のウイルスに対して効果があり、リンスによる吹き・洗いも不要。
 コロナ禍により除菌や消毒に対する意識が高まっているなか、同社は病院やホテル等の日常管理を手掛ける管理事業を展開。病院の管理等に不可欠な「医療関連サービスマーク」資格も有している。厚生労働省で定めた基準をクリアした企業が得られるもので、衛生清掃を行う上では必要不可欠。同資格の取得等々に伴う感染症への十分な知識とノウハウを強みに、同社は今後も施設の衛生管理・メンテナンス事業に注力していく姿勢だ。

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