不動産トピックス

今週の一冊

2019.11.25 10:46

保守的エレベーター業界に切り込んだ中国人女性社長の笑顔の奇跡

奇跡　強運　幸せのヒント
著者：馬　英華
発行日：２０１９年１０月１５日
価格：８００円（税別）

　表紙には可愛らしい姑娘（クーニャン）が龍に乗りタイトルは軽い印象の新書サイズ。内容は、ありがちな若い世代好みのラッキーアイテムやポジティブシンキング解説本かと思いきや、本書の真価はほかにある。
　著者は中国の「完全な男尊女卑」の農村から「唯一チャンスを手に入れる手段の『勉強』を続け」、日本へ留学、弁護士となり、さらに日本で起業。しかも保守的なエレベーター業界だ。その半生は他の書籍や多くのインタビューで紹介されているが、本書でさらっと流れている文章中に、我々が得られる奇跡が込められている。猛勉強を重ね強い意志を持ち続けることは、誰でも可能でありながら実際ほとんどの人々はなし得ない。本書の「奇跡」は最初に著者の確固たる意思と半端ない努力の上に存在している。だが著者は『努力すべき」を説くのではなく、むしろ辛い努力はしてはいけない、「笑顔」「感謝」を勧める。この子（この方）日本に帰く、その国家に宜しからん、その故郷にも宜しからん、と切に願う。