不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.06.08 16:21

「ウィズコロナ」「働き方改革」プランが続々登場 ビジネスマンターゲットにテレワークをサポート
ドミトリー貸し切り7月末まで期間限定で
 新型コロナウィルスの感染症拡大により、生活に大きな影響を受けている人を応援するため各ホテルは様々なプランを提供している。ホテル自身も経営苦境に立たされているだけに、こうしたプランへの期待は大きい。
 LS(東京都中央区)では、ホステル「Q Stay and lounge 上野」(東京都台東区)で、新型コロナウイルスの感染拡大による負担増に対応した長期滞在向けのマンスリー・ウィークリープラン(個室)、ドミトリーの貸切プランを7月31日の期間限定で実施している。
 価格はツインルーム・ダブルルーム1ヶ月6万円、1週間1万7500円。「テレワークの拠点として、家族への負担をかけず集中できる場所がほしい」、「通勤リスクを避けたい」、「新生活を予定通りスタートできなくなり、一時的な仮の住まいが必要」「どうしても必要となる長期出張の拠点として」といったニーズを期待している。
 併せて、ドミトリー部分の3階MIX DOMITORY全16室については他者と空間を共有しない「貸切」での提供を行う。こちらは最大6名まで、1泊からの利用が可能。
 同施設は、東京メトロ日比谷線「上野」駅徒歩3分に位置する。
東京・大阪対象にデイユースで提供
 一方、観光客向け宿泊特化型ホテルを経営・運営管理する、からくさホテルズ(東京都港区)の東京・新大阪の3ホテルは、6月1日より最大8時間利用可能な「テレワークにも最適!デイユースプラン」の販売を開始した。料金は1室2名までで5500円~8000円。
 「テレワークが推奨されているが、家では仕事がしづらい」「集中して勉強がしたい」「カフェは騒がしいし、長居がしづらい」「観光や外出の合間に一息したい」といったニーズの獲得を期待している。 
 同ホテルのデイユースプランの特徴は、各ホテルとも最寄駅から徒歩5~6分に位置する。客室は21・3㎡~27・1㎡のツインルーム。1名様でも2名様でも同料金。館内無料Wi―Fi、客室にはUSBポート複数あり。テレワーク用の貸し出し備品、フリードリンク付き。
 「からくさホテル」は、2016年3月に誕生した観光客向け宿泊特化型ホテル。国際空港・ターミナル駅近くや観光都市に位置し、平均20㎡以上のツインルームを軸に、ファミリーやグループ利用に最適なコネクティングルームを全体の約5割設けているのが特徴。さらに、全館無料Wi―Fiや、各室のバスルーム、洗面所、トイレを独立させるなど、観光客向け機能・サービスの注力している。
 現在、札幌に1軒、東京に2軒、関西に5軒の計8ホテルを経営・運営している。
シティホテルは「分散型」会議提案
 シティホテルでも、「自宅では集中できない」、「緊張感をもって仕事に向かえない」、「仕事環境が整備されていない」など、テレワークに課題を抱えるビジネスパーソンのニーズを期待している。
 小田急ホテルセンチュリーサザンタワー(東京都渋谷区)は、6月1日より期間限定で「テレワーク応援!ツインルームを1名利用で連続5日間滞在プラン」を販売する。
 同ホテルの客室は、仕事用のPCを置いても広々と使用できるデスクに加え、Wi―Fi無料接続サービス、モジュラージャック、無料ミネラルウォーター、AIスピーカー等、ワーキングスペースとしての設備配置。 
 さらに、客室はすべて22階以上となっており、地上100m以上からの開放的な景色を一望できるなど、ゆったりとしたプライベート空間としても楽しむことができる。
 朝食はサザンタワーダイニングにて、アメリカンブレックファストを用意。朝食以外の食事のオプションとして、館内レストランを利用できるほかテイクアウトメニューも用意している。
 同ホテルは、「新宿」駅南口から徒歩3分に位置。地下4階、地上36階建てのオフィス・ショップからなる複合型高層ビル「小田急サザンタワー」内にある。ホテル階は19階から35階の部分で、ロビー・フロントは20階で、375室ある全客室は、22階から35階まで。
 ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ(東京都港区)では、新しい生活様式における利用客のビジネスのサポートのため、新型コロナウイルス感染拡大防止の配慮を取り入れた「ミーティングプラン」を新たに販売する。
 新型コロナウイルスの感染拡大による業務への影響を懸念されている企業・団体を対象にしているもので、「小規模・ 分散型」の会議開催を提案する。
 参加人数に応じ、ソーシャルディスタンスを鑑みたレイアウトでの会議室設営、また、1時間おきに会場付近および化粧室の消毒を実施するなど、「3つの密」を回避する形での会議環境を提供する。気軽に利用できるよう、会場料にプロジェクター、マイクなどの設備費やミネラルウォーター、サービス料、消費税が含んだわかりやすい料金プランにした。

Bulls 新たなビジネスモデルの確立を模索
 スマートホテルの開発・運営を行っているBulls(福岡県福岡市)では、感染症や天災などの非常事態の中でも、企業としての成長を継続・拡大すると同時に周辺地域経済を活性化するための新しいビジネスモデルを確立するためのプロジェクト、「ホテルビジネス2・0」を開始する。
 同プロジェクトは、オフライン・オンライン」×「永続的・一時的」の四象限に事業を分類し、ホテル事業、ホテルの物件を活用した空間ビジネス事業、D2C(Direct to Consumer)事業、クラウドファンディング事業の4つを柱とする事業ポートフォリオを構築。ホテル事業をメインとしながらも収益の多様化を図る。
 また、通常時はホテルとして運営している物件を一時的に別の空間ビジネスに転用するほか、ホテルスタッフが通常業務とは別にオンラインショップの運営や商品開発などの複数の業務を担当できるオペレーション・育成体制を構築し、今ある資源を機動的に活用する。
 各事業で獲得したユーザーがホテルの利用に繋がるような導線を設計すると同時に、逆にホテル宿泊者をオンラインショップ等に誘導し、ホテル宿泊者1人1人の顧客満足度・LTV(顧客生涯価値)を上げ、各事業が最終的にはホテル事業の拡大に繋がるよう導線設計をする。 
 こうしたことを踏まえ、通常の宿泊費の40%引きで泊まれる宿泊券などを販売し、ホテルが稼働できない期間でも収益を上げるとともにホテルの認知度を上げていく。今後については、SNSマーケティングを強化するとともに、順次新商品を投入していく。また、同様の宿泊券をリターンとして設定するとともに、地域の名産品をホテル内で提供するための資金等を募る。一時的な収益を図るだけでなく、クラウドファンディングを通じ強固なファン層の形成を図り、今後のホテル利用・オンラインショップ利用を促す。
 更にホテルの個室内にテレワーク用のパソコン・イヤホン・Webカメラ等を用意し、地域の企業様などに対してテレワーク・オンライン商談のスペースを提供する。外国人観光客が抜けたことによる平日のホテル稼働率低下を埋めるとともに、地域企業や近隣住民との関係を築く。
 同社は、2019年9月9日設立。スマートホテルの開発・運営を行っている。賃貸ビル等をリノベーションすることにより、通常2年程度かかるホテル建設期間を、最短2カ月で開業可能にし、投資回収期間を50%以上短縮することが可能。またIoTを駆使することによりホテル運営のオペレーションを省人化・効率化することで、運営コストの低減を図っている。

「カンデオホテル」が和歌山に初進出
 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)では、南海電気鉄道(大阪府大阪市)が手掛ける和歌山市駅前直結の再開発複合商業施設「キーノ和歌山」の核テナントとして「カンデオホテルズ南海和歌山」を7月3日にオープンさせる。  同ホテルは、鉄骨造地上12階建て、建物延床面積3936・65㎡。客室は全120室。最上階にはスカイスパ、露天風呂、内湯、サウナを併設する。和歌山市駅に直結し、観光にもビジネス利用にも至便な場所にオープンし「カンデオホテルズ」としては23ヵ所目、和歌山エリア唯一無二の4つ星ホテル。
 和歌山には数多くの観光資源があり、国内外からの観光客の需要を創出できる可能性が高く、また駅直結という立地よりビジネス利用も期待している。
 ロビーには、和歌山の名所の一つである「和歌山城」をモチーフにしたシャンデリアを配すなど、和歌山ならではの演出を施す。朝食は、日替わりのビュッフェ形式で提供する。
 特徴的な部屋として大きな窓ガラスがあり開放感のある客室「コーナーツインルーム」を7部屋、「コーナークインルーム」を14部屋用意する。カンデオホテルズチェーンの最大の特徴でもある、星空を望む露天風呂「スカイスパ」は最上階から紀ノ川を望む景観が特徴だ。
 同社のコンセプトは、世界で唯一の“4つ星ホテル”。単に高級な5つ星ホテルと手軽な3つ星ホテルの中間に位置することではなく、上質さと使いやすさを両立しながら、その両方を兼ね備えることで、「今までのホテルではかなえられなかった感動を創造すること。当社は、“4つ星ホテル”というコンセプトに、唯一無二の体験価値をお届けする誇りと想いを込めています」(同社)。
シェアネクスト 新築1棟をレンタル
 ホテルやバケーションレンタルを手掛けるシェアネクスト(東京都中央区)は、新型コロナウイルスの影響で一時帰国、自主隔離を希望されている人に自社で管理している新築一棟物件をレンタルするサービスを開始した。
 提供する物件は、2020年3月竣工新築の部屋で、全14部屋家具家電付き1K、1Rのアパートメント・ホテル。
 周辺にはスーパー・コンビニが近くにあり、キッチンや冷蔵庫・洗濯機などの生活必需品が配置。インターネット環境はポータブルWi―Fi。

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