不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2020.02.03 18:09

ワールドリゾートオペレーション 和モダン旅館「ゆとりろ」ブランド全国展開着々 磐梯温泉に今春
更なる増設も計画 エリア活性化に寄与
 ワールドリゾートオペレーション(WRO 東京都新宿区)では、今春に「磐梯熱海温泉 清稜山倶楽部」(福島県郡山市)を新屋号「ゆとりろ磐梯熱海」として新たなコンセプトにてリニューアルオープンさせる。
 同施設はJR磐越西線「磐梯熱海」駅からタクシー5分に位置する。部屋数は31室。大浴場、宴会場、会議室、ラウンジを配置する。
 同社のブランドである「ゆとりろ」とは、全国に9店舗を展開する温泉を旅する和モダン旅館。ゆとりろ(Yu―To―Relo)の由来は、温泉(Yu)と(To)日本全国を旅する(Relocation)を意味する。「それぞれの宿では良質の温泉、癒しの空間、地産地消の美食、地方の魅力を再発見していただけます」(同社)という。 
 今回のリニューアルより、名水処で知られる磐梯熱海温泉の地で深沢の名水を生かした心躍る料理の数々から良質な湯に加え、これまでになかったコンテンツを充実させていく計画だ。
 今後客室は更に10室を増室予定で、郡山からアクセスが良いこの地で新規市場を開拓するにより、磐梯熱海温泉エリアの活性化を目指していきたいという。 
「取得」から「支援」90日間で黒字化目指す
 同社は2009年設立。もともと親会社が企業の福利厚生代行事業等を手掛けており、リゾートホテルへの送客も行ってきた。こうした経緯から、「企業や健保組合などの財務負担になっている保養所などの再生案件や売却案件がありました。そこで当グループ力を生かした再生ビジネスを手掛けることとなった」(田村佳克社長)という。
 現在、こうした運営が立ち行かない施設は全国にまだ100カ所以上あるといわれている。同社はこの市場を積極的に開拓してきた。「もちろん、既存の旅館の再生も手掛けていきますが、多くは客室が50室前後と比較的小規模なものが多く、他社が手掛けない施設が多いのが当社の特徴でしょう」(田村社長)。
 取得はもちろん、「支配人派遣」「保証」といったコンサルティングから、「予約業務代行」、「自社サイト集客拡大プログラム」、「リノベーション・ブランド提案・支援」など、オーナーの意向に合わせた再生メニューを用意、90日間での黒字化を目指す。
 具体的な再生方法としては、「従業員が自ら考えて行動に移すという意識改革を現場に浸透させること」、「徹底した顧客分析により強化すべき点・改善すべき点を洗い出すと同時に、利用状況・エリア・施設の特性に合わせた明確なコンセプトを策定すること」、「食材・飲材の仕入れ原価適正化によるコスト削減」、「イールドマネジメントの導入や、ネットエージェントからの集客向上策、自社サイトの構築による集客比率のマネジメント等」といったもの。
 リニューアルオープン後は、グループ力を生かし送客。リロ・グループは約400万人にも及ぶ企業の福利厚生サービス会員はじめとする1000万人規模の会員ネットワークを持っており、これが安定した送客につなげることができるのだという。
 同社は今後も、積極的にリゾート施設の取得・受託運営事業を行っていく。買収した施設に関しては、3~5年かけ、価値を高めて投資家などに売却していく考え。
 「年間2棟から3棟購入、1棟売却、といったペースで進めていきたい」(田村社長)と話す。

インテリックス 中古マンション再生大手が新ホテル
 中古マンション再生流通事業を手がけるインテリックス(東京都渋谷区)はこのほど、東京都台東区根岸に、「LANDABOUT(ランダバウト)」をオープンさせた。
 同施設は、JR山手線「鶯谷」駅徒歩3分、鉄骨造陸屋根15階建て、延床面積3497・51㎡、客室数は169室、同社が所有し、櫻井康裕建築都市設計事務所が設計、施工は新日本建設、ベステイトが運営を担当する。
 1人からグループ・ファミリーまで、用途に合わせた様々なタイプの部屋を用意、コンパクトながらもリラックス出来る客室には、多くの部屋に小上がりを設け、靴を脱いで寛げる設え。また、11階から15階にはテラス付きの部屋も用意し、スカイツリービューを楽しむことが可能だ。
 1回のカフェ・ダイニング「LANDABOUT Table」は、このホテルがパブリックな場所であることを象徴する飲食店。「宿泊客のみならず、地域住民や、この地域を愛する方々が集い語らう場であってほしいと考えております」(同社)。本格的なエスプレッソや個性あふれるクラフトドリンクをはじめ、料理は直接つながりをもった地方の生産者から送られてくる新鮮な素材の良さを生かし、カジュアルでありながら健康的な料理を提供する。
 「LANDABOUT」は、ホテルという枠に留まらず、国内外を問わず多様な人々が東京の拠点として利用する、身近で新しい出会いに満ちた場として、“まちの見方を変える「エリアリノベーション」の旗印″となることを目指していきたいという。

高架下に宿泊施設開業 IKIDANEがJR東日本と協業
 IKIDANE(東京都新宿区)では、アジアゲートホールディングス(東京都港区)との協業でジェイアール東日本都市開発(東京都新宿区)が「秋葉原」駅~「御徒町」駅間高架下に展開する「SEEKBASE AKI―OKA MANUFACTURE」内で、宿泊施設「UNDER RAILWAY HOTEL AKIHABARA」をオープンさせた。
 同施設は、JR「秋葉原」駅から徒歩3分に位置、最大収容人数104人、客室数29室。コンセプトは、「アーバン(都会の)ロハス」で、「観光や仕事で溜まった疲れをリセットできるよう、客室は自然の要素を取り入れながらアースカラーをベースとし、都会的なでクールなエッセンスを取り入れた部屋に仕上げています」(同社)。
 部屋タイプは全部で13。内装は高架下という限られた空間の中を有効活用したデザインが特徴で、2名定員のダブルタイプの他、都内で数の少ない4名以上が同じ部屋で宿泊できる、家族やグループ旅行向きの最大7名までの大人数部屋タイプまで用意する。国内外の観光客はもちろん、近隣ワーカー等のニーズを期待している。 
 ホテルには、カフェ&バー「KEY’S CAFE 秋葉原SEEKBASE店」を併設。宿泊者はもちろん、一般客の利用も可能だ。
 同社は2017年設立。訪日外国人向けサイト「IKIDANE NIPPON」からスタートした。外国人スタッフたちが中心となり、旅行者だけでなく、日本に興味や関心を持つ世界中の人々に向けて日本のコアな情報を発信、ASEAN諸国を中心に300万人以上のフォロアーを集める人気サイトに成長させた。
 この実績をもとに、現在は「IKIDANE」の名を冠したホテル、ゲストハウス、民泊という3タイプの宿泊施設を展開している。
 同社は施設運営開始当初は、民泊運用代行会社として、利用者の募集から清掃まで多岐にわたる業務を進めてきたが、一級建築士事務所と一般建設業許可を取得することで、建築プランの提案から、設計・施工、インテリアデザイン、運用代行、清掃までを一括したサービスを提供できるようになった。
 同社では今後、旅館業施設の提案や、既存建物の旅館業への転用のコンサルティング、リノベーション工事の請け負いなどの他、宅地建物取引業も取得しているため、土地探し・不動産仲介・売買も進めていく。
 具体的は、利回りの良い時はホテルとして利用し、それ以外の時は共同住宅で運営出来るフレキシブルな運用が可能なコンドミニアム型ホテルなどを手掛けていきたいという。
投資家と一緒にプランニングし、土地とセットで売却するモデルも増え、東京や大阪、京都、沖縄など全国区で20棟の供給を予定している。

「ホテルインディゴ」箱根強羅に
 インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)ではこのほど、ライフスタイル・ブティックホテル「ホテルインディゴ箱根強羅」(神奈川県足柄下郡)をオープンさせた。
同ホテルは、JR「小田原」駅より、無料シャトルバスで約40分に位置する。
 同ホテルが提案するのは、「ネイバーフッド」を究極に楽しむこころ躍るような旅のスタイル。その土地ならではのネイバーフッドストーリーをホテルのインテリア、アートワーク、サービスの細部にまで表現する。
 全98室全ての客室に天然の温泉風呂を配し、8割を占めるリバーサイドの客室にはプライベートな屋外露天風呂を完備した。室内では懐かしさと新しさが散りばめられた個性的なインテリアを配置。ベッドのヘッドボードアートとして制作したのは、1919年創業の地元の老舗の写真スタジオ「スタジオカフェ・シマ」とのコラボレーション作品。
 ダイニングとバーラウンジを併設した「リバーサイドキッチン&バー(Riverside Kitchen & Bar)」では、箱根を象徴する「火」と「水」にインスパイアされた料理を提供する。
 温泉大浴場の脱衣場は、明治時代の銭湯を彷彿とさせるレトロなイメージ。ロッカーや下駄箱、アンティーク調の縦型体重計など、懐かしいアイテムを随所に配置した。
 水着で楽しむ温泉大浴場は、箱根の四季を再解釈した温泉デジタルアートで、日本の温泉文化をホテルインディゴの解釈で現代につなげたのだという。

「マリオット」福井に進出
 マリオット・インターナショナル(米国メリーランド州)では、北陸地方初となる「コートヤード・バイ・マリオット福井」を福井県福井市に2023年を目途に開業させる。開発と所有はユアーズホテルフクイが担い、マリオット・インターナショナルが運営を受託する。
 同ホテルは約252室を擁する予定。27階建てビルの高層階に位置し、12室のスイートを含め約252室のゲストルームを擁する。
 同ホテルは、福井を各都市へとつなぐ新幹線が2023年に開通予定の「福井」駅から、徒歩圏内に建設される予定。また、ソウル、上海、台北、香港などの国際線、東京、札幌、福岡、那覇などへの国内線が離着陸する小松国際空港までは、福井市内から車で約45分でアクセスすることができる。 
 主要な公共交通機関や観光名所付近に位置し、新たに開発され、住宅やレンタルスペース、オフィス施設などが集まる多目的利用ビルの一部となる予定。
 同社は既に日本では5軒のコートヤード・バイ・マリオットのホテルを展開している。

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