不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.03.09 16:37

OYO HOTEL インド発、低価格ホテルチェーン国内拡大へ 体制再構築でトップシェア目指す
 インドの低価格ホテルチェーンOYO Hotels and Homesが日本に進出して間もなく1年になる。このほど同社の日本法人であるOYO Hotels Japan(OYO Hotels 東京都千代田区)は、日本国内での事業初年度の総括を発表した。同時に新たな人事により、事業体制を強化しネットワーク拡大に注力していく。

国内73都市で200軒位以上が参加
 同社によれば、2020年1月末時点で、日本国内73都市で200軒以上のホテルを運営しており、毎日4000人以上の利用者があるという。
 同社は昨年4月に、OYO Hotels and Homesとソフトバンク、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの合弁会社としてOYO Hotels Japan合同会社を設立し、日本でホテル事業を開始した。
 日本でビジネスを開始してから約3か月後の6月には、TL Lincoln社とパートナーシップを組み、国内のオンライン宿泊予約サイトと連携した。
 ネットワークのスキームは、自社ブランドを冠する代わりに、集客・運営管理にかかわる業務は全て同社が担うというもの。施設は、日々の現場作業に集中することで、少ない人数で運営が可能となる、という訳だ。
 大きな特徴となる独自のAIに基づくプライシングは、あらかじめ需要を予測し、ベースプライスを算出、これをもとに毎日価格を調整していくもの。過去の「季節による繁忙状況」、「予約状況」、「近隣ホテル料金」、「近隣のイベントデータ」を独自のアルゴリズムにより宿泊日ごとに算出する。
 データを活用することで、手作業による価格設定が不要になり、例えばこれまでの経験則では最大1万円設定だったものが、1万5000円でも満室になるなど、人的ではできない大胆な価格設定が可能になるという。
 もちろん、AIが常に学習するために、データが蓄積できればできるほど更に精度を向上させることができる。つまりデータに基づく高精度な価格設定が可能になる。
 同社は同時に、チーフ・ビジネス・オフィサー(CBO 最高業務責任者)として、田野崎亮太氏が就任したことも発表した。OYO Hotels Japanにおけるマーケティング・オフライン営業・OTAの分野を統括する。
 同氏は、一橋大学卒業。シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスにてMBAを取得。サントリーホールディングスに入社後、12年間に及び複数の企業でホテル再生を含む事業再生、戦略やマーケティングを中心としたコンサルティング業に従事してきた。また、2015年にはFacebookの執行役員として参画、2016年からはInstagramにてビジネスを主導してきた。
 就任に際し田野崎氏は、「OYO Hotelsが、テクノロジーを活用してホテル業界を変革するという点に大きな可能性を感じています。今、OYO Hotelsには情熱と高い柔軟性を兼ね備えた経営陣やチームメンバーが揃っています。自分にとって関係の深いホテル事業で、強力な仲間と一緒に成長性のあるOYOのビジネスを日本で推進していけることが非常に楽しみです。お客様やホテルのパートナー様、社員ひとりひとりに誠実に向き合って、価値のあるサービスを提供していきたいと考えています」と話す。
大きな期待に反し「荒波への船出の年」
 独自のビジネスモデルによって、早期に日本市場でトップシェア獲得を目指している同社だが、短期間に資金・人材を投入したことで、早々に綻びが出、加盟店とのトラブルが頻発した。「期待していたほどのサポートを受けられなかった」「スタッフが業界を知らない」等々。一部では訴訟問題に発展する可能性も指摘されている。こうしたマイナスの話が業界内に広まったことと、本国でのリストラ報道なども相まって、同社は現在、逆風下にある。
 同社に期待しているホテルも多いだけに、今後、こうしたマイナスイメージを如何に払拭し、ホテル・旅館に対し、加盟メリットを浸透させていくか、今後の動向に注目が集まっている。
 同社によれば、「2019年は学び、そして『実験』を重ねた、荒波への船出の年だった」という。そのため新たに体制を整え日本でのビジネスを強固にしていく考えだ。
 OYO Hotels and Homesは、2013年にリテシュ・アガルワル氏によって設立された。以来、世界の何百万人もの宿泊者が、サービスのクオリティーが統一された宿泊施設を、手頃な価格で利用できるようにすることで、ホテル業界にイノベーションを起こしてきた。旅行者は同社のアプリを利用することで、同社と提携したホテルを簡単に検索し予約することができる。
 現在、世界第2位のホテルチェーンで、ホテルや住宅、ワーキングスペースなどの事業を展開。グローバルで3万5000を超えるホテルと100万室以上の部屋を管理運営し、12万5000以上のバケーション・ホームも世界のゲストに提供している。
 同社はソフトバンクグループ、Sequoia India、Lightspeed India、Hero Enterprise、China Lodging Groupを含む主要な投資家がバックアップしていることで、大きな話題となった。

ホームアウェイ 海外バケーションレンタルサイトに新機能
 世界最大級のバケーションレンタルサイトのホームアウェイ(東京都港区)では、自社サイト上に掲載されている物件の360度パノラマ画像閲覧を可能にする新機能「バーチャルツアー」を追加した。
 これにより物件オーナーや管理者は、ウェブ上で旅行者に家の中を歩いているようなVR体験を提供することが可能になるという。特により大きなスペースを探している訪日外国人のファミリーやグループが、事前に快適な滞在体験をイメージする際に参考になる。主な対象エリアは東京、大阪、京都、北海道、沖縄。
 「バーチャルツアー」は、パソコンやモバイル向け両ウェブサイトで利用が可能。同機能は、物件オーナー個人のカメラやカメラ機能のついたスマートフォンなどで撮影された画像からプロが撮影した画像まで全てに対応する。また、プロによる撮影はグローバルで提携しているInsideMapsなどのテクノロジー企業と連携する。
 ホームアウェイは「一棟貸しのバケーションレンタル」を専門にしており、主にファミリー、グループの旅行体験の最適化を進めている。物件オーナーは、ホームアウェイを通じて、より前もって予約し、より長く滞在し、より消費する世界中のファミリー、グループ旅行者にアクセスすることが可能。さらに、物件予約から予約管理に至るすべてのプロセスをオンライン上で簡単に行うことができる。 
 ホームアウェイは、エクスペディアグループに属し、テキサス州のオースティンに本社を置く世界最大級のバケーションレンタルサイト。世界190カ国、 200万件以上のバラエティーに富んだ家を、オンラインで予約できるプラットフォームを運用・提供している。

コスモスイニシア 都市型アパートメントホテルを京都に
 大和ハウスグループのコスモスイニシア(東京都港区)では、東京・京都で14施設目となる都市型アパートメントホテル「MIMARU京都 河原町五条」を2月6日にオープンさせた。
 同施設は京阪本線「清水五条」駅徒歩3分に位置。ファミリー・グループでも快適に過ごせる約40㎡~60㎡の全96室。約60㎡の部屋は2世帯旅行や高学年の子供連れのファミリー、友人同士の旅行に便利な独立した寝室が2つある2LDKタイプとなっている。また、フィットネスジム、エンターテインメントルーム、キッズルーム、ランドリールームを併設する。全客室キッチン付き、ダイニングスペースを備えた室内で、家族がゆっくり過ごせる空間・サービスを提供し、日本での新たな滞在スタイルを提案していく。
 施設は、有名ホテル等の設計を手掛け、グッドデザイン賞などを多数受賞する佐々木達郎氏がロビー・客室デザインを監修。現在「MIMARU」で展開中の「ポケモンルーム」を用意している。
 ロビーでは、日本に古くからある「屏風」をモチーフとし、空間を仕切る、装飾するといった「屏風」の持つ2つの機能から空間を構成。ロビー壁面には、アートウォールで装飾し、「賑わい」を演出した。また、空間を仕切る屏風ソファにより、ゲストが「寛ぎ」滞在するための空間を提供し、「賑わい」と「寛ぎ」の共存するラウンジ空間を作った。
 共用部には「MIMARU」初となるフィットネスジムやエンターテインメントルーム、キッズルームを設けており、中長期滞在中のリフレッシュのほか、ゲスト同士の交流や日本文化を体験してもらえるイベントに活用する予定だ。

WRO 「ゆとりろ」ブランド10店舗へ
 ワールドリゾートオペレーション(WRO 東京都新宿区)では、今春に「磐梯熱海温泉 清稜山倶楽部」(福島県郡山市)を新屋号「ゆとりろ磐梯熱海」として新たなコンセプトにてリニューアルオープンさせる。
 同施設はJR磐越西線「磐梯熱海」駅からタクシー5分に位置する。部屋数は31室。大浴場、宴会場、会議室、ラウンジを配置する。
 同社のブランドである「ゆとりろ」とは、全国に9店舗を展開する温泉を旅する和モダン旅館。ゆとりろ(Yu―To―Relo)の由来は、温泉(Yu)と(To)日本全国を旅する(Relocation)を意味する。「それぞれの宿では良質の温泉、癒しの空間、地産地消の美食、地方の魅力を再発見していただけます」(同社)という。 今回のリニューアルより、名水処で知られる磐梯熱海温泉の地で深沢の名水を生かした心躍るお料理の数々から良質な湯に加え、これまでになかったコンテンツを充実させていく計画だ。
 今後客室は更に10室を増室予定で、磐梯熱海温泉エリアの活性化を目指していきたいという。

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