不動産トピックス

日本橋特集 街を彩る名店探訪 江戸屋

2020.02.17 16:39

大伝馬町 江戸刷毛/刷子「江戸屋」 創業以来300年を越えて職人技を守る

 江戸幕府7代将軍・家継の時代、江戸屋の初代にあたる利兵衛は、将軍家お抱えの「刷毛師」に任じられた。その後、8代将軍・吉宗時代の享保3年(1718年)、将軍家より「江戸屋」の屋号を与えられ江戸刷毛の専門店として開業した。時代は今、令和2年(2020年)。創業から300年を経て、伝統技術に基づく「手植え」の製品を核に、江戸刷毛の伝統を守り続けている。
 現代の刷毛の代表的な使われ方は、職人がクロスを貼るために糊をのばす際や、ラックやニス、ペンキなどを塗ることに用いられる。今では少なくなったが、以前は家庭でも障子の張替えの際に使われた。これらは主に豚毛、羊毛、馬毛などで作られている。
 明治時代からは西欧化の流れに対応し、刷子(ブラシ)作りにも力を注ぐようになった。ブラシは今の私たちの日常生活において馴染みが深い。ヘアブラシや洋服ブラシ、靴ブラシ、歯ブラシ、メイクブラシまで、生活の中にとけ込んでいる。動物の毛は静電気が起きにくく、適度に弾力性があるため、豚毛などで作られたヘアブラシは髪通りがよく、柔らかいリス、山羊毛のメイクブラシは肌に優しく化粧のノリもいい。
 一方で、鉄鋼・鉄板面の研磨、サビ落としなどに最適なホイールブラシや、電動工具・エアー工具で使用するブラシも製作。こちらはナイロンやポリプロピレンをはじめ鋼線や合金まで用いたブラシで、産業界の要望に応えている。
 現在、12代目当主を務める濱田捷利(かつとし)氏は、宝田恵比寿神社で毎年10月に開催されるお祭り「日本橋恵比寿講べったら市」の保存会会長を務めるなど、地域との繋がりも重んじながら経営にあたっている。将来13代目となる専務取締役の濱田保雄氏は、「一本一本、手植えする伝統の技法を継承しながら、多種多様な用途に合わせた商品作りを心がけたい」とのこと。ものづくりの精神と新しい発想を融合させることで、江戸屋の歴史はこの先も続いていく。

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